63、神光聖者ミラドリルスB
●【No.063】●
まだ《春光大作戦》継続中。
神光聖者ミラドリルスが危機に陥る。
そこに勇者マイカが【フルメタルジャケット・ミラージュ】を発動。 その【フルメタルジャケット・ミラージュ】の無数の小型の光の弾丸が、神光聖者ミラドリルスの周囲を取り囲む。 この【フルメタルジャケット・ミラージュ】の威力・貫通力はなかなかのもので、いかに "透明の球体結界" といえども、おそらく簡単に貫通・通過すると予想される。
「行くわよ!」
「くっ!」
そこで【フルメタルジャケット・ミラージュ】が高速で "透明の球体結界" を貫通していき、その中にいた神光聖者ミラドリルスの身体に次々直撃。 いかに黄金の鎧に護られてるとはいえ、中型火球『茜』の直撃でのダメージと、伝説の皇剣【八魔蛇の剣】による動きの封印で、思うように自由に動けず、このまま【フルメタルジャケット・ミラージュ】をマトモに喰らう形となる。 この黄金の鎧は、とても頑丈で貫通しなかったものの、相当なダメージを受けたと予想される。
「ぐうあああぁっ!!」
「とどめよ! 【神納覇・黒白】!」
私が神光聖者ミラドリルスの背後から、特殊な方法で小型漆黒弾丸を高速で発射させて、見事に神光聖者ミラドリルスの背中に直撃。
ドーン、ズバァン!
「がはぁっ!」
「ふーう、やったわ」
ドサッ!
このまま神光聖者ミラドリルスがうつ伏せに倒れる。 この黄金の鎧は、とても頑丈で貫通こそしなかったものの、さすがに神光聖者ミラドリルスといえども、やっぱり【神納覇・黒白】の威力に耐えきれず、その場に倒れる。 このダメージで戦闘継続不可能となる。
「ふーう、なんとか勝てたわね」
「おおっ、遂に神光聖者ミラドリルスを倒したぞ!」
「やりましたね。 マイカさん」
「マイカさん、ばんざーーい!」
「これで、あの地下は攻略できたということなの?」
「おそらく…ね」
「グガアアァッ!」
『おお、遂にやったか』
もう神光聖者ミラドリルスはピクリとも動かない。
これをもって『ブラックファントム』&『セックス・ハーレム・ナイトメア』の混成チームが、見事に神光聖者ミラドリルスを撃破・勝利した。
これにて《春光大作戦》は成功。
なんと私たち混成チームは、見事にあの邪悪天使に勝利した。 数的に有利とはいえ、あの強敵に勝利したのは、非常に大きい。 これはまた報酬や褒美が楽しみだねぇ~♪
すると紫色の景色から元の色の草原へと戻り、私たちのいる草原から少し離れた道には、私たちの馬車もしっかり停められてた。
「おいで、ムラサキ」
「グガアアァァッ!」
『ほならマイカよ。
自分は上空で待機しとるでぇ』
「ええ、わかったわ」
ここで紫色の巨大龍ムラサキは、掌サイズの大きさに戻り、ちょこんとアロトリスの左肩に乗った。 それと【デスキラー・シャ】ははるか上空へ飛んでいった。
やっぱり、この草原に見覚えあると思ったら、どうやら転生した私が最初に来た草原みたいね。 思えば、ここから全てが始まったからね―――懐かしいわ。 いつの間にか、ここに戻されてたのね。
「あら、ここは…?」
「「「マイカさん?」」」
「……?」
「私がこの世界に転生した最初の場所だわ」
「「「えぇっ!!?」」」
「そ、そうなのですか…?」
「そうよね? ミドリ」
「うん、そだねー」
「へぇ~、この草原がねぇ~」
「なるほど、この草原ですか?
マイカさんの生まれ故郷は…?」
「ええ、そうね。
そういうことになるわね」
「……」
ふと私が神光聖者ミラドリルスの事に気づき、神光聖者ミラドリルスがうつ伏せに倒れてる場所を見てみると、なんと神光聖者ミラドリルスの姿が、もう既に消えていた。
「あら、アイツは…?」
「あっ、姿が消えてる?」
「ホントだ。 アイツが消えてる?」
「一体何処行った?」
「いや、倒したから姿が消えたのかも?」
「それか、あの地下の広い空間に戻ったのかも?」
「………」
「「「?」」」
どうやら私は思い違いをしてたようね。
―――アイツは、私たちを全滅させる為に、私たち全員を一ヶ所に集めたワケではないわね。 私たちをあの場所から追い出す為に、あるいはこの場所に来させる為に、こんな手の込んだ仕掛けをしたの? まだあの地下に何かあるのか、それともこの草原に何かあるのか、それはまだ解らないけど、とりあえず神光聖者ミラドリルスを倒したのは、確かなようね。 これで、あの『聖女』はなんとかなったのかしら?
いずれにしても、一度戻るか―――
無言で考え込む私に、マトオが話しかける。
「………」
「これからどうします?
マイカさん」
「ええ、そうね。 もうあの地下に行っても仕方ないし、ここは一度、王国に戻って、王様に報告した方がいいわね」
「そうですか、判りました。」
「それでは馬車で向かいましょう。」
「ええ、そうね。」
「それでは行きましょう!」
そこで私たちは馬車の方へ向かい、私たち専用馬車には私たち『ブラックファントム』が乗り込み、マトオたち専用馬車には彼ら『セックス・ハーレム・ナイトメア』が乗り込む。 勇者二人が御者台に座る。
そのまま馬車二台で、またアリスノヴァイン王国の王都・城下町 "プリデミア" の方へ向かっていった。
遂に神光聖者に勝利!
ただし、神光聖者エリュニウスよりは弱い。
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