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00、プロローグB

今回のみ、続けて投稿します。

  ●【No.000】●



「ワシゃ、もう駄目じゃ…」



ワシは日本在住のしがない女性老人(老婆)のお婆ちゃんじゃ…。

両親・兄弟はとうの昔に死んでおり、夫も子供もいない。

まさに天涯孤独の身…。

働いて稼いだ貯金も底をつき、日本政府の勝手な政策で年金もストップじゃ…。


つい先日、住んでいたアパートも追い出されて、明日からはホームレス生活じゃ…。

この歳でのホームレス生活は…ワシに死ねと、言っておるようなものじゃよ。



何が国民の為の政治じゃ!

何が男女平等じゃ!

何が格差を無くそうじゃ!

何が世界平和じゃ!

何が………。



愚痴(ぐち)を言って…すまなかったの。

現在(いま)は西暦2255年、23世紀じゃよ。

今はまだ、日本は戦争をしておらぬが、近隣諸国は相も変わらず戦争三昧の日々じゃよ。


ワシのように路頭に迷う老人も少なくない。

もう働けない身体だからのう。

まともに動く事もできぬ…。

もう骨と皮だけじゃよ。

もう生きていく希望もないわ。

ワシ同様に生きていく希望が、なくなった老人は沢山おる。


【…国も…世界も…人生も…生活も…全てに…絶望した…】




では、そう言った者逹は…一体どうするのか?

ワシは今、高層ビルの屋上の一番端っこにおる。





今から飛び降りる為になぁ。






「辺りが真っ暗じゃ…」



ワシゃ、死んだのかのう?


ここは暗黒空間、周りはまったく見えない。

とはいえ、ワシ自身の身体はしっかりと見えておる。

何もない暗黒空間で浮いておるのか?

ただ、さ迷っているだけ…。


「ここは天国なのか? それとも地獄なのか?」


などとワシが考え込んでいると―――


次の瞬間、ワシの目の前で突然、一瞬光始めた。

そして、(まばゆ)い光が収まると、そこには―――


凄く綺麗な黒髪が腰まで伸びていて紅い瞳に、大和撫子みたいな世にも美しい顔立ちの、しかも巨乳のナイスバディの女性が紫色のウエディングドレスを着て、オマケにブーケまで持ってワシの前に現れた。



「どうも…はじめまして」


「……何ぃっ!?」


「残念ですけど、あなたは死にました。」


「……そうか……」


「さらに残念なコトに…今は、天国も地獄も満員御礼の大渋滞で入るコトが出来ません。」


「なんじゃと!?」


「最近、死んでいく人間が多くて困りますね。」


「それでは、ワシはこれから一体どうすれば……っ!?」


「ご心配には及びません。 そういう時こそ異世界転生と言う方法を使います。」


「…異世界…転生…?」


「はい、そうです!」


「ところで、お前さんは一体何者なのじゃ?」


「これは申し遅れました。 私は死の女神、タナトスと言います。」






 その老婆とタナトスとの会話は続く。


「…タナトス? あのタナトスなのか?」


「どのタナトスかは…よく解りませんが、とにかくタナトスですよ。」


「…その異世界転生とは…なんじゃ?」


「はい、ご説明しますね。 あなたが居た世界とは全く違う世界…それが異世界ですよ。 しかしながら現在、()きのある異世界はひとつだけですね。 本来ならば異世界も選べるのですが、これがまた満員御礼の大渋滞ですから。」


「……そうなのか?」


「その代わりと言っては何ですが、色々とサービスしますね。 まずは特典能力ですが、本来ならばこれも選んで貰うはずなのですが、もうありません。」


「……そうか……」


「なので、まずはレベルを500まで上げますね。」


「…えぇっ!? レベル500ッ!?」


「はい、このぐらいは差し上げますよ」


「………」

ワシは少し考え込んだ。


 す…凄い! もう既にカンストしとるじゃないか!


「………」

タナトスはワシを見つめていた。


「…な、何か…?」


「それだけではありません。 特典能力もありますよ。」


「…特典能力…?」


「はい、あなたには…この【ストリンガー・デスロック】をあげましょう!!」


「………え? 何じゃ? ソレ……?」

その老婆が不思議そうな顔で質問してきた。


「ふふふ、発動時、その世界からあなたの存在を約10分間、消し去る能力です。 発動中は他者があなたに関する記憶・視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚などを、ことごとく認識する事が出来ない様になります!」


「そ、そんなの…無敵じゃないか!?」


「はい、無敵ですよ。 かつての()()の特殊能力ですから、見事に使いこなして下さいね。」


「………」


「はい、では特典能力決定です。 続いて名前を決めますよ。」


「名前…?」


「はい、あなたには勇者になって貰いますから、何かいい名前があれば、ぜひ言ってみて下さい。」


「……勇者……」


「はい!」


「……勇者マイカ……」


「あっ、いいじゃないですか! それで決定ですね! では、続けてお顔と体型を決めて下さいね。」


「外見か……ならば長い黒髪に大きな黒い瞳かの。 勿論、巨乳でスタイル抜群の美少女じゃな! 」


「はい、了解しました。 服と鎧と盾と剣はサービスでお付けしますね。」


「…それは…どうもじゃ…」


 すると、そこでタナトスが眼を閉じて、何かをぶつぶつ言っていた。


「はい、完了しました。 ステータス オープンです。」


 すると、何もない暗黒空間にステータスが表示された。



●・●・●


マイカ  :  勇者

レベル  : 500

耐久力  :4440

魔法力  :1350

―――――――――

攻撃力  :2250

守備力  :2250

機動力  :2720

叡知力  :1660

幸運力  :1830

―――――――――

絶望力  : 100

能力   :【ストリンガー・デスロック】【肉体固定】

●・●・●



「これは…?」


 マ…マジでカンストしとるぅーっ!? 攻撃力…2250って、一体どういう事じゃっ!?


「これがあなたの今のステータスですよ。 では説明しますね。まずは耐久力はあなたの命を数値化したものですね。 これがゼロになると死にます。 次に魔法力は魔法を使用する時に必要な数値で、ゼロでは使用出来ません。」


「…なるほど…」


「次は攻撃力…まぁ、おわかりだと思いますが、高ければ高いほど敵に大ダメージを与えられます。 次は守備力…こちらは高ければ高いほど敵からのダメージを受けにくい、つまりはなかなか死なないと言うコトですね。」


「…なるほど…」


「次は機動力…これはスピード、速度ですね。 俊敏力もここに入ります。 次は叡知力…まぁ、簡単に言えば頭の良さ、高ければ高いほど頭の回転が早いですね。 次は幸運力…まぁ、読んで字のごとく運の高さを表しています。 高ければ、それだけラッキーってコトですね。」


「…な…」


「さらに今回は、特別大サービスで【肉体固定】を付けますね。」


「…【肉体固定】…?」


「はい、一応は、設定では20歳の肉体を与えるつもりですが、そこで肉体年齢を固定させてします。」


「え!? それって、もしかして…歳を取らない…?」


「はい、そうですね。 老いで死ぬコトはありません。 つまり、耐久力さえゼロにならなければ、永遠に―――」


「不老不死!?」


「はい、そうなるように頑張って下さい。」


「おお、なんと!!」


「さて、最後に絶望力についてですが、あなたの【ストリンガー・デスロック】は絶望力が100の時に発動でき、一度発動すると0になります。」


「ほう、発動条件があると言う事か? 0の時はどうすればよい?」


「はい、自然回復で少しずつ100に近づきますが、嫌悪、危険、恐怖などの負の感情が出ると大幅回復します。」


「なるほど、そういう仕組みか。」


「……ですが―――」


「……?」


「いいえ、以上で説明は終わりますが、何かご質問はありますか?」


「むこうに着いたら、まず何をやればいいのじゃ?」


「はい、まずは街を探して下さい。 街中に "ギルド冒険商" という所がありますので、そこで手続きを行って下さい。」


「… "ギルド冒険商" …? それは必ずしないといけないものなのか?」


「強制ではありませんが、手続きしないと身分証や通行証などが手に入らないかもですよ?」


「そうかい、では気が向いたら行くとしよう。」


「そうですか、ではご武運をお祈りしますね。」


 そう言うとタナトスの身体が光始めて、ワシ…いいえ…私は意識を失った。



 

あれ……?

どこかで見たことがある場面(シーン)だったな?

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