59、【反射鏡の剣】.VS.【剛魂の剣】
●【No.059】●
最終の地・地下通路の何もない広い空間にて、勇者マトオ・戦士ラグレテス・戦士ハーリルの三人が、あの《ウォークゾンビ》と戦闘する。 ちなみに後方で待機する勇者マイカは、まだ戦闘に参加していない。 今現在では、双方互角の勝負をしている。
この《ウォークゾンビ》を見事に倒し、そしてゾンビが持っている【反射鏡の剣】を奪取することが、今現在の勇者マイカたち一行の目的だ。
この《ウォークゾンビ》の剣術・剣捌きはなかなかのものであり、とても普通に生きた人間を襲うだけのただのゾンビには見えない。 このゾンビとは一体何者なのか?
だけど、それでもこの《ウォークゾンビ》を倒さないと、先には進めないのだ。
この俺と《ウォークゾンビ》が剣での接近戦をしていて、刀身のぶつかり合いで火花が散る。
ガキン、ガキン、ガキン、ガキン!
両者が剣の打ち合いをして、互角の勝負を見せるけど、なかなか両者共にダメージを与えられない。 さらに《ウォークゾンビ》の左右からハーリルとラグレテスの二人が、横から剣でゾンビに攻撃する。
「でぇやあぁぁっ!」
「このぉぉぉっ!」
「はあぁぁぁーーっ!」
カンカンカァーン、タッ!
一方の《ウォークゾンビ》は【反射鏡の剣】の刀身で、俺たち三人の剣を捌きながらも後退する。 そして後方にジャンプして距離をとった。
「クソッ、ゾンビのクセに結構強いな。」
「ええ、まったくよ」
「なんなのコイツ?」
「……」
この《ウォークゾンビ》の予想外の強さに、戦闘している俺たち三人が動揺・困惑する。 一方の《ウォークゾンビ》は無表情・無感情・無口のままだ。
三対一だが、互角の勝負。
そこで俺が作戦変更する。
「よし、作戦Bに移行する」
「了解」
「ええ、わかったわ。 マトオ」
「……」
ここに俺が【剛魂の剣】を取り出し、俺が持ってた剣をラグレテスに渡して二刀流にする。 ここから俺の攻撃力が一気にハネ上がり、接近戦だけでなく中間距離からの攻撃も可能になった。 それとラグレテスも二刀流になったことで、攻撃のバリエーションが増えた。
一見して、俺たち三人の方が有利に見えるけど、《ウォークゾンビ》の方はただのゾンビなので、無口・無表情・無感情のままだ。 その【反射鏡の剣】の刃が鈍く光ってる。
タッ、ガキィーーン!
その《ウォークゾンビ》が地面を蹴って、まっすぐ俺の方へ向かって突進する。 一瞬で目の前までやって来て、振り上げた剣を振り下ろし、俺の頭上から斬り裂く。 でも俺も剣を横にして刀身で敵の刃を受け止めて防御する。
「……」
「ちっ!」
「とおっ!」
「でぇっ!」
タタッ!
そこから俺の左右からラグレテスとハーリルの二人が地面を蹴って、すぐに《ウォークゾンビ》の方へ向かって剣を振り上げながら突進する。
ブブゥーーン!
このままラグレテスとハーリルの二人が振り上げた剣を《ウォークゾンビ》の方へ向けて振り下ろし、頭上からゾンビを斬り裂く。
「……」
「このぉっ!」
「コイツッ!」
タッ!
そこに《ウォークゾンビ》が後方にジャンプして、ラグレテスとハーリルの二人の攻撃を避けて後退する。
「……」
―――ここか?
俺が《ウォークゾンビ》の隙をついて、【剛魂の剣】の剣先を前方に突き出し、後方へジャンプする《ウォークゾンビ》に狙いを定めて、剣先から小型火球を発射させて、そのゾンビに素早く当てる。
「『紅』」
ズドッ、チッ、タッ!
「ッ!?」
地面に着地する前の《ウォークゾンビ》の左肩に『紅』が当たり、よろめきながらもなんとか着地する。 それでコイツの左肩に火傷する。 少し驚いた表情のゾンビ・ようやくダメージを与えたか?
ダメージを受けて油断する《ウォークゾンビ》相手に、ラグレテスとハーリルの二人がまた地面を蹴って、一瞬でゾンビの目の前まで近づき、そこで《ウォークゾンビ》に左右から斬りつける。
タタッ!
「今だ!」
「いっけぇぇぇっ!」
ガキン、ガキン、ガキン、ガキン!
油断した《ウォークゾンビ》が【反射鏡の剣】の刀身で、ラグレテスとハーリルの二人の斬撃に対応する。 ここでも《ウォークゾンビ》とラグレテス&ハーリルの二人が互角の勝負をしていて、剣の刀身同士のぶつかり合いで火花が散る。 やはり、このゾンビはただ者ではない。
(それでもゾンビに【反射鏡の剣】の特殊能力は使用できない)
その《ウォークゾンビ》とラグレテス&ハーリルの二人が剣での接近戦を続けており、その激しい戦いの中で、なんとか俺がゾンビの隙を見つけようとする。
「……」
―――見つけた!
そこで俺がゾンビの隙を見つけて、【剛魂の剣】の剣先を前方に突き出し、女戦士二人と戦う間の《ウォークゾンビ》の胸部に狙いを定めて、剣先から中型火球を発射させて、そのゾンビに素早く当てる。
「『茜』」
ズバァッ、ドカァッ!
「ッ!!?」
ドサッ!
正確に《ウォークゾンビ》の胸部に『茜』が当たって、そのまま後方に倒れる。 それでコイツの胸部に火傷する。 遂にゾンビに大ダメージを与えた。
「やったぁーーっ!」
「おお、やったわ!」
「遂に倒したか?」
「……」
ボボォォォーーーッ!
仰向けに倒れる《ウォークゾンビ》が右手から【反射鏡の剣】を離して、左肩と胸部から発火して、あっという間に全身に燃え移って灰となる。 まさにゾンビを倒すのに、丁度いい感じの火葬というべきか。
「これでようやく終わったわね」
「はい、なかなか強かったけど、マイカさんが出てくる程でもなかったです」
「今回はなんとか私たちだけで勝てました。」
「私たちもまだまだやれるわね」
そうだ。
今回はマイカさんが出てくる前に敵を倒せた。
※[勇者マトオ・戦士ラグレテス・戦士ハーリルの三人 →《ウォークゾンビ》に勝利]
「ではマトオ、剣を」
「はい、マイカさん」
マイカさんの指示の下、俺が【反射鏡の剣】を拾った。 遂に反射鏡シリーズ最後の武器【反射鏡の剣】を入手した。
※[勇者マトオは【反射鏡の剣】を手に入れた]
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