53、まず地下階段の攻略から
●【No.053】●
ここは『邪惚教都』の廃墟の跡地。
この地には勇者マイカたち『ブラックファントム』の面々と、勇者マトオたち『セックス・ハーレム・ナイトメア』の面々がいる。
それと地下階段を見つけた王護聖騎士三人&歩兵団30人が、半ば全員特攻気味に地下階段を降りて地下の中を突っ込んでいき、地下の中にいた大量の巨大昆虫に、彼ら全員殺害された。 さらに地下階段を登って、地上に出てこようとする大量の巨大昆虫を、大きな鉄板と巨大な岩石で防いで、なんとか地上進出を阻止した。
そこに空から巨大カマキリモンスターの【デスキラー・シャ】が降ってきた。 その【デスキラー・シャ】が勇者マイカたちの目の前で、人語を話す。 少し訛ってるみたいだけど。
そんな【デスキラー・シャ】との話がまだ続く。
「まさか『聖女』が二人もいたなんてね。
初代『聖女』はまだ生きてるの?」
『さぁ…どうやろ?
初代だと、もう何百年も前の話やからな。
自分も解らんわ』
「あら、そうなの?
あんたも結構長そうだけど?」
『オレはまだ誕生してから、約25年くらいしか経っとらんでぇ』
「あら、そうなの?
それだと、初代『聖女』のミラドリルスの方は、まぁ…仕方ないわね。
それで二代目『聖女』については、どうなの?」
『オレの知る限りでは『聖女』のクセに、やたらと強いな。
名前は『カロテラ』って言うてな。
歳はアンタらと同じぐらいやないか? まぁ見た目だけで言うたらな。
以前はここにおったやけど、今は何処におるか知らんわ。』
「ふ~ん、そうなのね。
じゃあ、次の質問よ。
あんたは私たちの敵なの?」
『何言うてんねん?
敵やったら問答無用に攻撃しとるでぇ。
オレは相手を油断させといて、その隙に攻撃するやなんてコスイ真似はせいへんよ。』
「なるほど、まぁとりあえず今は信じましょう。
じゃあ、次の質問よ。
あの地下階段は一体何?
何のためにあるの?」
『ああ、アレな。
あん中には、凄いお宝があるでぇ。 なにせ、初代『聖女』のミラドリルスが世界中から集めたお宝が、あの地下階段の奥の方に隠しておってな。 そのお宝を守るために、あん中に巨大な昆虫を大量に放ったんや。』
「そ、そうなのね……」
『しかも、あの地下階段の奥の方には、この『邪惚教都』に関する秘密も隠したやないか?』
「なるほど、やっぱりそうなのね……」
『アンタらの力なら十分にあの大量の巨大昆虫を全滅させられるやろ?』
「否、私たちには無理!」
『まぁ…そうやろ…な。
いかに強くとも…あの大量の巨大昆虫が相手では、さすがに…な。 確かに気持ちはわかるでぇ。 だがなぁ~、あの地下階段の奥の方を調べな、何も変わらへんのや。 まさに "虎穴に入らずんば虎子を得ず" や』
「………」
『まぁ…調べるかどうかは、アンタら次第や。 もしかしたら、あの地下階段の奥の方に『聖女』に関する情報やとか。 それか "悪魔神召喚儀式" に関する情報やとか、あるかもな。 全てはあの地下階段の奥の方にある…何か…やろ?』
「………」
「ちなみにお前がここに来た目的は一体なんだ?」
『そうそう、一番肝心な事を言い忘れるトコやったでぇ。 上位魔族トウはここで、オークの体内から封印が解けて、そのまま大陸の北東部にある "バイオメドリグス" っちゅう国へ向かっていったでぇ。 今いるアリスノヴァイン王国の北東方面にあってな。 そうやな…馬車で約四日って距離の場所にある国や。 上位魔族トウを追うなら、その国に行けば、何か判るんとちゃう?』
「…… "バイオメドリグス" ……」
「お前は俺たちに、その上位魔族トウを討たせたいのか?」
『それを決めんのは、アンタらや。
この地で、一体何が起きたのか、『聖女』とは一体何者なのか、どんなお宝が隠されておるのか。 それらを知りたければ、昆虫戦闘を覚悟して、あの地下階段を降りていくか。
上位魔族トウを追いたければ、さっき言った "バイオメドリグス" っちゅう国へ行くか。
決めるんは、アンタら次第や。
オレは情報提供するだけ』
「「「………」」」
これはRPGゲームによくある選択イベントね。 大抵のゲームでは、どっちを先に選んでも、どっちにしてもどちらもクリアしなければ、先には進めない展開だと思うけど、これもまさに同じ展開なのかしら?
ここで提示された選択肢は、この3つ。
一つはこのまま何もせずに、王様に今までの出来事を報告するだけ。
二つはこのまま地下階段を降りて、地下の中を進んでいき、奥の方に一体何があるか確認する。
三つはひとまず王様に報告・確認すると共に、その "バイオメドリグス" という国に行ってみて、情報収集活動をする。
私にとっては地下階段と上位魔族トウに、凄い魅力を感じるわ。 地下階段はいわばダンジョン。 地下で蠢く巨大昆虫を差し引いても、かなり魅力的だわ。 地下の中の奥の方に一体何があるのか、非常に楽しみね。 またアリスノヴァイン王国から離れて、また違う国に行ってみて、その上位魔族トウとやらの調査や二代目『聖女』のカロテラについての情報収集も、とても魅力的だわ。 だけど、今はこのチームを二手に分ける訳にはいかないわね。 今の戦力が落ちることは、私の望むところではない。
私は少し考えた後で、再び【デスキラー・シャ】に質問した。
「ねぇ、あんたは私たちの敵ではないって言ってたけど、私たちに協力してくれる存在なの?」
『協力…? そうやな…。
オレにも出来る事と出来ない事がある。
協力ってゆうても内容によるな…』
「そんな難しい事ではないわ。
あんた、虫嫌い?」
『……?
オレも一応は虫やけど、なんでや?』
「私とマトオで地下階段を降りるわ。」
『ッ!!?』
「「「えっ……?」」」
「「「あっ……?」」」
「まずはやっぱりこの地下階段の謎を見極める。
こう見えて、私はそれほど虫に対して抵抗はないから、私が率先して行くわ。
そしてマトオも同じ勇者なので、一緒に来てもらうわ。」
「はい、判りました」
「ちょっと待った! 私も一緒に行くよマイカさん! 私は仮にも戦士だ。 昆虫ごときに遅れはとらない。」
「ラグレテス……」
「わ、私も一緒に行く!
私も戦士だ! いざとなったらマトオの盾になる!」
「ハーリル……」
「わかったわ。
それなら私とマトオとラグレテスとハーリルの四人で行きましょう。
あとの四人はここで待機ね」
「ま……マイカさん……」
「あの、どうしても行かれるんですか? マイカさん」
「ええ、これは行かない訳には行かないわ。
まずこの地下階段の謎を解かなければ、きっと先には進めない」
「………」
『それでオレは、どないせいっちゅうんや?』
「あんたは私たちが戻るまで、この待機組の護衛をしてもらうわ。 主に彼女たちに襲ってくる虫を倒してちょうだい」
『……オレをそない信用してええんか?
オレはアンタを裏切って、こいつら食い殺すかもしれんぞ?』
「ふふふ、あんたは信用できそうよ。
まぁ…それでも彼女たちを襲うなら、まずそのムラサキがあんたの相手になるけどね」
『………』
「それに彼女たちも、そう簡単に殺られたりしないわよ? 意外にシャニルやアロトリスは強いわよ?」
『よっしゃあぁっ!
わかったでぇ!
オレも男や! アンタが戻るまで、きっちりアンタの仲間を守ったる!』
「ありがとう」
『………』
「それじゃあ、行きましょうか」
「「「はい」」」
「それとあなたたちは、仮に私たちに何かあっても、迂闊に中に入ってこないで、注意深くさぐるのよ?」
「「「はい、判りました」」」
ようやく考えた末に、私はまず地下階段の攻略からする事にした。
私とマトオとラグレテスとハーリルの四人は、そのまま巨大岩石と大きな鉄板で封印された地下階段の方へ向かっていった。
次回は勇者マイカたちが地下階段を降りていくけど、それは来年かもね。
本作品の今年の執筆・投稿・更新は、これにて終了致します。
今年も読んでいただいて、本当にありがとうございました。
来年もどうぞ宜しくお願い致します。
それでは来年も良い年になりますように、これにて失礼致します。
[2021・002]




