52、【デスキラー・シャ】
またヘンテコなヤツが登場する。
●【No.052】●
ここは『邪惚教都』の廃墟の跡地。
ここに勇者マイカたち『ブラックファントム』の面々と、勇者マトオたち『セックス・ハーレム・ナイトメア』の面々に、王護聖騎士三人&歩兵団30人が来ていて、もう既に王護聖騎士三人&歩兵団30人は全滅した。
地下階段を見つけた王護聖騎士と歩兵団の面々が、何の準備や何の考えもなしに、このまま特攻気味に突っ込んでいき、地下にいた大量の巨大昆虫に全員殺された。
その事にいち早く気づいた私が、素早く地下階段の入口に大きな鉄板を置いて、さらにその上から、そこにあった巨大な岩石も置いて、大量の巨大昆虫の地上進出を阻止した。
「ふーう、危なかった」
「はい、かなりヤバかったです」
まだ何も知らない連中に―――
「「「?」」」
この後で、私が事の顛末を説明すると、それを聞いたシャニル・アロトリス・ラグレテスに、ハーリル・エミリアス・ルシティークの顔色がみるみる変わっていき、みんな腰を抜かしていた。
「そ、そんな事があったのですか?」
「も、もう撤収した方がいいと思いますよ。」
「そ、そうだよ。 マイカさん」
「わ、私も賛成です。
もう王護聖騎士や歩兵団も全員殺られたし、ここにいても意味ないですよ」
「そ、その通りです。
下手にここに長居すると、ヤバイです」
「一旦撤収だな。 これは」
明らかにみんなビビってる。
「……フッ」
「そうねぇ~」
案の定、シャニルやエミリアスたちが真っ先に撤収提案してきた。 まぁ、気持ちはわかる。 大量の巨大昆虫モンスターに殺されたくないからね。 さすがに人間が昆虫に食い殺される事など、誰だって想像したくもない。
さて、どうしたものかね?
このまままたアリステレストの町に戻るか?
しかし、ここまで何もないとなると、もうここには本当に何もないのかしら?
でも、あの地下階段は……もしオークを倒した事によって、突如として出現したとしたら、あの盗賊共は、そもそもあの地下階段を知らなかったと言うことなの?
と言うことは、あの地下階段の奥の方には、きっともの凄いアイテムやお宝がいっぱい眠ってるかもしれない。 もし、あの地下階段の存在を知った者がいたとしても、さっきの王護聖騎士や歩兵団たちの様に、地下で暴れている大量の巨大昆虫モンスターの餌食になるから、未だに手付かずの状態なんだわ。
と言うことは、あの地下の奥の方には、この謎の『邪惚教都』の秘密が隠されているの? でも、あの地下の中には、大量の巨大昆虫モンスターがうじゃうじゃいるのよね?
さて、どうしたものかね?
私が少し考え込む。
「「「………」」」
その私の様子を他のみんながただ黙って見てた。
………?
アレ…?
何コレ?
何かおかしいわね?
なんだろう、これは一体……何の気配かしら?
私はある不思議で奇妙な気配を感じており、それがはるか上空から感じていた。
ッ!!?
ズドォーン!
「……えっ……?」
「ま……マズイッ!!」
「な、何コレ……ッ!!?」
なんということか、はるか上空から巨大なカマキリモンスターが降ってきて、私たち八人のいる場所まで降り立った。
『………』
空から巨大カマキリモンスター【デスキラー・シャ】が現れた。
これは……ヤバイッ!!
「アロトリスッ!!
すぐムラサキを出動させてっ!!」
「あっ……はい、判りました!
ムラサキ、出番よ!」
「グゥガガガァァァーーーッ!!」
『……?』
主人アロトリスの命令で、アロトリスの左肩に乗ってたハズの紫色ドラゴンモンスターのムラサキが、巨大カマキリモンスターの【デスキラー・シャ】と同じぐらいの大きさの巨大龍に変身した。
ズゴゴゴゴォォォーーーーン!!
なんと、イキナリ先手必勝の《激しい炎》を口から吐いたムラサキ。 その炎が目の前にいた巨大カマキリモンスターの【デスキラー・シャ】の顔面や上半身を焼き尽くす。
『ギャアアアアアアァァァァッ!!?
ちょっと待った、ちょっと待ったぁ!!
イキナリ何すんねんっ!!』
「グゥガァッ!!?」
「そ、そんなバカなぁーーーっ!!?」
「じゃ…喋ったぁっ!!?
あの巨大カマキリが喋ったわよぉっ!!?」
なんと、巨大カマキリモンスターの【デスキラー・シャ】が人語を話した。 これにはさすがの私でも驚きを隠せないわよ。 マトオも驚愕してるし、先手必勝で攻撃したバスのムラサキもビックリしてるわよ。
『待った待った待った!
ちょっと話させてくれ!
オレも状況を理解したいのや!』
「「「………」」」
ここで一旦戦闘中止となる。
ムラサキは臨戦態勢の巨大龍のままにしておいて、私たちは巨大カマキリモンスターの【デスキラー・シャ】の話を聞いた。
『ふーう。
話のわかる人間で良かったでぇ。 危うく丸焦げになるところだったわ。
―――ゴホン。
あのオークを倒したんは、お前か?』
「ええ、私よ」
『それじゃあ、上位魔族トウは見たんか?』
「上位魔族トウ…?」
『そうか、見とらんのか。
やったら、はよう上位魔族トウを探すことをお勧めするでぇ。
でないと、お前たちが探しとる『聖女』が、その上位魔族トウに殺されるでぇ。」
「「「「ッ!!?」」」」
「ちょっと待ってぇ!
話がよく見えないんだけどっ!?」
『よっしゃあぁっ!
オレが説明したる!』
「………」
そこで巨大カマキリモンスターの【デスキラー・シャ】が説明する。 その昔、ある『聖女』と上位魔族トウが、この『邪惚教都』の地で争ってた事があったそうよ。 その『聖女』には初代と二代目がいて、初代『聖女』(ミラドリルス) が、例の "悪魔神を召喚しよう" と儀式していた『聖女』のことであり、二代目『聖女』(???) が上位魔族トウと争っていたという。 結局、上位魔族トウはその二代目『聖女』(???) に敗北して、あのオークの体内に封印されたということよ。
だんだん話がややこしくなってきて、私にもよく解らなくなってきたわね。
ちなみに上位魔族トウも巨大カマキリモンスターの【デスキラー・シャ】も大魔王ゼンの部下でありながら、部下同士の仲はあまり良くないそうよ。 こうやって、上位魔族トウの不利になるような事も、平気で私たちに告げ口 (密告) しに来てる訳だしね。
さて、どうしたものかね?
関西訛りで喋る巨大カマキリ。
たとえ想像できても意味わからん。




