49、『邪惚教都』の調査派遣部隊
●【No.049】●
現在、勇者マイカたち『ブラックファントム』と勇者マトオたち『セックス・ハーレム・ナイトメア』はアリステレストの町の "ギルド冒険商" の中にいて、勇者マイカたちのステータスを確認している。
遂に私がレベル600の大台に乗せた。
そこでシャニルたちからは祝福の声があがった。
「おめでとうございます!
やりましたね! マイカさん!」
「おめでとうございます!
やっぱり上位魔族討伐がきいてますね!」
「おめでとうございます!
とうとうレベル600になりましたね!」
「ありがとう、みんな♪
いやぁ、レベル500から始まって、ようやくレベル600になったよ♪」
一方のマトオたちは驚愕・絶句している。
「す……凄い……!」
「他の三人もレベル90までいってるの?」
「レベル600……?」
「レ、レベル99超え……!」
普通に考えて、今のこの時期は、まだレベル自体が30前後。 高い者でもレベル40前後の者がほとんど。 そういった意味でもマトオたちのレベルは十分に高いけど、やっぱり上には上がいるものね♪
もうシャニルたちで、既にレベルが90あり、私に至ってみれば、最早……レベルが600になってるんだから♪
この脅威的な実力を持っている者は、今のところ私たち一行だけであり、今までに上位魔族を討伐したのも、勇者一行の中では私たち一行のみ。
また主人アリナは別の所で驚いている。
「マイカさんたちって男爵だったんですね?
しかも冒険者ランクがいつの間にか『D』になってますよ?」
「そうね。 私たちは "SMエロスの塔" で上位魔族ヒョウの討伐と王様のお姉様でもあるヤナイ姫の救出に貢献したとして、ヤナイ姫から直々に賜ったって感じかしらね。」
「なるほど、そうだったんですね。
この王国出身の勇者が上位魔族を倒すなんて、私もこの王国出身者として、鼻が高いです。」
「ふ~ん、そう?」
そういえば私はこの王国の広大な草原に転生してきたから、確かにこの王国出身者といえなくもないわね。 ちなみにシャニルもアロトリスもラグレテスもこの王国出身ではないみたい。
「上位魔族は魔族の中でも最強クラスです。
まず人間の力だけで倒すのは不可能とされてきました。」
「確かに、あの強さは異常でしたね」
「おまけに敵の衣服を破壊する能力までありましたから、スッゴく厄介でした。」
「早めに倒せて良かったよ」
「なるほどねぇ~、上位魔族ねぇ~」
私たちがアリナと話していると、マトオが私に話しかけてきた。
「あのマイカさん。
今後の展望をお聞かせください。」
「まずは王様の指示を聞いて、それから行動に移す。
王様からの連絡があるまで、しばらくの間はこの街で待機する。
まぁ別に慌てる必要はないわ。 そっちは何か用事とかあるの?」
「いえ、特にありません。
俺もそれでいいと思います」
「OK。 それじゃあ、とりあえず宿屋に戻りましょうか」
「はい、判りました。 マイカさん」
「それじゃぁね。 アリナ」
「はい、マイカさん。
ご利用ありがとうございます。 またのご利用をお待ちしてます。」
ここでアリナがニッコリと営業スマイルで、私たちのことを見送っていて、私たちは後ろを振り向いて、そのまま "ギルド冒険商" を出ていった。
それから宿屋に戻った私たちは、少し遅めの昼食をする。 宿屋にあるレストランにて、私たちとマトオたちで昼食を共にする。 私たちはしばらくの間、少なくとも『邪惚教都』の一件までは共に行動するつもりでいる。 レストランでは八人固まって食事をとり、私はこの王国産の牛肉のステーキや長細いパンやミニサラダなどを食べる。
昼食を食べ終わると、私たちは自分たちの大部屋に戻り、自由にゆっくり寛いでいて、また夜になると、私たちは街の大きなレストランに行き、八人固まって食事をとり、私は夜もこの王国産の牛肉のステーキや長細いパンやミニサラダなどを食べる。
この街にいる間は、ほとんど外食で済ませている。
夜はそれぞれ自分たちの宿泊している大部屋で就寝する。 私たちは全員女性なので、特に問題ないけど、マトオたちの方は一体どうしているのか? 大きめのベッドがふたつあるだけ。 二人ずつ眠れそうだけど、まさか、あの女性三人の誰かと一緒に同じベッドで寝ているのか? それともソファーに一人で寝ているのか? 私がそんなことを不思議に思いながら寝ていると、いつの間にかぐっすりと眠っていた。
アリナを通じて、王様からの連絡があるまで、この街の中で過ごしており、外には出歩かないことにした。
ちなみに私やマトオ以外の勇者たちは、その後無事に傷も癒えて体力も回復して、既に全員が王宮から出ており、皆それぞれ故国へ帰郷したり冒険を再開したりしてるそうね。 この『邪惚教都』の一件に関しては、私とマトオの二人の勇者しか知られていないようで不参加みたい。
また数日が経過して、早朝にアリナから連絡があり、王様から『邪惚教都』の調査派遣部隊が編成されて、もうすぐこの街に到着する頃だという。
ある天気の良い日のこと。
私たちは街の外に出て、その調査派遣部隊を出迎える。
すると先頭に王護聖騎士が三人、それぞれ白馬に乗って現れており、その後ろに歩兵団が30人ぐらい歩いてやって来た。 私やマトオは既に馬車をすぐに出せるように用意しており、私たちの仲間たちや荷物なども馬車の中に乗せている。
彼らが街に到着すると、王護聖騎士の三人が白馬から降りて、私やマトオの二人と合流する。
「お待たせしました。 マイカ様、マトオ様」
「ええ、それでは早速、行きましょうか」
「はい、判りました。 行きましょう」
私やマトオの二人が、それぞれ自分の馬車の御者台に座り、最初にふたつの馬車が出発して、その後ろから白馬に乗った王護聖騎士の三人と歩兵団30人も出発した。 この歩兵団とは、速く歩きながら攻撃するのに特化した部隊であり、長距離移動も十分に訓練された精鋭の戦闘部隊である。




