47、立て札・看板の恐るべき真の意味
●【No.047】●
この後も勇者マイカたち『ブラックファントム』と勇者マトオたち『セックス・ハーレム・ナイトメア』はメンバーが手分けして、この『邪惚教都』の遺跡・廃墟の周囲を徹底的に調べあげたけど結局、誰も居なかった。 また建物の瓦礫や岩石や大木などのモノ以外で見つかったモノといえば、数字が書かれた立て札・看板だけである。 (※あとオークの死骸はそのまま放置されてる)
ここではさっき見つけた『05522』と、あとマトオが偶然見つけた『02775』の立て札・看板と、それにここに来るまでに見かけた『04725』の立て札・看板だけ。 これが手がかりになるとは思えないけど、一応ここまで持ってきた。
でも、なんで数字が書かれた立て札・看板が放置されたままなのか、かなり気になるところ。 そもそもなんで数字が書かれた立て札・看板なんてあるのか、そこも気になるところ。 いずれにしても、この立て札・看板の謎を突き止めなければ、先へは進めないのかもしれないと思う。 とはいえ、本当にこれは一体何なのかしら?
それでも私たちはここで他に何か『聖女』に繋がるモノがないか捜索・確認してみた。
でも、やっぱりみんな同じみたいね。
「……ないわね」
「はい、ないです」
「はい、ありません」
「ええ、そうね」
これまでさんざんあちこち探してみたけれど、やっぱり数字が書かれた立て札・看板以外には建物の瓦礫や岩石や大木などのモノしかないようね。
すると今度はマトオたちが『03469』と書かれた立て札・看板を持って、私たちの所まで戻ってきた。 実は私たちが来た道以外にも反対側にも道があって、その道の横にこの立て札・看板が立てられていたのをマトオたちが見つけてきたのよ。
私はマトオにそれを聞いてみた。
「それは……?」
「はい、向こう側・反対側にも道があって、その道の横に立て掛けられた立て札・看板を見つけました。 あとは他に何もなく、唯一見つけたのがこの立て札・看板だけです。」
「やっぱり、そう。
この立て札・看板には何かあるのね?」
「はい、もしくはこの数字自体に意味があるかもしれませんね」
「うん、そうね」
私たちが見つけた立て札・看板は全部で四つ。 その四つある立て札・看板を適当に並べて地面に置いてみた。
〇『04725』の立て札・看板。
〇『05522』の立て札・看板。
〇『02775』の立て札・看板。
〇『03469』の立て札・看板。
ここで私がある事に気づく。
そうか、これは―――
これが……今まで私たちは『立て札・看板』だと思い込み、そう呼んでいた……けど、これは……そもそも『立て札・看板』なんかじゃない。 これは……『人間の皮膚』だわ。 これは……『人間の皮膚』に『数字』を書いて、十字形にした木の棒を皮膚の後ろに固定して、そのまま地面に刺し込んだだけのモノだわ。 なんともおぞましいモノだけど、それと同時に『数字』の意味も理解できた。
この『数字』は人間を殺した数だわ。
大勢の人間を殺して、その死体を生け贄にした数。 それとこれらは立て札・看板などではなく、ただの『目印』なんだわ。
おそらく、わかり易いように『何番目に殺した人間の数』を書いたと推察できる。
きっと、この地で大量の人間が魔族に殺害されたに違いない。 それと魔族に与する『聖女』の存在ね。
みんなに私の仮説を聞いてもらった。
「………」
「これが人間の皮膚……?」
「うわっ! 嘘でしょ?」
「うぅっ、気持ち悪い……」
「これって本当に人間の皮膚ですか?
何年も放置されているのに、ぜんぜん腐っていませんよ?」
「それはおそらく『聖女』の魔力に何かあると考えるべきね」
「それではこの地面の下に大量の人間の遺体が眠っているのですか?」
「いいえ、おそらくは人間の遺体も、いや、そもそも人間の死体自体が必要だった。 だから、もうないと思うわ」
「人間の死体を……?」
「うぅっ、気持ち悪い……」
「ここで何かの儀式が行われていて、人間の死体が必要だった。 さらにいうと『聖女』の魔力も必要だった。 その儀式に死体が使用されたみたいね。 俗に言う "生け贄" ってヤツかしら?」
「なるほど、それで『邪惚教都』なんて名前がつけられたのか?」
「さぁね。 名前の由来までは解らないけどね。」
「そうですよマトオ。 それではいくらなんでも安直すぎます。 もっとひねった理由があるかもしれませんよ?」
「………」
「いずれにしても、これは大きな手がかりよ。
これで『邪惚教都』の秘密が少しだけ見えてきたわ」
「これはもう一度、アリステレストの町まで戻って、王様とヤナイ姫に報告する必要がありますね。 マイカさん」
「はい、俺もそう思います」
「ええ、そうね」
このままここに居ても、それはそれで色んな意味でヤバい。 ここは一旦アリステレストの町まで戻って、もう一度仕切り直しみたいね。 それにこんな所で野宿する訳にもいかないからね。
今回の『邪惚教都』の一件。
盗賊の縄張りにオークの出現。
この地そのものは廃墟と化し、もう既に遺跡化していて誰もいない。
そして、この謎の立て札・看板の存在について、ただの目印以外の他にも何か意味があるのかも。
いずれにしても、私たちが想像していた以上に根が深そうな場所のようね。
勇者マイカが倒したオークの死骸がまだ残っているけど、一体どうしてなんだ?




