39、究極の誤算?
サブタイトルからして、なんかヤバそうなんだけど、そんな深刻な問題ではないの?
●【No.039】●
ここに勇者マイカたち『ブラックファントム』の女性四人組と勇者マトオたちハーレムパーティーの一行が、あの例のアイテム『コドリスタ』を使用したお陰で、この "SMエロスの塔" の壊れた大きな扉の出入り口の所まで再び戻ってきた。
ようやく私たちは一息ついた。
「ようやく戻ってきたわね」
「はい、なんとか」
「ふーう、やっと戻れたぁー」
「それでマイカさん、これからまた上へ登っていきますか?」
ここで早速だけど、勇者マトオが私に質問してきた。
「いいえ、悪いけど私たちは近くの街まで行って、衣服などを調達しないといけないから、あなたたちだけで行ってちょうだい。」
「はい、このままの姿で王様のお姉様に会うワケにはいけませんわ。 マイカさんの言う通り、ここは一旦、近くの街まで戻って、衣服などを調達しないといけませんわ。」
「こんな姿、大衆の面前で晒すワケにはいかないからね。 ここは一旦、仕切り直しってヤツだね。」
「そ、そうですか。 判りました。 それでは俺たちだけでまた行きます。」
「じゃあ、アレを渡しておくわ。 アロトリス、お願いね。」
「はい、判りました。 マイカさん」
「………?」
そこでアロトリスがこの塔で手に入れた、謎の "白銀に輝く無数の粉" が中に入った、小さな黒い布袋を勇者マトオに手渡した。
「……何ですか? これ」
「これをお姉様の身体にふりかけてちょうだい。 それで全てうまくいくハズよ。」
「はい、判りました。 マイカさんの言う通りにします。」
「あと宜しくお願いね」
これはお姉様救出に必要なアイテムなのか?
勇者マトオは『激烈神焔掌』を手に入れた。
「おっと、そうだわ。 あとアレも渡しておくわ。 何かの役に立ててね」
「………?」
あと「何か変な物」まで、マイカさんから手渡されてしまい、それをルシティークが受け取った。
私たちは、この "SMエロスの塔" を出ていき、この塔の近くにあった大きな街まで歩いていく。 意外と近くにあったので、楽に街に着くことができた。
ふーう、それにしても久しぶりのシャバの空気がまた格別に美味しいわ♪ もう一体何日、あの塔にこもっていたかしらね? 早くシャワー浴びたいわ!
あとは勇者マトオたちに任せて問題ないでしょう。 あの塔にいた強敵のほとんどは、私たち『ブラックファントム』が倒したハズだし、それに伴い、お姉様にかけられた結界も弱ってきてるハズなので、あのアイテムだけでも十分だと思うからね。
このまま私たちは、その街の宿屋で一泊していく予定である。
再び "SMエロスの塔" の8階フロアまで到着した勇者マトオたちハーレムパーティーが、未だに黄金の玉座に座るお姉様の『ヤナイ姫』と【雷の結界】が続いているのを見て思わず驚愕する。
◎【八階】
「な、なんだ? これはぁ……?」
思わず俺は絶句した。
俺がこれを見て、思わず言葉を失うワケとは、なんと他の勇者たち全員が何故か俯せで倒れているからだ。 それも勇者だけでなく、その仲間の人たちまで全員俯せで倒れている。
これは一体どういうことなのかっ!!?
俺が見ている光景をありのまま報告するぜ。
このフロアの奥の方に黄金の玉座があって、お姉様のヤナイ姫が俯いて気絶したまま座ってる。
その黄金の玉座の周囲には、他の勇者たちや、その仲間たちが全員俯せで倒れており、このフロア全体に雷のエネルギーが充満しつつある。
俺の視界に敵や魔物などの姿は一切ない。
このフロア内で確認できるのは、これだけである。
………。
・・・
………。
―――そうかっ!!
ま……まさかぁ……こ……これはぁ………?
いや、だとすると―――
このままここにいるのは、マズイぞっ!!
あの黄金の玉座から発生している、この【雷の結界】の雷のエネルギーが、このフロア全体に充満しつつあって、マイカさんたちや俺たちはすぐにこのフロアを立ち去って行ったから、直接的な害はなかったけど、このフロアに長く居続けた他の勇者たち一行が、この雷のエネルギーでやられたみたいだぞ。
だから! このままここにいるのは、ヤバイぞっ!!
そこで何かを感じた俺が、先程マイカさんから貰った、あの謎の "白銀に輝く無数の粉" が中に入った、その小さな黒い布袋 『激烈神焔掌』を、黄金の玉座に座るヤナイ姫めがけて投げつけた。
とっさの事で、思わず思いっきり投げてしまったけど、これがまさに正解だった。
その『激烈神焔掌』の黒い布袋が、黄金の玉座に到達する瞬間―――
すると瞬時に―――
バッ、ピカァァーーー―――
このフロアに充満しつつあった雷のエネルギーと、あの『激烈神焔掌』のエネルギーが、まるで相殺するかのように光り合っていて、お互いのエネルギーが徐々に少しずつ消滅していく。
さらにはヤナイ姫の両手・両足を固定していた【雷・鉄の鎖】も消滅していき、黄金の玉座も石の玉座へ変化していった。
なんとヤナイ姫が着ていた、あの漆黒の下着も消滅していく……。
こ……これは……またマズイぞ……。
慌てて俺はルシティークに言った。
「ルシティーク早く! 先程マイカさんから貰ったアレをお姉様に着させるんだ!」
「あっ……はい、判りました」
そこでルシティークがお姉様の所まで駆け寄って、先程マイカさんから受け取ったエメラルドグリーンに輝くランジェリーセット【翡翠の魅惑下着】を、全裸になりかけてたお姉様に着せていた。
その後でアリスノヴァイン王国の王都・城下町の正規兵 "プリデミア兵" が、この "SMエロスの塔" までやって来て、早速8階フロアまでやって来て、お姉様のヤナイ姫や倒れている他の勇者たちを回収。 幸い、他の勇者たちは気絶してるだけで、全員まだ死んでいなかった。
ちなみにこの事は、もう既にマイカさんたちの方で、王様に報告されてるみたいだ。
一体どうやって報告したのだろう?
いずれにしても、これでお姉様救出作戦は、無事成功である。
ふーう、やれやれだよ。
なんとかある程度は回収できたかな?




