38、遂に勇者マイカと勇者マトオが合流する
●【No.038】●
ようやく勇者マイカ率いる『ブラックファントム』の女性四人組が、あの上位魔族の『ヒョウ』を倒すことができた。
仰向けで倒れてる上位魔族・ヒョウの姿が、そのまま消えていき、その消えた場所から、なにやら特殊なアイテムが現れた。
ちなみに上位魔族・ヒョウにボロボロに破壊された、勇者マイカたちの衣服や漆黒のブラジャーはコナゴナに砕け散って消滅した。
そのアイテムとは、エメラルドグリーンに輝くブラジャーとパンティーの下着である。
これは一体何のために現れたのか、というか、このブラジャーとパンティーは一体誰が装備できるのか、全くよく解らない。
「……ナニコレ……??」
思わず私は率直な感想を述べていて、他の三人も頷いている。
「こ、これは一体何なんですか? マイカさん」
「おかしいです。 これは本当におかしいですよ。 何ですか? これ」
「これを一体どうすればいいのでしょうか? マイカさん」
「ええ、そうね。 オマケにワンセットしかないしね。 どうしよっか?」
私はかなり困ってる。
これを一体どうすればいいの?
ここで私が考えるけど、他の三人も一緒になって考える。
だけど結局は結論が出ないので、取り敢えず私たち全員で、それを装備してみた。
「残念ですが、これは私には装備できません。」
「残念ですけど、これは私にも装備できませんでした。」
「残念だけど、私にも装備できないみたいね。」
「こんなの私にも装備できないわ。 趣味も悪いし……」
「で、ですよね?」
「そ、そうですよね?」
「では、どうしますか?」
なんということなのか!
このセクシー・ランジェリーセットは、あまりにも不気味であり、どうやら―――
この装備品は私たちには装備できない特殊なアイテムのようね。
さて、どうする?
このまま捨ててく?
でも、もったいない気もするけど……。
また私が少し考え込むと、そこに今度はミドリが言った。
「ねぇ、マイカ。 それ手に入れた方がいいよ。 きっと役に立つから」
「えっ、そうかな? まぁ…いいわ。 取り敢えず入手しておきますか。」
「うん、それがいいよ」
「そう、わかったわ」
そこで私はエメラルドグリーンのブラジャーやパンティーのランジェリーセットを手に入れた。
♪勇者マイカは【翡翠の魅惑下着】を見つけた♪
私たちは衣服を失い、しかもブラジャーも破壊されてしまい、いよいよパンティーも残り一枚だけとなり、私たちはあらかじめ用意していた漆黒のマントを全身に纏っており、なんとかやり過ごす。
そこにようやく勇者マトオ率いる四人組パーティーが、この何もない空間の12階フロアに到着した。
「……あれ?」
「「「……?」」」
ここに勇者マトオが周囲を見渡すと、漆黒のマントを全身に纏っている私たち四人の姿がいて、他には何もなく敵の姿もなかった。 そこでようやく敵を倒した凄絶な私たちの姿が見えていた。
ここで遂に私たち『ブラックファントム』の女性四人組と、勇者マトオたちハーレムパーティー四人組が合流した。
「は~い、みんなぁ~♪」
「「「………」」」
「ど、どうもです。 あの敵の姿は……?」
「はぁ~、なんとか倒したわよ。」
「えっ、もう敵を……ですか?」
「えっ、た…倒した……のですか?」
「えっ、もう倒したのですかぁーーっ!?
さすがマイカさんだ!」
「ええ、なんとかね。 でも、ありがとう♪」
私たち四人は私以外の三人が、本当にぐったり疲れた様子であり、私だけが若干なんとか動ける程度に元気である。
この後で私は上位魔族・ヒョウを辛くも勝利したことを勇者マトオたちパーティーにも報告した。 一応、同じ勇者なので情報共有は大事だと思うわけよ。
まぁ、勇者マトオたちからは「スゴイ」・「信じられない」などと言われてるけどね。
さぁ、さっさと下に降りていって、早くお姉様を救出しないといけないわね。
でも、その前に勇者マトオが当然の質問をしてきた。
「あのぉ、マイカさんたちはなんで、そんな変なマントを羽織ってるんですか?」
「あ~、これはあのヒョウっていう、上位魔族に衣服をボロボロにされてね。 あらかじめ用意しておいた、このマントでなんとか凌いでいるわけよ。」
「えっ、そ…そうなんですか?」
「「「………」」」
―――えっ、マイカさんたちの衣服をボロボロにされた、って……?
じゃ…じゃあ、あのマントの中身は、一体どうなっているんだ……?
非常に気になるところである。
やっぱり、勇者マトオはちょっとエッチなのね♪
そこで勇者マトオが思わず「ゴクリ」と生唾を飲み込んでおり、その様子を三人娘が冷ややかな目で見ている。
それを見ていた勇者マトオが咳払いをしてから言った。
「あのぉ、これでようやくお姉様を救出できますね?」
「はい、これでこの塔を支配していた上位魔族も倒されて、その力も消滅したと思いますから、もうお姉様も解放されたと思いますけど。」
「ええ、その通りよ。 これでようやく任務完了だよね。」
「それじゃあ、ずくに下に降りましょう。 マトオ」
「そうだね。 それでどうやって下まで降りるんだ?」
「「「えっ!!?」」」
勇者マトオのこの発言に、三人娘が目を丸くする。 どうやら12階から下に降りる方法・手段が見当たらないようね。
「その心配はないわ。 こういう時はアロトリスにお願いするね。」
「はい、判りました。 マイカさん」
「えっ、何か方法があるんですか? マイカさん」
「まぁね。 一応はね……」
そこでアロトリスが小さな白い布袋を取り出した。
これは『コドリスタ』である。
「これで取り敢えず一階入口まで戻りましょうか。 皆さん」
「そういうことなの。 残念で仕方ないけど、それしか方法がないわけよ。」
「そ、そうですか……」
あらかじめ勇者マイカたちは『コドリスタ』を入手しており、これで無事にこの塔の一階入口まで戻ることができる。
―――何はともあれ、また一からやり直しである。
相変わらず色々と面倒な塔である。




