33、灰色の勇者『マトオ』登場!C
今回も勇者マトオの視点です。
●【No.033】●
翌朝、勇者マトオ率いるハーレムパーティーは、早々に宿屋を出ていき、まずは服屋に行った。
ただ他の勇者たちも、下着や衣服を求めて来ているので、店内は大変混雑している。
それでもマトオたち四人は、それぞれ自分に合った下着や衣服を購入して、実際に着替えている。
お次は武器・防具屋に行き、店内はまたまた他の勇者たちで大混雑してるけど、それでもマトオたち四人は、それぞれ自分に合った剣や鎧や盾などを購入して、実際に装備していく。
ここで最終的な容姿はこうなった。
勇者マトオ→青銅の剣・青銅の鎧/青色の上着とズボン。
戦士ハーリル→紅綱の剣・紅綱の盾/紅色の上着とミニスカートとニーハイソックス。
僧侶ルシティーク→白夜の槍・僧侶の帽子/純白の上着とミニスカートとニーハイソックス。
魔法使いエミリアス→黒刻の杖・魔女の帽子/紺色の上着とミニスカートとニーハイソックス。
近場のレストランで朝食を食べながら、今後の事について話し合うマトオたち四人。
「それで、これからどうするの? マトオ」
「………」
「うん、もう一度あの塔に戻ってみるつもりだ。」
「あの塔に……?」
「うん、やっぱりあの後が一体どうなったのか、俺は知りたいし、王様のお姉様が果たして救出されてるのか、俺は知りたいし、もしまだ救出されていないなら、俺たちにも救出のチャンスがやってくるハズだ。 とにかく王様からの依頼だから、無下にはできない。」
「わかったわ」
「はい、確かに」
「仕方ないわね」
「よし、決まりだ。 もう一度あの塔に行って、少し様子を見てみよう。」
「了解」
「はい」
「ええ」
ここで話がまとまって朝食を食べ終わると、早速もう一度、あの "SMエロスの塔" の方へ向かっていった。
目的地の "SMエロスの塔" に到着すると、なんと既に他の勇者たちも勇者である俺同様に、この "SMエロスの塔" まで来ていた。
どうやら考えてることは、みんな一緒のようだ。
塔の出入り口の扉が開いたままだ。
先日、勇者マイカたち『ブラックファントム』が扉を破壊したばかりで、一度破壊されると、もう復活できないようだ。
早速、他の勇者たちや俺たち四人のパーティーが塔の中に入っていって、その途中で特に何も起こらずに、あっという間に5階まで到着した。
この5階フロアも、もう特に何もない空間であり、かつてここに中ボスのガイコツモンスターがいた形跡さえも、思わず忘れてしまう程に、妙に静かで全く何もないフロアである。
そこに俺が周囲を見渡しながら―――
「俺たちは、ここで一度敗北している。 本来なら、ここに戻るべきではないんだけど、この後の事を知らずして、再び王様に謁見することは出来ない。 この依頼を受けた以上、俺たちも果たして無事に王様のお姉様が救出されたのか、確認したい。」
と俺はまるで独り言のように、同じパーティーの女性三人の仲間に語り聞かせていて―――
そこで俺たち四人でも、左側の奥の端にある登り階段を見つけていて―――
「よし、俺たちも勇者マイカたちに続くぞ。」
「おう」
「はい」
「ええ」
6階へ上がれる階段の目の前まで到着すると、俺たち四人が一気に、その階段を駆け上がって、次の6階を目指していった。
6階フロアに到着すると、思いっきりフロア中央に、7階へ上がれる階段があって、その周囲には、少し明るくて何か柱を破壊したような跡があって、他に特に何もなかった。
きっと何かあったのだろうと、思いつつも俺たち四人が、中央にある上へ上がる階段を登っていった。
7階フロアに到着すると、そのフロア中央には、既に空になったふたつの赤い宝箱が置いてあり、その奥の方には、左右に上へ上がれる階段がある。
ここの宝箱は、おそらく勇者マイカたちが取っていったのだろう。 問題は奥の方にある左右の登り階段。 一体どっちへ行ったんだろう?
そこで俺はルシティークに聞いてみた。
「ルシティークよ。
勇者マイカたちは、どっちの階段へ行ったと思う。」
「はい、おそらくは左側の階段を登っていった、と思います。 ちなみに右側の階段には、行かない方がいいと思います」
「ええ、なんだか右側の階段には、危険な香りがするわ。 左側の階段は普通の階段だから、私も左側の階段へ行った方がいいわよ。」
「そうか、ルシティークもエミリアスも左側の階段の方がいいか、よし、ならば左側の登り階段へ行こう。」
「おう」
「はい」
「ええ」
そう言うと俺たち四人も、奥の方にある左側の登り階段へ向かい、そのまま登っていった。
◎【八階】
「こ……これは一体……っ!!?」
ここで俺は、この8階フロアの状況を見て、凄まじい愕然をしていた。
こ、これは……一体どういうことなんだっ!!?
なんとまだ屋上でもないのに、いつの間にか、外に出ていて、そのフロア中央には、黄金の玉座が置いてあり、そこに漆黒の下着姿の美女が、余裕の座りで堂々と座ってる。
あの、お姿は……まさか……まさか……そんなぁっ!!?
「あ……あの方は……もしかして……っ!!?」
「ウ……ウソでしょ……これってっ!!?」
「えっ!!? これは一体どういうことなのっ!!?」
どうやら俺のパーティーの女性三人も、俺同様に、凄まじい驚愕をしていて、他の勇者たちも同じく凄まじい驚愕をしている。
また勇者マイカたち『ブラックファントム』の姿が、どこにもいなかったのだ。
その黄金の玉座に座る、漆黒の下着姿の美女とは、それは……まさに誘拐されて拉致されたハズの……あの王様のお姉様なのである。
なんかとんでもないことになってきた?
ちなみに勇者マイカたちは一体何処に行ってしまったのか?




