32、灰色の勇者『マトオ』登場!B
前回からの続きで、引き続き勇者マトオが話の中心にいます。
●【No.032】●
◎【五階】
このフロアでは、気絶していた他の勇者たちが起き始めてた。
だがしかし、勇者とは名ばかりの者たちが、あんな中ボス相手にあっさり倒されてしまい、武器も防具も衣服さえもない状態で、一旦引き帰さないといけない状況になった。
徐々に他の勇者たちが階段を降りて、1階へ向かうなか、灰色の勇者『マトオ』率いるパーティーも、これからどうするか思案・検討していた。
この勇者マトオ率いるパーティーとは、勇者マトオ (男性:28歳:レベル55)、戦士ハーリル (女性:23歳:レベル47)、僧侶ルシティーク (女性:22歳:レベル46)、魔法使いエミリアス (女性:24歳:レベル48) の四人で構成されてるハーレムタイプのパーティーである。
女性三人共にマトオのことが好きで、三人はマトオとファーストキスは勿論だが、初体験も既に済ませている。 (※なので、マトオも既に童貞ではない) それなので、マトオに自分たちの下着姿を見られても、たいして動揺・狼狽しない。 もうマトオと彼女たちは、そういう関係である。 (※別に結婚してる訳ではない)
マトオたち四人は今後について話し合う。
「まいったな。 まさかこんな所でいきなり躓くとはな。」
「ええ、まったくよ。 どーすんのよぉーマトオ。 こんな状態じゃ、とても戦えないわよ。 剣も槍も杖もない上に、下着姿なんてぇ」
「うん、そうだね。 衣服も武器も防具も粉々じゃ、とても戦える状態じゃないわね。 下手すると、即全滅だわ」
「……どうしますか? マトオ」
「ああ、わかってる。 仕方ないから、一旦この塔を出て、近くの町に行く他ないだろう。 一旦退却ってヤツだな」
「……判りました。 マトオ」
「それにしても、あのガイコツモンスターを倒したのは、一体誰なのかしら?」
「はい、たしか勇者マイカさんという女性が倒したとか……」
「勇者マイカ……聞かない名前だな。 新入りの勇者なのか?」
「はい、ここ最近で登場した女性の勇者さんだと聞いています。」
「う~ん、まさか彼女一人で倒したのか? ルシティーク」
「いいえ、四人組パーティーだそうで、パーティー名は『ブラックファントム』です。 全員が女性で構成されていて、勇者マイカさん、戦士ラグレテスさん、神官アロトリスさん、大魔女シャニルさんの四人です。」
「う~ん、みんな聞かない名前だな。 全くの無名のパーティーがあのガイコツモンスターを倒したのか?」
「はい、そういうことになりますね。」
「その『ブラックファントム』って、現在何処にいるか、わかるのか?」
「はい、おそらくはもう8階まで行ってると思われます。」
「……は、8階……だと!?」
「ウソ、ちょっと早くない? いくらなんでも!」
「………」
「そ、そんなに彼女たちが強いってことかしら?」
「それにしても―――」
「「「?」」」
「もう8階まで……これは追いつけないかもしれないぞ。 今から急いで近くの町まで戻って、武器・防具・衣服を買い揃えて、再びこの塔に戻っても、もう彼女たちが "お姉様" を救出したあとかもしれないな。」
「な~に、もう指を咥えて諦めるの? マトオ」
「ちょっと待って!? まさかこのまま彼女たちのあとを追うつもりじゃないだろうなぁ!? ハーリル、私はごめんだわ! こんな下着姿でモンスターと戦えるかっ!?」
「はい、私もエミリアスに賛成です。 このまま行っても、モンスターに瞬殺されるでしょう。 上に行けば行く程、モンスターは強くなっていきますから。」
「………」
「そういうことだ、ハーリル。 ここは一旦態勢を立て直し、出直すべきだろう。 そうしないと、今後の冒険にも影響する。」
「わかったわ。 マトオがそう言うんじゃ、仕方ないわね。 今回は撤退しましょう。」
「うん、それがいい。 無理は禁物だ」
そう言うと、マトオたち四人は立ち上がり、他の勇者たちと一緒に階段を降りていき、1階まで到着すると破壊された扉から、この "SMエロスの塔" を出ていった。
勿論、途中でモンスターが出現しても、衣服はボロボロ、武器・防具は粉々、おまけに中ボスのガイコツモンスターとの戦闘によるダメージも残っていて体力も低下、こんな状態でモンスターと戦闘できるワケもなく、すぐに逃亡。 なるべくモンスターとの戦闘を極力避けて、なんとか近場の町へ向かうマトオたち四人。
先程までいた "SMエロスの塔" から近場の町、"ルモレーゲンの街" に到着したマトオたち四人。
既に他の勇者たちも到着しており、もう夜になっていて、お店も閉まっているので、今夜は宿屋を探すことにした。
少しして、なんとか宿屋が見つかり、宿泊部屋も予約なしでとれた。
「宿屋が見つかりました。 部屋もとれました。 マトオ」
「そうか、よかった。」
「ですけど、ひとつ問題が発生しました。」
「……問題……?」
「それほど深刻な問題ではありませんけど……」
ただし、他の勇者たちも宿泊する為に、宿泊部屋は一部屋しかとれなかった。
つまり、マトオたち四人で一部屋である。
その宿泊部屋の中は、それほど狭くはなく、テーブルやソファーや椅子などの色んな家具があるけど、一際目立つのが、大きめサイズの白いベッドがふたつあること。
マトオたち四人が部屋の中に入り、周囲を見渡す。
「へぇ~ まあまあの部屋ねぇ~」
「今夜も宿屋に泊まれてよかったです。」
「なかなか大きいベッドだわ。 このサイズなら二人分はいけそうね。」
「じゃあ、そろそろ寝ようか。 俺はソファーにでも―――」
ここで女性陣が声を上げた。
「二人分のベッドなんだから、一緒に寝ようよぉ~ マトオォ~」
「そうだよ。 一人だけソファーなんて悲しいよ。」
「そ、そうか? じゃあ、どうすればいいんだ?」
ここでルシティークが―――
「今夜は私が一緒に寝ますマトオ。 二人共、よろしいですね?」
「わかってるわルシティーク。 順番だからね」
「まぁ、今夜は譲るよルシティーク」
「……と言うワケですので、よろしいですね? マトオ」
「わ、わかったよ。 ルシティーク、今夜は君と一緒に寝るよ」
「ありがとうございます。 マトオ」
そこでマトオ、ハーリル、ルシティーク、エミリアスの四人が下着を脱いで全裸になって、今夜はハーリルとエミリアスが一緒のベッドに、マトオとルシティークが一緒のベッドに、それぞれ寝ることになった。
そして、皆が寝静まった頃に、
「今夜も抱きついていいですか? マトオ」
「ん、あっ、ああ、いいよ。 ルシティーク」
「ありがとうございます。 マトオ」
ギュゥーッ!
こうして全裸のルシティークと一緒に寝る場合は、全裸のマトオに抱きついて寝ることが、いつも通りの日課になってる。
勇者マイカ以外の勇者を少し設定して取り上げている。
この勇者もサブキャラで終わるか、または登場する機会が増えるか、これから次第である。




