30、未知なる暗黒6階フロア
●【No.030】●
◎【六階】
私たち『ブラックファントム』は無事に6階に到着した。
このフロアは真っ暗で明かりがない。
「………」
なので当然、周囲を見渡しても何も見えない。
ここで闇雲に歩いても仕方がない。
そこで大魔女シャニルが火の魔法を使って、指先から小さな火の玉を作り出し、私が『魔法の地図』を持って、火が明かりの役目を果たし、それで6階フロアの内容と様子を確認した。
しかし、なんと『魔法の地図』の "SMエロスの塔" の6階部分が、何か黒く塗り潰されたように、まるで何も見えない……?
「えぇーーーっ!!? ちょっとちょっとナニコレッ!!? 何も見えないじゃないっ!!?」
「こ……これは……参りましたね……まったく何も見えない……です……」
「実際の場所も真っ暗で『魔法の地図』も真っ暗……ってことですか……っ!?」
「……ちっ、嫌な階ね………」
「えーーーっ、どうしよう~~~!!?」
私たちは途方に暮れていた。
これだと闇雲に歩かないといけなくなる。
自ら進んで危険なことはしたくないんだよねぇ~。
何、この手詰まり感。
もうチェックメイトなの?
ここで私たちが動揺・困惑してると、この異世界の物知り博士のミドリが、私たちに疑問を投げかけた。
「ねぇねぇ、この暗闇少しおかしくない? マイカ」
「えっ、何がおかしいのよ? ミドリ」
「この6階フロアも他の階と同じ構造だと思うけど、この階のフロアだけ、異常に暗くない? 普通なら、外から光が射し込んだり、壁に松明があったり、ある程度の室内の明るさは保ってるはずだよ?」
「それがどうしたのよ?」
「いや、確かにその通りです。 ミドリさん、このフロアだけ異常に暗すぎます。」
「それって、もしかして―――」
「うん、これは人為的に暗くしてるね。 つまり、このフロアにも中ボス的な敵がいるんだよ?」
「えっ、このフロアにも中ボスがいるの? そうか、だから『魔法の地図』も真っ暗なままなのね?」
「はい、おそらくその中ボスを倒さない限り、『魔法の地図』も正常に戻らないと思います。」
「ふ~ん、あっそう」
まぁ、よく出来てること。
ここにも中ボス出現中とはね。
でも、どうやって倒す?
こう真っ暗では、私たちの攻撃は当たらないかもしれないわよ?
それに中ボスの敵の方も、私たちに攻撃する気配がないし……。 そもそも本当に敵が居るのかどうかも、よく解らないのよねぇ~?
それにいくら私でも、敵の姿が目視できなければ、攻撃のしようがないわぁ。 だって、攻撃は当たらなければ、意味がないものねぇ~。
早くも手詰まり感ねぇ~。
もうこれ、チェックメイトしかないわよねぇ~?
私たちが途方に暮れて、動揺・困惑しながら一生懸命に考え込んでいると、そこにミドリがまた―――
「マイカ! こういう時こそ、アレを使うんだ!」
「……アレ……??」
「アレだよアレ! 魔蛇の剣の特殊能力を使うんだよ!」
「……魔蛇の剣……??」
「そうだよ! 今こそ魔蛇の剣の特殊能力を使うんだよ! マイカ」
「…うん…」
そこで私がミドリの言う通りに、先程入手した魔蛇の剣を取り出して、剣先をフロアの奥の闇の方に向けた。
この魔蛇の剣には、敵の動きを封印して、その場に固定させる特殊能力があって、その特殊能力発動中は、この剣での攻撃ができないみたいだね。
すると、その剣先から紫色の蛇の鎖が飛び出してきて、そのまま素早くフロアの奥の闇の方に向かっていった。
やがて少し時間が経過すると、この6階フロアの暗闇が少しずつ晴れてきて、徐々に明るくなると同時に、そのフロアの中央には、"大きく太く白い柱" があって、この柱に紫色の蛇の鎖が巻き付いている。
あれ? 柱……??
モンスター・中ボスではなく、ただの柱っ!?
もしかして、あの柱がこの階のフロアを暗闇にした原因・正体なの……??
これ、ただの柱よねぇ~?
この "大きく太く白い柱" とは、上側の先端が少し丸まっており、黒い注連縄みたいなモノが付いていて、天井には繋がっていない独特の柱となってる。
まるで何かの形に似てるようなぁ……??
私が疑問に思ってると、そこでもまたミドリが―――
「あとはアレを破壊すれば、この階のフロアもクリアして、きっと『魔法の地図』も正常に戻ると思うよ。 マイカ」
「あら、そう? ならラグレテス、アレ破壊して」
「はい、判りました。 マイカさん」
そう言うとラグレテスが、さらに前へ歩いていき、柱の目の前で立ち止まった。
さっきよりも、この階のフロアが明るくなっていて、少しは歩きやすくなってる。
そこでラグレテスが漆黒の剣を両手で持って構えて、それを天高く上に振り上げてから、そのまままっすぐ素早く振り下ろした。
「おりゃぁああぁぁーーっ!!」
ブゥン、ズジャァン、ズドォン、ドザァン!
灰色の突風・衝撃が発生した瞬間、灰色のエネルギーの光刃が素早く柱の中心部に激突・直撃して、そのまま柱が粉々に砕け散った。
【ストリンガー・デスティネーション・ソーサリー】
すると、この6階フロアの空間が一気に明るくなっていき、先程まで "大きく太く白い柱" があった場所(中央)には、上階へ上がる登り階段が出現した。
「おお、やったぁーーっ!!」
「はい、これで『魔法の地図』も正常に戻りましたね。 マイカさん」
「また目の前に階段が現れて、これで上階へ上がれますね。 マイカさん」
「はい、これで次の七階へ行けて良かったですね。 マイカさん」
「さぁ、みんな行きましょう!」
そこで私たち『ブラックファントム』は、次の七階へ上がる為に、中央にある登り階段の方へ歩いていった。
それで果たして、あの柱は敵だったのか…?
アレは中ボスモンスターだったのか…?
まぁ、もう破壊してしまったので確認のしようがない…?




