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絶望老人が異世界転生をしたら、もう既に最強無双になっている?  作者: 賭博士郎C賢厳
A.アリスノヴァイン王国編 ~SMエロスの塔~
37/122

30、未知なる暗黒6階フロア

  ●【No.030】●



 ◎【六階】


 私たち『ブラックファントム』は無事に6階に到着した。


 このフロアは真っ暗で明かりがない。


「………」


 なので当然、周囲を見渡しても何も見えない。



 ここで闇雲(やみくも)に歩いても仕方がない。

 そこで大魔女シャニルが火の魔法を使って、指先から小さな火の玉を作り出し、私が『魔法の地図』を持って、火が明かりの役目を果たし、それで6階フロアの内容と様子を確認した。

 しかし、なんと『魔法の地図』の "SMエロスの塔" の6階部分が、何か黒く塗り潰されたように、まるで何も見えない……?


「えぇーーーっ!!? ちょっとちょっとナニコレッ!!? 何も見えないじゃないっ!!?」

「こ……これは……参りましたね……まったく何も見えない……です……」

「実際の場所も真っ暗で『魔法の地図』も真っ暗……ってことですか……っ!?」

「……ちっ、嫌な階ね………」

「えーーーっ、どうしよう~~~!!?」


 私たちは途方に暮れていた。

 これだと闇雲(やみくも)に歩かないといけなくなる。

 自ら進んで危険なことはしたくないんだよねぇ~。


 何、この手詰まり感。

 もうチェックメイトなの?




 ここで私たちが動揺・困惑してると、この異世界の物知り博士のミドリが、私たちに疑問を投げかけた。


「ねぇねぇ、この暗闇(くらやみ)少しおかしくない? マイカ」


「えっ、何がおかしいのよ? ミドリ」

「この6階フロアも他の階と同じ構造だと思うけど、この階のフロアだけ、異常に暗くない? 普通なら、外から光が()()んだり、壁に松明(たいまつ)があったり、ある程度の室内の明るさは保ってるはずだよ?」

「それがどうしたのよ?」

「いや、確かにその通りです。 ミドリさん、このフロアだけ異常に暗すぎます。」

「それって、もしかして―――」


「うん、これは人為的に暗くしてるね。 つまり、このフロアにも中ボス的な敵がいるんだよ?」

「えっ、このフロアにも中ボスがいるの? そうか、だから『魔法の地図』も真っ暗なままなのね?」

「はい、おそらくその中ボスを倒さない限り、『魔法の地図』も正常に戻らないと思います。」

「ふ~ん、あっそう」


 まぁ、よく出来てること。

 ここにも中ボス出現中とはね。


 でも、どうやって倒す?

 こう真っ暗では、私たちの攻撃は当たらないかもしれないわよ?

 それに中ボスの敵の方も、私たちに攻撃する気配がないし……。 そもそも本当に敵が居るのかどうかも、よく解らないのよねぇ~?


 それにいくら私でも、敵の姿が目視できなければ、攻撃のしようがないわぁ。 だって、攻撃は当たらなければ、意味がないものねぇ~。


 早くも手詰まり感ねぇ~。

 もうこれ、チェックメイトしかないわよねぇ~?




 私たちが途方に暮れて、動揺・困惑しながら一生懸命に考え込んでいると、そこにミドリがまた―――


「マイカ! こういう時こそ、()()を使うんだ!」

「……()()……??」

「アレだよアレ! 魔蛇の剣の特殊能力を使うんだよ!」

「……魔蛇の剣……??」

「そうだよ! 今こそ魔蛇の剣の特殊能力を使うんだよ! マイカ」

「…うん…」


 そこで私がミドリの言う通りに、先程入手した魔蛇の剣を取り出して、剣先をフロアの奥の闇の方に向けた。


 この魔蛇の剣には、敵の動きを封印して、その場に固定させる特殊能力があって、その特殊能力発動中は、この剣での攻撃ができないみたいだね。


 すると、その剣先から紫色の蛇の鎖が飛び出してきて、そのまま素早くフロアの奥の闇の方に向かっていった。



 やがて少し時間が経過すると、この6階フロアの暗闇(くらやみ)が少しずつ晴れてきて、徐々に明るくなると同時に、そのフロアの中央には、"大きく太く白い柱" があって、この柱に紫色の蛇の鎖が巻き付いている。



 あれ? 柱……??

 モンスター・中ボスではなく、ただの柱っ!?

 もしかして、あの柱がこの階のフロアを暗闇(くらやみ)にした原因・正体なの……??

 これ、ただの柱よねぇ~?


 この "大きく太く白い柱" とは、上側の先端が少し丸まっており、黒い注連縄(しめなわ)みたいな()()が付いていて、天井には繋がっていない独特の柱となってる。

 まるで()()()()に似てるようなぁ……??




 私が疑問に思ってると、そこでもまたミドリが―――


「あとは()()を破壊すれば、この階のフロアもクリアして、きっと『魔法の地図』も正常に戻ると思うよ。 マイカ」

「あら、そう? ならラグレテス、()()破壊して」

「はい、判りました。 マイカさん」


 そう言うとラグレテスが、さらに前へ歩いていき、柱の目の前で立ち止まった。


 さっきよりも、この階のフロアが明るくなっていて、少しは歩きやすくなってる。


 そこでラグレテスが漆黒の剣を両手で持って構えて、それを天高く上に振り上げてから、そのまままっすぐ素早く振り下ろした。


「おりゃぁああぁぁーーっ!!」


 ブゥン、ズジャァン、ズドォン、ドザァン!


 灰色の突風・衝撃が発生した瞬間、灰色のエネルギーの光刃が素早く柱の中心部に激突・直撃して、そのまま柱が粉々に砕け散った。


【ストリンガー・デスティネーション・ソーサリー】


 すると、この6階フロアの空間が一気に明るくなっていき、先程まで "大きく太く白い柱" があった場所(中央)には、上階へ上がる登り階段が出現した。


「おお、やったぁーーっ!!」

「はい、これで『魔法の地図』も正常に戻りましたね。 マイカさん」

「また目の前に階段が現れて、これで上階へ上がれますね。 マイカさん」

「はい、これで次の七階へ行けて良かったですね。 マイカさん」

「さぁ、みんな行きましょう!」


 そこで私たち『ブラックファントム』は、次の七階へ上がる為に、中央にある登り階段の方へ歩いていった。



それで果たして、あの柱は敵だったのか…?

アレは中ボスモンスターだったのか…?

まぁ、もう破壊してしまったので確認のしようがない…?

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