26、謎の中ボス登場
●【No.026】●
◎【四階】
そこで―――
「―――ここは……」
私は周囲を見渡す。
なんと、この階は複雑な迷路になっている。
やっぱり、この階からはもう単純な構造ではなく、複雑な迷路の通路になっていて、結構迷いそうな感じになっている。
さらに段階を出た所の入り口には、既にふたつの通路に分かれている。
この階からは、登り階段もふたつ以上あるみたいで、出現するモンスターも強そうになってるみたいね。
どうやら、ここから先は一筋縄ではいかないようね。
多少なりとも薄暗く細い通路になっていて、先を通ったであろう他の勇者たちは、この迷路を迷わずに脱け出せただろうか?
だけど、私たち『ブラックファントム』には、先程入手した『魔法の地図』がある。 これがあれば、道に迷わず行けるはずよね?
大魔女シャニルが『魔法の地図』を取り出して、まずは右側の通路を指差した。
「こっちみたいです。」
そこで私たちは、階段を出た所の入り口の、左右に分かれた通路の右側の通路の方を歩いていく。
その後も、この複雑な道を『魔法の地図』を頼りにしながら進んでいき、出現してきた強力なモンスターは、前衛の私かラグレテスが倒していく。 後衛のシャニルとアロトリスは、私たちの援護射撃である。
この後も複雑な迷路を、右に曲がったり、左に曲がったり、また右に曲がったりして、どんどん先に進んでいき、強力なモンスターもどんどん倒していき、今のところは迷わずに進んでるみたいね。
ちなみに途中で見つけた宝箱は、中身が空っぽだった。 どうやら、先行している他の勇者たちが取っていってるようね。
やがて、まっすぐの道が続いていき、強力なモンスターを倒しながら、私たちが歩いていくと遠くの方から、登り階段が少しずつ見えてきた。
「あらあら、階段が見えてきましたわね。」
「あの階段が、次の5階に行ける階段ですかね?」
「いえ、それはまだ……」
「確かに複雑だったけど、この『魔法の地図』があるから、ある程度、迷わずにここまで来れましたわね?」
「ここまで特に何も起こらず来れたわね。」
「…はい…」
そう言いながら、私たちが、あの登り階段(中央部)の方に向かって歩いて近づく。
ここまで特に何も問題が起きておらず、またこの階でも他の勇者たちとは、まだ出会っていない。 複雑な迷路の為なのか、既に先に行ってしまったからなのか、もう誰もいないようね。
ここで迷路の出口にあたり、登り階段(中央部)の手前に差し掛かる所で、突然シャニルが私たちに声をかけた。
「そこでストップしてください。」
「……?」
「どうしたの? シャニル」
「はい、階段の手前に "落とし穴" があります。」
「…えっ!?」
「なんと!?」
「それじゃあ、この先には行けないわね。」
「このまま引き返して、別の階段を使用しましょう。」
「仕方ありませんね」
「ええ、わかったわ」
そう言うと、私たちがもと来た道を戻りながら、また右に曲がったり、左に曲がったりして、またまた左に曲がったりすると、あとはまっすぐな道が続いていて、むこうの方の遠くから、うっすらと登り階段が見えてきた。
「あらあら、階段が見えてきましたわね。」
「今度のあっちの階段は登れますかね?」
「さぁ、どうかしらね?」
「でも残念ですが、罠などの仕掛けは目前まで近づかないと、よく解りません。」
「へぇ~ そうなのねぇ~」
「それでも、この『魔法の地図』さえあれば、この程度の迷路なら迷わずに進めますね。」
「ホント、助かるわねぇ~」
そう言いながら、私たちが、あの登り階段(右側端)の方に向かって歩いて近づく。
ここで私たち『ブラックファントム』は、その登り階段(右側端)の目の前に到着した。
今度の階段は、"落とし穴" や他の罠の仕掛けとかは、特に何もないようね。
どうやら普通に登れる階段のようね。
まぁ、確かに少しは強いモンスターも出現してきているけど、それほど慌てるほどのことでもないようね。
そこで私がみんなに改めて確認する。
「次がいよいよ5階よね? みんな」
「はい、問題の5階です。 マイカさん」
「はい、危険な5階です。 マイカさん」
「なんだか、今からドキドキしてきました。」
「みんな、心と戦いの準備はいい?」
「「「はい!」」」
「じゃあ行くわよ!」
気合いを入れ直した私たちが、そのまま登り階段(右側端)を登っていった。
◎【五階】
そこで―――
「―――ここは……」
私は周囲を見渡す。
この5階のフロアは、真っ暗な広い空間であり、フロアのいたる所に複数の柱が立ってあって、柱の上部には松明が備え付けられていた。
また大魔女シャニルが、火の魔法で小さな火の玉を作り出し、周囲を照らす。
「「「っ!!?」」」
「こ……これは……っ!?」
なんと異常な光景であった。
他の勇者たちや、その仲間の人達の衣服がボロボロに破けて無くなっていて、そこら辺の地面に倒れていた。
私は思わず、このフロアの中央部を見た。
そこにいたのが、白色の貴族の服と真紅のマントを着た朱色のガイコツで、左手には銀色のサーベルを持っていて、不敵な笑みを浮かべて堂々と立っていた。
こいつが《SMエロス伯爵・リン》である。
遂にボス戦……開始の予感……っ!!?




