22、『魔法の地図』
●【No.022】●
私たち『ブラックファントム』は "SMエロスの塔" の中に入った。
既に他の勇者たちは、だいぶ先に進んでいる。
扉での遅れた分を取り戻すつもりらしいけど、失礼なことにお礼の一言もなく、さっさと行ってしまったことに、私自身少々ムカッとしている。
まぁ、それはいいとして、取り敢えず塔の中に入ったはいいものの、闇雲に歩き回るわけにもいかないし、これから一体どうすればいいのかしらね?
ここで大魔女シャニルが塔のダンジョンでの注意事項を話していた。
「マイカさん、まずは『魔法の地図』を手に入れましょうか。 そうすればダンジョン内でも楽に進めますよ。」
「……えっ、『魔法の地図』って……?」
「はい、その『魔法の地図』とは、中に入ったダンジョンの内部構成がわかる仕組みになっています。 つまり、その『魔法の地図』では、この塔のダンジョンの内部がわかる地図に変化します。」
「へぇ~ 便利ねぇ~ なんかゲームに出てきそうなアイテムよねぇ~」
「でも、それでしたら早い者勝ちですかね? そのアイテムはひとつしかないのでしょう?」
するとシャニルが得意顔で偉そうな態度で話しを続ける。
「このアイテムはなかなか見つけにくい場所に隠されています。 私が占いでなんとか探してみましょう。 それにこのアイテムのことを知ってる者も、それほど多くないと思いますよ?」
「ふ~ん、なるほどねぇ~ それじゃあまずは、その地図から探しましょうか。」
「はい、判りました。」
「でも、私たちが地図を探してる間に、他の勇者たちが先に "お姉様" を救出してしまったら、一体どうするんですかマイカさん?」
今度は私が得意顔で偉そうな態度で話しを続ける。
「そこはたいした問題ではないわよ? 勿論、私たちが "お姉様" を救出することにはかわりないけど、他の勇者たちに先に救出されても、特に何も問題ないわよ?」
「「「……」」」
「それに『魔法の地図』などの貴重なアイテムを入手することは、これからの冒険に必要になるから、必ず入手しておきたいのよ。」
「「「……」」」
「それともっとも重要なのは、その "お姉様" を誘拐した犯人の存在よ? おそらく、今までの私の経験上、なめてかかると痛い目に遭う敵かもしれないわよ?」
「そ、そんなに強い敵なのですか?」
「私は常に最悪の状況を想定してるのよ。 だから、今回の敵に対しても慎重に物事を判断した方がいいわね?」
「なるほど、だから、他の勇者たちに、まずは先に "お姉様" を救出してもらい、敵の存在・能力などを把握する……ということですか?」
「あぁ~」
「ええ、そうね。 使えるモノはなんでも使わないともったいないでしょう?」
「はい、判りました。 それでは、まず『魔法の地図』から探しましょう。」
「決まりね。 シャニル、まず何処に行けばいいのかしら?」
「はい、地下に反応があります。 地下に通じる階段を探しましょうか。」
「ええ、わかったわ」
そこで他の勇者と仲間たちが上に通じる階段を探す中で、私たち『ブラックファントム』だけが下に通じる階段を探すことにした。
まず私たちは、この広い一階フロアをしらみ潰しに探してみた。 他の勇者たちが上に向かう階段を見つける中で、どうしても下に向かう階段が見つからない。
そして、上に向かう階段を見つけると、他の勇者と仲間たちが我先に急いで階段を駆け上がり、次の二階を目指している中で、私たち『ブラックファントム』はまだこの広い一階フロアをウロウロしていて、遂にはこの広い一階フロアでは私たちだけになっていた。
ちなみにこの広い一階フロアには、モンスターの気配はないようね。
この後も私たちは、この広い一階フロアを隅から隅まで探し回ったけど、やっぱり、地下へ行ける階段は全く見つからないようね。
結局、地下へ行ける階段が見つけられなかった私たちは、この広い一階フロアの中央の空間に集合していた。
「地下に通じる階段がないみたいだけど……?」
「……」
「おかしいですね? 地下なんてないのでしょうか?」
「いや、私の占いでは間違いなく『魔法の地図』は下にあるはずです。」
「でも、どうやって地下まで行きましょうか?」
「そうねぇ~」
私たちが地下に行く為の階段を見つけられないことで相談していたんだけど、その時、私の足下にあった「赤いボタン」らしきモノを足でポチッと押してしまった。
「えっ!?」
「あっ!?」
「うっ!?」
「んっ!?」
すると私たちの足下にあった地面が突然フッと消えてしまい、なんと大きな『落とし穴』となって、私たちはまっ逆さまに落下してしまった。
ヒュゥウウウーーーッ、ドササッ!
「いたたっ!」
「痛い! 一体何ですかっ!?」
「いっつぅ、お……落とし穴……っ!?」
「なるほどね、そういう仕掛けなのね」
それほどの高さがなかった為、かすり傷程度で済んだけど、これで地下に行けたみたいね。
こういう仕掛けなら、おいそれと簡単に入手できるアイテムではなさそうね。
それにしても暗いわね……ここ。
「みんないるの?」
「はい、シャニルここにいます。 マイカさん」
「はい、アロトリスもここにいます。 マイカさん」
「は~い、ラグレテスもここにいますよ~。 マイカさ~ん」
「みんな無事のようね。 シャニル……火を」
「はい、判りました。」
ボワッ!
大魔女シャニルが指先から、小さな火の魔法を発動させて、周囲が少し明るくなった。
ここはどうやら何処かの暗く細い通路のようね。
「さぁ、行くわよ」
「「「はい!」」」
そこで私たちは、その真っ暗な細い通路を歩き始めた。
まずは『魔法の地図』の入手から開始する。
まずは地下から冒険開始ね!!




