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絶望老人が異世界転生をしたら、もう既に最強無双になっている?  作者: 賭博士郎C賢厳
A.アリスノヴァイン王国編 ~王都へ向かえ~
27/122

20、王様との謁見A

 

 [令和二年元日]


 [謹賀新年、明けましておめでとうございます]


 [今年も宜しくお願いします]

  ●【No.020】●



 勇者マイカたち一行は勇者専用の "ギルド冒険商" の某所にある隠し通路から王宮を経由して、その建物の一番奥にある "玉座の間" まで歩いていく。

 勇者マイカたち一行の前を行くのが、担当する王護聖騎士であり、王様が待つ "玉座の間" まで案内している。

 その隠し通路はほぼ一直線の通路であり、行き止まりには、大きく頑丈な扉が現れていて、その前の左右には、二人ずつの合計四人の衛兵が立って見張っている。



 そこで衛兵たちが、その大きく頑丈な門を四人がかりで開けていく。 ―――ギギギィィィーーーッ!! という重く鈍い音を立てて、その門がどんどん開いていく。






 その『玉座の間』とは、部屋自体は細長く広くて、地面には細長く赤い絨毯が敷かれており、天井には複数の小型の白い円形のライトみたいな明かりが鈍く光っており、左右端の壁には沢山の黒い柱がずらりと並んで立っている。


 この『玉座の間』の中に勇者マイカたち一行が、案内を担当する王護聖騎士を先頭に、どんどん奥の方に歩いていく。



 私たちがどんどん歩いていき、王様が座ってるはずの玉座に無言で近づく。

 私の想像では、白髪で白いヒゲを()やしたヨボヨボのお爺さんじゃないかなぁ?

 よくゲームの中に出てくる王様が、「おぉ、よく来たな。 勇者よ」とか「おぉ、勇者よ。 よく来たな。」とか言ってくるんじゃない?

 私が色々と考えながら歩いていたら、私たちの目の前に玉座に座る王様が姿を現した。



 あれ、あれ、あれれぇぇ?

 その玉座は黄金に輝き、そこに座るのが、約十三歳の黒髪の可愛い少年が豪華な王族衣装を着ていて、私たちの前に現れていた。


 そうなの。 私が想像していた王様像はヨボヨボの老人ではなく、まだ十三歳くらいの童顔の少年だったのよぉ!


 そこで私がまた考え込んでいると、王様が私たちに話しかけてきた。


「皆さん、どうもはじめまして。 ボクはこの王国の王様をしています。 アリスノヴァイン六世です。 どうも宜しくお願いします。」


 普通の少年の可愛らしい声だ。


「は~い、どうもぉ~ 私の名前はマイカ。 勇者マイカだよぉ~ ヨロシクねぇ~♪」

「はい、こちらこそ宜しくお願いします。 王様」

「ところで私たちは一体どういった用件で呼ばれているのでしょうか?」


「うん、実はこの街……王都・城下町の "プリデミア" の北東地方に巨大な塔がありまして―――」


 うふふ、やっぱり予想通りだねぇ~♪ ―――だとすると、この流れだと―――


「―――ボクのお姉ちゃんが何者かに連れ去られて、あの塔まで行っちゃったんだよ。 すぐにその連れ去った奴を倒して、お姉ちゃんを助けて欲しいんだよね。」


 ビンゴォ♪ 八割正解♪ でも随分(ずいぶん)切迫してないわねぇ? 自分の姉が誘拐されたのに、どこかマイペースな感じ……だけど?

 そういう性格なのかしら?


「お、王様のお姉様が誘拐……っ!? それは大変ですねっ!!」

「では、すぐにでも行って救出しなければいけませんね!!」

「ちなみに、その塔の名前はなんと言うのですか?」


「うん、確か…… "SMエロスの塔" って言ってたかな?」


 ………


「なんだか、変わった名前ですね? そんな塔があったとは……?」


 ……名前については、まぁどうでもいいけど、このまま王様のお姉ちゃんの救出に向かえば、塔の頂上には、中ボスが待ち構えていて、戦闘に発展していく。 ありがちね、まぁ最初のクエスト・ダンジョンにしては、まずまずのところね。


「ちなみに、私たちの前にも勇者がいたと思うけど、彼らももう、その塔に行ったのかしら?」


「うん、勿論だよ。 マイカお姉ちゃん、でもまだ誰一人として、ボクのお姉ちゃんを救出して帰ってこないんだよ。 一体なんでだろうね?」


 ………


「……何かあったんでしょうか? マイカさん、他の勇者たちがまだ戻ってこないですけど……?」

「う~ん、なんでだろうね?」


 考えられる答えは、みっつ。 ひとつ目は他の勇者たちがダンジョンの沢山のトラップに引っ掛かってしまい、進退極まった状態。 ふたつ目はお姫様 (王様のお姉ちゃん) を誘拐した奴が、予想以上に強くて、みんな()られちゃった状態。 みっつ目はこの塔が一回侵入すると、二度と出れなくなる状態。 あとは思いつかないけど、 まぁそんな感じかなぁ~。


 ある程度の予想が出来るぶん、私は結構有利だと思うけど、いざという時に果たして対応・対処できるかなぁ~?

 まぁいっかぁ~。


「ん~ だいたいわかったわ。 それじゃあ、その塔に行ってみようかなぁ~♪」


「うん、それじゃあ (ボクから見て) 左側にある(ホコラ)から、その "SMエロスの塔" の入口まで一気に行けるから、()()使ってね。」


 ………


「……(ホコラ)……?」

「なんで、そんな()()があるのでしょうか?」

「その塔まで一気に行ける(ホコラ)ですか?」


「そんな細かいことは、気にしないの。」


「さすがマイカお姉ちゃん。 話がわかるね。 それじゃあ早速(さっそく)お願いね」


「は~い、わかったわ、王様」


 そう言うと、私たち『ブラックファントム』は担当する王護聖騎士の案内で、右側にある小道の一本道の突き当たりにある(ホコラ)の中にある『ワープ』で、目的地である "SMエロスの塔" の入口まで一気に行く。




 (ホコラ)に行く途中で、私たちを担当する王護聖騎士が、私たちにある質問をしてきた。


「あのぉ~ ひとつ聞きたいのですが、マイカさんたちは成功報酬の褒美や褒賞について聞きませんでしたけど、何故ですか?」


「えっ、褒美が貰えるの?」


「……あっ……いえ……私にはよく解りませんが……」


「ふ~ん、そうなのね」


 特に王様からの褒美や褒賞は期待してない。

 何故なら、褒美や褒賞は『ダンジョンの中にある宝箱の中』にあるからだ。 どちらかと言うと、王様からの褒美や褒賞よりも『ダンジョンの中にある宝箱の中』の方が、よっぽど実用性や値打ちなどが高いのよねぇ~。


 そう思ってるうちに、あっという間に(ホコラ)に到着したので、私たちは早速(さっそく)『ワープ』の中に入っていき、あの "SMエロスの塔" の入口まで向かった。


どうやら王様は子供でしたね。

さぁ勇者マイカの最初の塔がやって来ました。

これから一体どうなることやら?

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