15、結構魅惑な温泉街B
今回はふたつの視点から物語が進んでいく。
●【No.015】●
現在、マロニューウナの町に滞在している勇者マイカたち一行は、この街の最大の魅力であり、唯一の観光スポットでもある「温泉館」の温泉に入浴しようとしていた。
私たち三人が脱衣場から、その先にある温泉への扉を開けると、そこには屋根がついた、とても広い露天風呂があった。 石で造られた洗い場には、簡単にお水やお湯が出るようになってるし、石で造られた風呂場もなかなか広くゆったりした感じで、お湯の熱さも丁度いい感じになってる。
ちなみに今は誰もいないみたいね。 ほとんど貸切状態ね。
まぁ、異世界の温泉にしては、なかなか良い感じゃない?
温泉のお湯の湯気がとても凄くて、辺りが少し曇っていて、全裸の私たちの大事な部分が、湯気で隠れて見えないみたいね。
皆さんもぜひ、ご想像してみて下さい。
「へぇ~~♪ なかなか広いわねぇ~~♪」
「はい、確かに広くて、とても気持ち良さそうですね?」
「はぁ~ お風呂ですか? ホント良いですよね?」
「さぁ、入ろう♪」
私たち三人が、そのままお風呂に身体を浸かり、肩まで入浴した。 私たちの大きな胸が湯船に、ぷかぷか浮いている。
「はぁ~~♪ ホント気持ち良いわねぇ~~♪」
「は~い、そうですよねぇ~~♪ ホント良いですよねぇ~~♪」
「はぁ~~♪ これは生き返りますぅ~~♪」
その後も私たちは温泉をゆっくり楽しみ、じっくり堪能している。
━・━・━
この街の一番奥にある「温泉館」の前には、複数の不気味な謎の人影が立っていた。
その謎の人影とは、なんとも柄の悪いふざけた嫌な男たちであり、凄く気持ち悪い小声で話し合っていた。
「へっへっへっ、あの女共は本当に、この温泉館の中に入っていったのか?」
「ああ、実際に見たわけではないけど、たぶん……な。」
「へっへっへっ、まぁいい。 実際に入ってみればわかることだ。」
「へっへっへっ、美女の裸か……」
「それにしても、こんな夜中に入ってくれるとは、誰にも邪魔されずに好都合だぜ。」
「………」
「おい、今回は止めにしないか? 前の街でも、かなりの仲間が捕まってるんだぞ?」
「おいおい、まさかビビってるのか? 相手は裸の女だぜ?」
「へっへっへっ、その通りだぜ。 ついでに脱衣場にある衣服や下着も盗っちまえば、奴らは何も出来やしないよ。」
「………」
「さぁ、もう行くぞ。 早くしないと、奴らが出てきちまうぜ。」
「おう、行くぜ」
「ああ、そうだな」
そう言うと、柄の悪いふざけた嫌な男たちが、その「温泉館」の中に入っていき、そこで広いフロア・空間を足早に通りすぎて、女湯の方に入っていった。
━・━・━
一方の勇者マイカたち一行は、ゆったりと温泉に入っていた。
「っ!!?」
そこに勇者マイカが何かに気がつき―――
「やっぱり来たわね。 今回はやり過ごすわよ。」
「………え?」
「でも、どうやって?」
「私に任せて。 取り敢えず、後ろにある大きな岩の後ろに隠れるわよ。」
「「はい」」
早速、私たちは大きな岩の後ろに隠れて、ミニタオルを頭の上に乗せ、そのミニタオルの上に洗髪薬を乗せた。
私たちは私を中心に、左右にシャニルとアロトリスがいる状態で、私たち三人が手を繋いで、全裸の私の全身から禍々しく邪悪で漆黒の闘気が放出された、次の瞬間、一瞬で私たち三人の姿が温泉に入った状態で消失された。
『これで私たちの姿は、この世界から消失したわよ。 誰も私たちを見れないわ。』
『ほ、本当にですか? マイカさん』
『ええ、恐らく声を出しても聞こえないでしょうね。』
『なるほど、確かに便利な能力ですね。』
『ええ、そうね』
(※消えた姿でも、手を繋いだ三人だけが会話することができる)
これぞ、伝説の特殊能力、【ストリンガー・デスロック】なのである。
━・━・━
一方の脱衣場では、勇者マイカたちの衣服や下着などの荷物を探していた、柄の悪いふざけた嫌な男たちが―――
「おい、なんで奴らの荷物がないんだ!?」
「おい、これは一体どういうことだ!? 衣服も下着もないではないか!?」
「………」
「ちっ、本当に何処にもないぞ!?」
―――かなり焦っていた。
慌てた柄の悪いふざけた嫌な男たちが、いくら探しても何も見つからなかった。
「おい、本当にあの女共が、この温泉に入っているのか!?」
「と、とにかく風呂場に行けばわかることだ。」
「そ、そうだな。行くぞ!」
そこで柄の悪いふざけた嫌な男たちが、慌てて温泉の風呂場がある扉を開けて、風呂場を見てみると、
「な、何っ!!?」
そこには……誰もいなかった。
「―――い、いない!!?」
「だ、誰もいないだとっ!!?」
「そ、そんなバカなぁ!!?」
「そ、そんな筈はない!! よく探せっ!!」
だがしかし、柄の悪いふざけた嫌な男たちが、いくら探しても誰も見つからず、勿論、お風呂の中心部にある大きな岩の周辺や他の所も隅々まで探したけど、結局、誰も見つからなかった。
「―――やっぱり、いないようだな……」
「ちっ、どうやら勘違いだったのか!?」
「だから言っただろ? 今回はもう止めようって!」
「くそ、せっかくの裸が……」
「ちっ、仕方ないな。 では引き揚げるぞ!」
「…ああ…」
それで柄の悪いふざけた嫌な男たちは、残念ながら勇者マイカたち三人を見つけられずに、この風呂場を出ていき、そのまま立ち去っていった。
そう、つまり柄の悪いふざけた嫌な男たちは、勇者マイカたち三人の全裸を見ることができなかった。
ちなみに能力が発動する前に、直接手を繋いだので、シャニルとアロトリスも勇者マイカの一部と認識して、一緒に消えていった。




