14、結構魅惑な温泉街A
●【No.014】●
勇者マイカたち一行は、ようやく "マロニューウナの町" に到着した。
ちなみに勇者マイカたち一行とは、今のところ勇者マイカ・大魔女シャニル・神官アロトリスの三人だけである。
「ようやく着いたわね」
「早速中に入りましょう。 マイカさん」
「ええ、そうね」
この街も普通に自由に出入り出来るようで、勇者マイカたち一行も早速街の中に入る。
「みんな、行くわよ」
「「はい」」
それで街の中に入ると、街自体は平凡で平和に過ごしていて、そこに暮らす人々も普通に静かに歩いている。
「なんか…平凡ね」
「取り敢えず、宿屋を探しましょうか?」
「ええ、そうね」
そこで勇者マイカたち一行は、まず宿屋を探していく。まぁ…すぐに見つかって、3人用の宿泊部屋に泊まれることになった。
予め宿泊部屋を予約してから―――
今度は "ギルド冒険商" を探すのだけど、そこもすぐに見つかった。
どうやら街自体も、それほど大きくはないようだ。
私たちは早速、"ギルド冒険商" の中に入っていった。
ここで中に入ると、辺りは閑散としていて、普通の人も冒険者もまばらで、とても少ないわね。
「―――ん?」
壁に貼ってある掲示板を見てみると、この街の一番奥には温泉があるみたいなのよ。
━ マロニューウナ温泉からのお知らせ ━
━ とても気持ち良いから、一度は寄っておいで、凄く楽しいよ ━
なかなか斬新な広告・宣伝よね。
取り敢えず、中を見渡した限り、温泉以外に目立ったモノはないようね。
「へぇ~ 温泉ねぇ~ 本当に気持ち良いのかしらねぇ~」
「ちょっと、気になりますよね? マイカさん」
「どうせなので、一度は入ってみますか?」
「ええ、そうね」
そこで私たちは、カウンターの中にいる若い女性の主人の所まで近づき、なにやら話しかけていた。
「いらっしゃいませ」
主人のニコリ・営業スタイル炸裂。
「ここは温泉が有名なのかしら?」
「はい、旅の疲れを癒すには、マロニューウナ温泉が一番ですわ。」
「やっぱり温泉あるみたいですね。」
「その温泉は有料・無料?」
「はい、ここ "ギルド冒険商" で温泉入浴の手続きをして頂ければ、同時に料金支払いも行えますわ。」
「へぇ~ なるほどねぇ~ じゃあ三人分、お願いね♪」
「はい、では冒険者カードか身分証明カードなどがあれば、ご提示のほど宜しくお願いしますわ。」
「は~い♪」
「はい、判りました。」
ここで私たち三人は、それぞれカードを主人に渡して、主人が下の方でなにやらピッピッピッと音が鳴ったと思ったら、また主人が私たちに、それぞれカードを返していた。
「はい、これで手続きと決済は完了しましたわ。 温泉はこの街の一番奥にありますので、どうぞ心ゆくまでご堪能して下さい。」
「ありがとねぇ~~♪」
「どうもありがとうございます。」
私たち三人は踵を返して、後ろに振り返り、そのまま "ギルド冒険商" を出ていった。
一旦、私たちは今夜宿泊する宿屋まで戻っていて、温泉は夜に入ることにして、それまでの間、休憩や食事などをとることにした。
それで私たち三人共に同じ部屋で、ゆったりとした感じで過ごしている。
私たちが晩御飯を食べ終わると、次の準備の為に、三人共に黒い浴衣 (?) を着て、着替えの下着やバスタオルや洗髪薬 (※髪を洗う為の薬) などを持って、夜に静かに宿屋を出ていった。
私たちは夜の街をゆっくりと歩いていく。 目的地は当然、温泉があると言う街の一番奥である。
夜の街でも昼より少ないとは言え、かなりの人々が静かに歩いていて、街の明かりも少ないながらも多少はある。
「ふーん、夜の街もなかなか風情があっていいわねぇ~~♪」
「はい、そうですね。 マイカさん」
「このままの勢いで温泉に入って、気持ち良くなりたいですね。」
「うんうん、そうよねぇ~~♪」
などと話ながら温泉の場所までどんどん近づく。
やがて一番奥まで行くと、そこには「温泉館」という看板を掲げた大きな建物が、勇者マイカたち一行の目の前に現れた。
「やっと到着しました。」
「どうやらここのようね。」
「さぁ…早速中に入りましょう。」
「ええ、そうね」
そこで私たち三人は、その「温泉館」の中に入っていった。
私たちが中に入ると、すぐに広いフロア・空間があり、その先には男湯と女湯に出入口が分かれているみたいね。 なれば当然、私たちは女湯の方に入ると、すぐに脱衣場があった。
私たちが浴衣や下着などを脱いで全裸になり、ミニタオルや洗髪薬などを持って、ここで私が―――
「じゃあミドリ、お願いね♪」
「うん、了解」
ミドリが大きく口を開けて、私の荷物全部をパクリと食べてしまった。
「「!!?」」
当然、それを見ていた二人が凄く驚くけど、そこで私は―――
「これ、盗難防止なの」
「す、凄い。なんだかアイテム収納ボックスみたいですね。」
「そ、そうなんですか。凄く便利ですね?」
「だったら、二人もやってみる?」
「はい、ではお願いします」
「……私もお願いします」
「じゃあミドリ、お願いね♪」
「うん、了解」
するとミドリがまた大きく口を開けて、今度はシャニルとアロトリスの荷物全部を、パクリと食べてしまった。
「これで盗難防止完了~♪」
「まぁ…盗む人がいますかね?」
「でも…この異世界…意外に物騒だし…用心した方がいいですよ。」
「……そうですね」
「じゃあ温泉に入るわよ!」
「「はい」」
そして、私たち三人は脱衣場の先にある、温泉への出入口の方まで行き、その扉を開けてみた。
さぁ…次回は遂に異世界初の温泉に入浴するのか…?




