08、道中での出来事A
久しぶりの投稿・更新です。
宜しくお願いします。
●【No.008】●
旅立つ勇者マイカは、前の街のアリステレストの町から、次の目的地である、カグラツカサの町へと続く道を歩いて進んでいた。
この勇者マイカとは、実質一人旅なので、気楽にゆっくりと歩いている。 その道中では当然、外に出ているので、魔物が沢山出現してくるけど、最強無双となっている勇者マイカでは、もはや敵にも話にもならない。
そんな感じで、とにかく北へ、その鋭い感覚だけを頼りに、ただひたすらまっすぐ進んでいき、意外にも、道に迷ったり、誤ったりせずに、なかなか順調である。
その勇者マイカの左肩には、相棒で緑色のスライムのミドリが載って、ナビゲーションしている。
そんなミドリが、早速勇者マイカに話しかけてきた。
「ここから北へ、約20キロってところかな? 次の街までね、マイカ」
「ふーーん、そうなの? まぁ、気楽に行きましょうか。 気楽に…ね」
「…えっ、急がないの? 王様が待ってるんでしょ?」
「別にいいの! そんなの待たしておけば! 気楽に行くの!」
「ふーーん、あっそ……」
それを聞いたミドリが、スライム顔なのに、呆れ顔になっていた。
この後も勇者マイカが、そのまま歩き続けている。
………??
……あれ?
ここで私が、あることに気がついた。
「……あれ? 今…何て言った? ……ミドリ」
「…えっ、急がないと王様が待ってるよ……?」
「違ーう! そこじゃない! 一番最初……たしか約20キロって……っ!?」
「…えっ、そこ…? 今頃気づいたの……?」
「…………20キロって、次の街までぇ何もないのぉ!?」
「………」
「ちょっと、何で黙ってるのよぉーーっ!? ミドリィーーッ!?」
「……ボクにはちょっと……」
「ただひたすら歩くしかないのね……これは…二三日は野宿かな? はぁー、ふかふかのベッドで眠れないのね? お風呂に入れないのね? はぁー、憂鬱~~」
「ねぇ、マイカだったら、凄く速く走ったりしないの? マイカだったら、すぐ着くと思うけど?」
「えぇーーっ! だって、そんなの疲れるじゃん! やだよぉーーっ!」
「でも、このまま歩き続けても、疲れるのは同じだよ。 マイカ」
「はぁ~~ めんどくさい~~」
早くもやる気をなくした、勇者マイカがうなだれていて、つまらなさそうに歩き続けていた。
………??
……んん?
そこで私が、あるものに気がついた。
勇者マイカが前の街から出て、しばらくはイヤイヤしながらも、だいぶ、ひたすらまっすぐ歩き続けていた頃に、道の前の左側に、小さな小屋が一軒だけぽつんと建っていた。
「あれ、小屋じゃない!? もしかして、雨露凌げるかも? 助かったぁ~~♪」
「あれ、ホントだ。 でも、こんな道にあんな小屋なんてあったっけ?」
「まぁ、いいんじゃない? このまま使っちゃおうよぉ~~?」
「……えぇっ!?」
そこで私が、早速その小屋に近づくと、
………??
なんだ、あれ?
なんと、その小屋の左右には、"のぼり" があって、看板までついていた。 つまり、既に誰かが使用していると言うことだ。 なんだか、誰かこの中にいるのかな?
ちなみに、その "のぼり" や看板には、『占いの館』と書いてある。 これ全然、館じゃないけど……?
それにしても、『占いの館』……ねぇ……
「ねぇ、とりあえず中に入ってみない? ミドリ」
「…えっ、ここで休憩するの? マイカ」
「うん、ちょっと興味があるからね♪」
「ふーーん、そんなんだ」
ここで私が、その小屋の扉の目の前まで近づき、ドアノブに手をかけた。
ガチャッ、ギイィィィ
そして、扉を開けた。
「お邪魔しま~~す♪」
「いらっしゃい」
私が声をかけると、謎の女性の声で返ってきた。
その室内は、かなり薄暗くて奥の方から、いかにも占い師らしい黒い格好の謎の女性が、色んな占い道具が上に載った小さな机と、小さな椅子に座って待っていた。
この彼女たちの運命的な出会いが、新たな冒険の予感となっている。
最後の方が、なにやら意味深な表現ですが、結構たいしたことないですよ……?