06、最初の街で早速騒動ありB
勇者マイカ、ある街で出陣する。
●【No.006】●
勇者マイカの特殊能力―――
【フルメタルジャケット・ミラージュ】
それは無数の小型の光の弾丸を造り出し、それを敵に向けて発射させて、全方位から敵に当てて攻撃する攻撃能力のひとつである。 射撃型で爆発効果はない。
本来は威力がそんなに高くはなく、殺傷能力もあまり高くない牽制用の特殊能力である。
だがしかし、勇者マイカはもともとレベルが高いため、なかなかの威力があるモノになっている。 特に貫通力はかなりのモノである。
その【フルメタルジャケット・ミラージュ】の無数の小型の光の弾丸が、灰色の鋼鉄の鎧兜を着用した長身の謎の男性の方に向かって、物凄い速度で飛んでいった。
「は~い、攻撃しま~す♪」
「…なっ!!?」
ズガガガガガガァーーーッ!!
この灰色の鋼鉄の鎧兜の至るところで無数の小型の光の弾丸が貫通してしまい、鎧が穴だらけになってボロボロになってしまった。
「な、なんだとっ!?」
「は~い、お疲れ様でしたぁ~♪」
「うがぁっ!!」
そこで灰色の鋼鉄の鎧兜を着用した長身の謎の男性が後方に倒れてしまった。
ガッシャーーン!
その灰色の鋼鉄の鎧兜を着用した長身の謎の男性は、ここでもう動かずに沈黙している。 しかも、鎧の中には肝心の肉体も血液もないようだけど、そこで勇者マイカの勝利が確定した。
「うおおおおぉーーっ!!」
「おおお、やったぞ!!」
「スゲエ、一体どうやったんだぁ!?」
「なんと倒しおったぞぉ!?」
この戦闘を観戦・見学していた街の野次馬や冒険者たちが、勇者マイカの活躍・勝利を称賛・喝采している。 この街の人々もなかなか現金な奴らである。
ここでミドリが一言。
「こいつ、人間じゃない!」
「この鎧の奴が……人間じゃないっ!?」
「うん、そうだよ。 ちなみに魔物でもない」
「じゃあなんなの? こいつ」
「……魔族だよ。 まさかこの街に……」
「……魔族……」
「うん、そうだよ。 こいつは鎧だけの実体も肉体もない魔族の一族だよ。」
「……その魔族がこんな街にまで……」
「うん、そうみたいだね。 ……ん?」
そこでミドリが勇者マイカの背後から、ただならぬ殺気を感じて、後ろを振り返ってみると―――
「あっ!?」
なんとそこに、倒した筈の灰色の鋼鉄の鎧兜を着用した長身の謎の男性が再び立っていて、今度は二本の大槍を左右の手に持ち、物凄い殺気を全身から放っていた。
「ウソ、確かに倒した筈なのにっ!!?」
「ふーん、まだいたのね」
「えっ!? まだいた…?」
「そう、まぁ仲間でしょ?」
すると突然―――
「……死ね!!」
その双槍の灰色の鎧兜の長身の男性が、左手に待っていた大槍で勇者マイカの顔めがけて、いきなり素早く突いていく。
ブン、ヒュッ、フッ!
だがしかし、既に勇者マイカの姿が消えていて、その攻撃は当たらない。
「…いない…っ!!?」
「え~と、こっちこっちだよ」
すると双槍の灰色の鎧兜の長身の男性の背後から、突然女性の声がして、そこで後ろを振り返ってみると、勇者マイカが普通に立っていて、既にまた【フルメタルジャケット・ミラージュ】を発動している。
「それじゃあ行くよぉ~♪」
「…なっ!!?」
ここで双槍の灰色の鎧兜の長身の男性の体勢が整わない内に、無数の小型の光の弾丸が全方位から、その双槍の灰色の鎧兜の長身の男性の方に向かって飛んでいった。
ズガガガガガガァーーーッ!!
この双槍の灰色の鎧兜の長身の男性の鋼鉄の鎧も、やっぱり全身が穴だらけになり、鎧自体もボロボロになって、そのまま後方に倒れてしまった。
「がはぁっ!!」
「は~い、終わり~♪」
ガッシャーーン!
なんとここでもコイツは、もうピクリとも動かずに沈黙している。 しかも、鎧の中には肝心の肉体も血液もないようだけど、やっぱりこれで勇者マイカの勝利が確定した。
「うおおおおぉーーっ!!」
「スゲエ、一瞬で倒したぁ!?」
「おい、マジかぁ!? またかよ!?」
「可愛い女の子なのに、人は見かけによらないよな?」
またしても、この戦闘で活躍・勝利したために、それを観戦・見学していた街の野次馬や冒険者たちが、勇者マイカを称賛・喝采していた。
ちなみに勇者マイカが、(絶望関係の)特殊能力をこれほど連続して使用しているけど、それについては、勇者マイカだけが独特で特別な仕組みなので連続使用が可能であり、その仕組みについては企業秘密なのである。
勇者マイカ、街でも連戦連勝!
しかも、余裕綽々で全く本気を出していない?