05、最初の街で早速騒動ありA
なんだ? 早速…問題事か?
●【No.005】●
私とミドリは、そのまま "ギルド冒険商" の中に入っていって、また主人の少女アリナと話していた。
そこで彼女の話によると―――
なんと…この街を囲っている壁の外壁についた傷は、なんでも…かつて魔族がつけたものらしい。 ここで早々に魔族の存在が出てきたわけだね。
「へぇ~ それはヤバイわねぇ~」
そう言いながらも、何処か他人事の余裕綽々なマイカ。
「なんか…他人事だね。 マイカ?」
そこにミドリがすかさず反論する。
「うるさいなぁ~ 勇者だからって何でもするつもりはないわよ。」
「…えぇっ!? だって勇者って世界平和の為に戦うんじゃないの…?」
「はっはっはっ、そんなの偏見だよ! でも…私はやるだけだけどね!」
「………」
ミドリが呆れて無言になった。
そこに主人の少女アリナがマイカに質問してきた。
「もしかして、マイカさんって凄く強いんですか?」
「さあ、どうだろうね? 私自分のステータスが見れないんだよね。」
「あっ、それならボクがマイカのステータスを見せてあげられるよ。 そのマイカの凄いステータスを」
「へぇ~ そうなの?」
「ホントですか? ぜひ見せてください!」
「いいよ、了解~」
そう言うと、ミドリの両目が光だして、何もない空間から、マイカのステータスが表示された。
●・●・●
マイカ : 勇者
レベル : 555
耐久力 :4570
魔法力 :1450
―――――――――――
攻撃力 :2360
守備力 :2360
機動力 :2830
叡知力 :1720
幸運力 :1950
―――――――――――
絶望力 : 100
能力 :【ストリンガー・デスロック】【フルメタルジャケット・ミラージュ】【肉体固定】
●・●・●
「…えぇっ!? …なにこれっ!?」
ここでマイカのステータスを見たアリナが唖然となり放心状態になっていた。
「マイカ、また強くなってない?」
「えっ、そうかな?」
「す、凄いですよ!! これレベル99を超えてますよ!? これなら、大魔王も悪魔神も簡単に倒せますよ!!」
「えっ、そうかな?」
「マイカ、油断してはいけないよ! 大魔王はともかく、悪魔神はそう簡単に倒せる程、甘くないよ!」
「えっ、そんなに凄いの?」
「おそらく、マイカの予想……いや、想像を超える程の凄い強さの筈だよ。」
「えぇーっ、これから戦うのに、今から脅かさないでよ。 これから、もっと強くならないといけないんでしょう?」
「やる気なくなった? マイカ」
「まさかぁ、逆に燃えてきたよぉ~♪ これはやる気がでてきたよぉ~♪」
「やっぱり、変わってるね。 マイカ」
「えっ、そうかな?」
「と、とにかく頑張ってくださいね! 最強無双の勇者マイカさん!」
「ありがとう~♪ 頑張るよぉ~♪」
などと、私とミドリとアリナの三人(?)で世間話的な話しをしていると、なにやら外の方が騒がしい?
この街の中の外の方では、灰色の鋼鉄の鎧兜を着用した長身の男性が暴れており、それと街を守ろうとする冒険者たちとで対峙している。 そこで冒険者たちが剣や槍などの武器を構えて、その鎧兜の長身の男性の行く手を遮って塞いでいるが、鎧兜の長身の男性の方は全く動じていない。
そこに冒険者たちの間で、しきりに何かを叫んでいる。
「やめろ! もうやめるんだ!」
「こんなことしても何にもならないぞ! 犬死にするだけだぞ!」
「無茶だ、あいつはヤバイって!」
「そうよ! もうやめてぇ!」
どうやら冒険者同士で、誰から鎧兜の長身の男性に攻撃するかで、なかなかもめているようだが、そこに "ギルド冒険商" から出てきた勇者マイカが合流してきた。
「ちょっと失礼」
「……っ!!?」
そこで私が、この全身に鎧を着用した長身の男性を見上げて、ここで一言。
「へぇ~ 凄く大きいわね」
「……なんだ、お前は…?」
なんとここで、無口だと思っていた鎧兜の長身の男性が、勇者マイカを見るなり突然…話しかけてきた。
「私? 私はマイカ、ただの冒険者だよ」
私はあえて、自分で勇者とは名乗らない。 ここでは普通の冒険者で通す。
「マイカ? 知らんな。 まさか、そんな容姿で、この我と戦うつもりなのか?」
「ええ、そうよ。 一応、戦うつもりだよ」
「……そんなに死にたいようだな、女」
ここでの私の容姿とは、漆黒で長袖の上着に漆黒のミニスカートに漆黒の長いブーツと全身黒ずくめなのだが、とても冒険者には思えないラフな格好である。 あれ、女神様から貰った筈の鎧や盾や剣は持っていなかったけど、一体どうしたの?
てへ、アレ売っちゃった♪ だってぇ、邪魔なんだもんアレ♪ 大丈夫、必要ない♪ 今必要なのは、お金だからね♪
などと、私が少しだけ考え込んでいると、鎧兜の長身の男性が突然…私の方に向かって殴りつけてきて、私がそれをヒラリとかわした。
「ちょっと失礼しちゃうわね、いきなり女の子に殴ってくるなんて…ねぇ!」
「…なっ!? 何っ!?」
「…驚いた? でもまだまだ全然遅いよ」
「…なっ、なんだとっ!?」
その後もそいつが、私のことを殴り続けているけど、私がそれをヒラリヒラリとかわしていく。
「…なっ、何故…当たらない…っ!?」
「それじゃあ、次は私の番だね」
「…なっ、なんだとっ!?」
ブウゥゥゥーーー……ビュゥッ!
すると、勇者マイカの周囲に無数の小型の光の球体が、ふわふわと漂うように浮かんでおり、まるで勇者マイカの周りには、無数のホタルが飛び回るような幻想的な感じで、その内のひとつの小型の光の球体が、鎧兜の長身の男性の方へ、物凄い速度で飛んでいった。
これこそが、勇者マイカの能力―――
【フルメタルジャケット・ミラージュ】
―――なのである。
勇者マイカ、まさか街中で戦うつもりなのか?