111、『フリーダム・グラウンド』
●【No.111】●
こちらはアリスノヴァイン王国の王都・城下町 "プリデミア" の王宮内にある王様の執務室にて。
ここに王様&お姉様のヤナイ姫と勇者マイカたち『ブラックファントム』と勇者マトオたち『セックス・ハーレム・ナイトメア』がいた。 私が昨夜に起きた出来事の顛末を説明しており、それを聞いた王様たちが動揺・驚愕する。
ちなみになんだけど、私の疑問については、先程既にアオから聞いている。 何故、石化して動けないはずのポグルスをわざわざ破壊する必要があったのか? でもまぁ…もし仮にアレが本当だったとしたら、なかなか大変な事なのかもしれないわね? でもまぁ…その辺はまた置いといて、とりあえずはまず…これからのことよね? これから一体どうするべきか…? それにしても、あの "バイオメドリグス" の国に、今はリーダーがいないのか…?
―――いや、待てよ?
・・・・・・・・・
―――ん?
―――アレ?
また私にある疑問ができたので、直接王様に聞いてみた。
「あの "バイオメドリグス" の国もアリスノヴァイン王国の属国じゃないの?」
「それは違うよ、お姉ちゃん。 あの "バイオメドリグス" の国は、どの国にも属していない独立国だよ。 そもそも…あの国や『邪惚教都』は、もともとは『フリーダム・グラウンド』なんだよ。」
「「「―――『フリーダム・グラウンド』……?」」」
「「「??」」」
「そうだよ。 あの土地はアリスノヴァイン王国が所有している土地ではなくて、残念ながら『フリーダム・グラウンド』なんだよ。 だからこそ…ボクたちですら手が出せない場所なんだよ。」
「「「??」」」
「「「……」」」
「へぇ~~、そーなんだねぇ~~?」
一体何のことだが、イマイチピンとこない。
「ところで、その『フリーダム・グラウンド』とは…何ですか…?」
「ああ、そうだね。 確かにお姉ちゃんたちには、あんまり知られてないことだよね?」
「その『フリーダム・グラウンド』とは―――」
そこでヤナイ姫が『フリーダム・グラウンド』について、ざっくりと説明してくれた。
その『フリーダム・グラウンド』とは、直訳すると、『自由な土地』という。 つまり、現状では誰のモノでもないという意味。 そんな自由な土地であるが故に、最初にその土地を手に入れたことで『フリーダム・グラウンド』を入手したことになる。 そして、最初に『フリーダム・グラウンド』を入手した者が "所有権を放棄する" か、"その者が死ぬ" まで、その者の物となる。 これには権力・法律・資金なども何も関係なく、必要もない。 これが昔からの制度なのか、それとも誰かが決めたしきたり・掟なのかは誰にも解らない。 気づいたら、いつの間にかできていたらしい。
「―――という訳です。」
「「「……」」」
「へぇ~~、そんなモノがあったのねぇ~~。 知らなかったわぁ~~」
「なるほど、そうやって王国や街・村が作られたのですか?」
「はい、そうです。 特にこの大陸では幸運にも私たちの祖先が王国として築き上げることに成功したので、他の王国・大国は、この大陸では長続きしなかったそうですよ。」
「その後でカラスクイーンアテナが何処からかやって来て、まだ昔のアリスノヴァイン王国が小さい内に "バイオメドリグス" の国を建国して、さらには『邪惚教都』なるモノもできちゃったモンだから、一時期ヤバかったよね?」
「はい、かなりヤバかったですね」
「「「……」」」
「へぇ~~、なるほどぉ~~、そーなのねぇ~~」
「でも、その後はなんとか小康状態だったんですよね?」
「うん、そうだね」
「はい、そうです」
その後はしばらくの間は大きな混乱もなく、ある程度は安定していたらしいけど、大規模な戦闘がないだけで、各地で小競り合い的な争いは起きていたようね。 そして、あの国王のお姉様・ヤナイ姫の誘拐事件に発展する。
そこからさらに―――
1. "SMエロスの塔" ━→ヤナイ姫が拉致・誘拐━→上位魔族ヒョウ撃破━→無事救出。
↓
2.『邪惚教都』━→異変調査・情報収集━→神光聖者ミラドリルス撃破━→調査強制終了。
↓
3.アリスノヴァイン王国の外━→貴族・[黒兵]による王家反逆クーデター事件勃発━→カシオスト卿オーク・[黒兵]撃破━→クーデター鎮圧・沈静化。
↓
4."バイオメドリグス" の国A編━→内部調査・情報収集━→ポグルス&上位魔族トウ&『聖女』カロテラ&カラスクイーンアテナと出会う━→調査一時終了。
↓
5."バイオメドリグス" の国B編━→ "西の森" で《巨紅龍》出現━→ポグルス&カラスクイーンアテナが大魔王イザベリュータに拉致・誘拐━→現状未解決。
以上、ここまで私たちが結構活躍して、アリスノヴァイン王国を何度も救出している。 もし仮に私たちがいなかったら、この国は一体どうなっていたのか、考えただけでゾッとする話よ。 それにしても私たちも結構、ここで色んなことをしてきたわね。
おっと、話が逸れたわね。 そろそろ本題に戻ろうかしらね。
「なるほど、それが『フリーダム・グラウンド』なのね?」
「うん、そうだね」
「……ということは、初めて見つけた土地で、まだ誰も所有権を主張していなかったら、その土地は入手することができる、ということですか?」
「うん、その通り。 さすがだね」
「さすがにこの大陸では、もう無理ですけど、別の新しい大陸に行けば、まだ未知の土地があるかもしれませんよ?」
「「「……」」」
「へぇ~~、別の新しい大陸に行けば、私たちでもいい土地が見つかるかもしれない……ってわけよねぇ~~?」
「はい、その通りです」
「あともう少しで、船も完成するかもしれないから、その船で新しい別の大陸へ行って、自分だけの土地『フリーダム・グラウンド』を見つけるのも、ひとつの楽しみだね。」
「「「……」」」
「へぇ~~、なるほどねぇ~~」
「……なるほど…『フリーダム・グラウンド』……ですか……」
私にとって、何処かの土地を手に入れたところで、所詮は悪魔神討伐の旅を続けていく身。 それはまさに伝説の勇者としての宿命であり、ひとつの場所には留まれない身。 でも…マトオは何やら少しだけ興味があるようね。 あら、また何処かの土地でも欲しいのかしらね?
いずれにしても―――
こうして、今回の王様への報告もお昼前には、終了・解散となった。