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絶望老人が異世界転生をしたら、もう既に最強無双になっている?  作者: 賭博士郎C賢厳
B.バイオメドリグスの国編
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108、マスター・ゴブリンと女神集結

  ●【No.108】●



 ここは、とある草原&荒野の土地にて。


 草原と荒野が隣り合わせの場所となっていて、草原も荒野も半々だけど面積が結構広くなっている。 ()()にシジルスとマスター・ゴブリンが一定の距離で向かい合うようにして対峙する。 マスター・ゴブリンはシジルスを侮っていない。 シジルスもまたマスター・ゴブリンを見下していない。 お互いにそんな油断も余裕もない。 では…このままの状態で戦闘に入るのか?


「ふーん、なるほどねぇ~~」


 だが…シジルスは戦闘態勢に入っていない?


「おい、お前は一体何しにここに来た…?」

「ある人物に依頼されて、この土地の調査に来たのさ」

「調査だとぉ!?」

「その人物が、この土地を大変気に入っていてね。 是非入手するために、この俺が派遣されたのさ」

「なんだとぉ!?」

「この土地はフリーな土地だと聞いているが…?」

「……ああ……そうだ……」

「やっぱり、そうか……ここは『フリーダム・グラウンド』なのか……」

「……」

「お前たちこそ何故(なぜ)、ここにいるんだ?」

「我々は勝手に、この土地にいるだけだ! ここは我々の縄張りだ!」

「……縄張り……」

「そうだ! 何か文句あるのか!」

「なるほど、そういうことか……」


 ここでシジルスが少し考え込む。 てっきり戦闘に入るかと思ったけど、今度はシジルスとマスター・ゴブリンが話し合う。 この土地を巡って、人間と魔物(モンスター)が話し合う形となったので、戦闘は一旦休止となるけど―――


「むっ、やる気かぁ!?」

「それでは……今回はこんなもんだな」

「何ぃっ!?」

「俺の知りたい情報は、ある程度はわかった。 この土地はモンスターが棲みついているが、確かに人間はいない。 これなら充分な成果と言えるな。 彼も喜んでくれるだろう」

「なんだとっ!?」

「しばらくの間、この『フリーダム・グラウンド』はお前たちに預けておこう。」

「なっ!? それは一体どういう意味だぁ!?」

「その言葉どおりの意味だよ」

「ッ!!?」

「それじゃあぁな」


 シャッ、シュゥウウウゥゥゥ―――


 そう言うとシジルスの周囲にあった落ち葉が巻き上がり、彼の身体を包むようにして覆われて竜巻みたいのが起きる。 さらに上へ巻き上がって気づいた時には、もう既に彼の姿が消えていて、また落ち葉が地面に落下した。


「なっ、消えた?」


 慌ててマスター・ゴブリンが周囲を見渡しても、そこにシジルスの姿はなかった。 本当に彼がまた何処(どこ)かへ行ったのか?


「一体何だったんだ? アイツ…」


 ()()にマスター・ゴブリンが一人だけ残るのみ。


 結局のところ、マスター・ゴブリンとシジルスは戦わなかった。 否、それどころか、そもそもシジルスは戦闘しに来たわけではない。 この土地『フリーダム・グラウンド』の調査・査定に来ただけ。 そこにモンスター・ゴブリンが襲ってきたので、応戦しただけ。 最初から戦う気などなかった。 この土地『フリーダム・グラウンド』の調査・査定が終われば、他に用がないため、さっさと帰っていった。 ただ…それだけのこと。


「……」


 まぁ…もっともマスター・ゴブリンがこの後、一体どうしたか…はシジルスをはじめ、誰にも解らないことだけど―――




   ━・ー●ー・━




 ()()は…とある某所にて、()()に『聖女』カロテラが()()。 確かに先程までは『聖女』カロテラもカラスクイーンアテナもいたはずだけど、今はもう誰もいないみたいだ。 否、人間は―――だけど―――


 ここは暗闇の空間であり、その暗闇の中から浮かぶ紫色の水晶玉。


 その水晶玉には、勇者マイカたち『ブラックファントム』を乗せたドラゴンが、またアリスノヴァイン王国へ戻っている映像が映し出されてる。 どうやら無事に到着したようだ。


「「……」」


 その水晶玉を覗き込む女神タナトスと女神ネメシスの姿があって、その後ろに女神アフロディーテと女神エロスの姿もあった。 なんと四人の女神がカラスクイーンアテナの潜伏場所を特定していた。


「どうやらマイカさんたちは無事に故郷に戻ったようですね?」

「ええ、全く眠る(ヒマ)さえないとは……? 少しは休ませたいところですけど…」

「敵は待ってはくれないでしょうね…」

「……少し可哀想ですね…」


 紫色の水晶玉の隣にある赤色の水晶玉が激しく点滅する。


「この赤い水晶玉は何故(なぜ)、点滅してるんですか?」

「それは我々が()()にいるからでしょうね?」

「なるほど、そうなのですか?」

「…外敵侵入防止アラームですか…?」

「否、拉致・誘拐されたからでは…?」


 他にも橙色や黄色や緑色や青色や藍色の水晶玉があって、計七つの水晶玉が横一列に並べられて浮いている。


「カラスクイーンアテナも大魔王イザベリュータに捕まってしまいましたね?」

「その反動で…ポグルスも消滅してしまいましたか?」

「彼も悲惨ですね…」

「ポグルスの件は、私からベルダルディアに言っておきますので、またすぐに復活できるでしょう。」

「そうですか、それならそちらの方はあなたにお任せします。」

「はい、判りました。」

「おや?」


 今度は黄色の水晶玉も激しく点滅する。


「黄色も点滅してますね?」

「あら、私たち以外にも誰か侵入してきたようですね」

「聖女ですか?」

「魔族ですか?」

「いいえ、違うようですね」


 少ししてから、今度はシジルスも暗闇の空間に現れた。


「お待たせしました」

「あら、あなたは…」

「どうもです」

「あら、お疲れ様でした」

「どうでしたか?」

「とてもいい土地でした」

「それは良かったです」

「きっと彼も喜ぶでしょう」

「はい、そうですね」


 ここにカラスクイーンアテナや『聖女』カロテラはもういないけど、代わりにタナトスやネメシスやアフロディーテやエロスやシジルスの五人がいて、七つの水晶玉もそのまま残ってた。







 この七つの水晶玉は、確かにカラスクイーンアテナの所有物だけど、今回は何故(なぜ)か一緒には行かずに、このままの状態で残ってた。 それは一体何故(なぜ)なのか? これは推測なのだが、あくまでカラスクイーンアテナたちの身柄拘束だけで、この水晶玉と分離させて、その能力を使用させないようにしたのではないか? そう考えると辻褄が合う。


 七色の水晶玉を操る女王カラスクイーンアテナのその七色の水晶玉の能力とは、


 「全ての者の行動を見る紫色の水晶玉。」


 「あらゆる環境に対応できる藍色の水晶玉。」


 「全ての者の感情を()る青色の水晶玉。」


 「持ち主をあらゆる場所へ転移させる緑色の水晶玉。」


 「侵入者を感知・察知する黄色の水晶玉。」


 「全ての者の体温を()る橙色の水晶玉。」


 「持ち主に危険を知らせる赤色の水晶玉。」


 世界広しといえども、七色の水晶玉を操れる者は、あの女王カラスクイーンアテナをおいて、他にいない―――と思ってたけど、さすがは女神。 女王カラスクイーンアテナがいなくとも充分に操れるようだ。 さすがだ。

 

 悪魔神と大魔王は敵対していた。 女王カラスクイーンアテナが悪魔神ヴォグゲロルスの忠実なる(しもべ)なら、悪魔神ヴォグゲロルスの完全復活を阻止するべく、大魔王イザベリュータが動いても何もおかしくない。 では何故(なぜ)、あの『聖女』カロテラの方は放置したのか? 彼女の場合、洗脳され利用されていただけなら何も問題ない。 自分の意思で悪魔神ヴォグゲロルスの完全復活を目論む者だけを捕らえたことになる。 いずれにしても聖女の方は、あの上位魔族トウがなんとかしてくれるだろう。


「さて、私たちもお仕事を済ませましょうか?」

「ええ、判りました。」

「「はい、判りました。」」

「……」


 この後もタナトスたちが、この暗闇の中で何かをしていて、シジルスがその様子を静かに見学していた。

※『フリーダム・グラウンド』とは、直訳すると、『自由な土地』。 つまり、現状では誰のモノでもないという意味。 ここを手に入れることで『フリーダム・グラウンド』を入手したことになる。

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