97、一時帰国
●【No.097】●
ここは "バイオメドリグス" の国の "森の宿屋" にて。
翌朝、勇者マイカたち『ブラックファントム』の女性四人が、それぞれ起床する。
四人一部屋で宿泊している。
ベッドはふたつあって、今回は私とアロトリスの二人が一緒のベッドに寝ていて、シャニルとラグレテスの二人が一緒のベッドに寝ている。 私たち四人にパジャマなどなく、漆黒の下着姿で寝ていた。
そんな私たちが朝、一斉に目を覚まして、上体を起こして、両手を上げて背伸びする。
「「んんあぁ~~~」」
「「はぁ~~んん~」」
私たち四人は昨夜も、とてもよく眠れたみたいね。
それぞれ漆黒の下着を脱ぎ捨て、部屋に完備されてるシャワー室でシャワーを浴びる。 シャワー室は一人用なので、私たちが順番を決めて、シャワーを浴びる。 それから部屋に戻って、白いバスタオルで身体を拭いて、このまま白いバスタオルを身体に巻き付けて、ベッドの上に座る。 いやぁ~、久しぶりのシャワーだわぁ~。
「ふ~う、スッキリしました」
「ふ~う、サッパリしました」
「ん~~、生き返るぅ~~♪」
「はぁー、気持ち良かったわ♪」
私たちはそこで一息つく。
別にセクシーなポーズをとってる訳ではないけど、普通の男の人が見たら、まずエロいと思われるようなポーズを、それぞれ無意識にしている。
それから私たちは、それぞれ自分のパンティーを穿いて、それぞれ自分のブラジャーをつけて、それぞれがまた漆黒の下着姿になる。 ここでも私たちは無意識に、それぞれエロいポーズをしている。
「ふ~う、ようやく疲れが取れたわね」
「はい、そうですね。
昨日までは教会に宿泊してたから、久しぶりに体力と魔法力が回復しましたね?」
「あ~、そうですね?」
「ええ、そうね」
「そうだと思いますよ」
この後も私たちは、それぞれ自分の衣服を着て、それぞれ自分の武器・防具を装備して、それぞれが旅立つ準備をする。 ちなみに私の右肩にブルームスライムの「アオ」が、左肩にはナビゲーター・スライムの「ミドリ」が、それぞれ乗ってる。
「それじゃあ、そろそろ行きますか?」
「「「はい」」」
私たちは部屋で軽めの朝食をとった後に宿屋を出ていき、宿屋の前で勇者マトオたち『セックス・ハーレム・ナイトメア』の四人と合流する。 それと受付の男ポグルスも見送りに来ていた。
「やぁ、お待たせ」
「お待たせしました。」
「はい、マイカさん」
「それでは、行きましょうか?」
「ええ、そうね」
「なぁ、このまま国の入口まで戻るのか?
この先には、まだ "クイーン・マン・デス" の町もあるけど?」
「ええ、一旦戻るわ」
「悪いけど、王様が待ってるんでね」
「そうか、それなら森を通り抜ける近道を利用するかい?」
「えっ、近道?」
「……」
「ああ、この先に森があるだろ?
その森の奥まで行けば、裏口みたいな所があるから、そこまで行けば…この国から出られるはずだ。 あんたたちの馬車も、そこに停まっているはずだろ?」
ポグルスが "森の宿屋" とは、反対側の道の外れにある森を指差す。 私たちも彼の指差す方を見る。
「あら、そうなの?」
「……アレ?」
「へぇ~、そんな近道が…?」
「ああ、もっとも森の中はモンスターが出現するから気をつけな」
「ええ、わかったわ」
「ああ、わかった」
「それじゃあ、俺が案内する」
「ええ、ヨロシクね」
こうして私たち八人は、先頭のポグルスの案内で "森の宿屋" の反対側の道の外れにある森の中へ歩いていった。
森の中に入ると、弱小モンスターが襲いかかるけど、それらを軽くいなして、どんどん先に進む。 森の中なので、道はない。 だけど、まるで道を知っているみたいに、先頭の彼が迷わず道案内している。 私たちには全く解らない森の中、おそらく私たちだけだと迷子になるわね。 でも彼はこの国の森の中を何度も出入りしていて、いつの間にか道順を熟知して覚えてしまったようね。 それに森の中はモンスターが出現するため、夜は勿論、昼間でもほとんど人は近寄らない。 まさしく彼にとっては、森の中は一種の近道……否、抜け道になってる。
森の中をくねくね歩き続けると、やがて外が見えてきた。
「あそこだ」
「あら、着いたのね?」
「おお、着いたか?」
「やっとね」
先頭のポグルスの案内で外に出ると、私たちの馬車が停まっていた。 おそらく彼らが、ここまで持ってきたのだろうか? 私たちが『ブラックファントム』用馬車に乗り込み、マトオたちが『セックス・ハーレム・ナイトメア』用馬車に乗り込む。 私とマトオが、それぞれ御者台に座る。
「世話になったわね」
「それにしても…森が近道になっていたとは、驚きだな」
「森の中はモンスターが出るからな。 当然…誰も通りたがらない。 誰もモンスターに襲われたくないからな。 それに森は街や国ができる前から存在するため、結構抜け道になって一気に外に出られるのさ。」
「へぇ~、なるほど」
「それなら、ここからまた…あの "森の宿屋" まで行けるって…ことかしら?」
「ああ、そうだな。
知らせてくれれば、また道案内しよう。」
「その時はヨロシクね」
「ああ、わかった」
「……」
「それじゃあ、戻るわね」
「ああ、また…」
「ああ、またな」
私たちはポグルスと別れて、それぞれ巧みに馬を操って馬車を前へ進める。 その二台の馬車がしばらくまっずく前へ進む。 あとは来た道を戻るだけなので、私たちでも道順は判るわ。 私たちの馬車を見送った彼が、また一人で森の中に入っていった。
私たちを乗せた『ブラックファントム』用馬車とマトオたちを乗せた『セックス・ハーレム・ナイトメア』用馬車は、あっという間にあっさりと、アリスノヴァイン王国の王都・城下町 "プリデミア" の王宮の入口手前に到着して停止した。 あと王様には、事前に戻ることを報告している。
私たちが馬車から降りると、王宮の入口の前に二人の衛兵が立っていて、私たちの方へ向かって、一礼する。 私たちのことはよく知ってるみたいね。 なにせ、私たちはこの国を救ってるからね。 しかも、一応は爵位持ちの貴族でもある。
「戻ったわ」
「戻りました」
「お待ちしておりました。 マイカ様」
「お待ちしておりました。 王様もお会いしたがっております。」
「ええ、案内してちょうだい」
「「はっ、かしこまりました!」」
最初に王宮に来た時よりも、だいぶ待遇が違っている。 今では王様・お姉様に次ぐ厚遇の仕方である。
「はい、それではまた玉座の間まで、ご案内させていただきます。」
「ヨロシクね」
「はっ、かしこまりました!」
そう言って、その衛兵の案内で、私たち八人は王宮の中に入っていき、この衛兵を先頭に、私たちはまっずく『玉座の間』まで向かっていった。