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散文詩「騒がしい~今はない」
【騒がしい】
この季節に暑苦しい人間と
わざわざ連むことなど、
私はするものではないと思う。
都会の喧騒に愛着などなく、
ただ静かに佇む、無言の孤独な
役者でありたい。
その尊い静寂を、守っていたい。
【数秒の命】
夏草が風と戯れ、山並という
背景を音で飾る。
背景は碧く、飾られたそれは
指折り数える程度の時間で
再びしらけた。
目に見えず、限られた時間で
儚く散るそれは個性を表し、
まるで命のようだった。
【今はない】
寂れた駄菓子屋に子供が集まる。
数十円の安価な駄菓子を買って、
喜んで帰ってゆく。
その子供は三人程度で、一日に
来る客は殆ど二桁だった。
この里は死んでいる。
死んでいることに誰も気づかない。
死が普通で、生きているという
概念などなかった。
駄菓子屋から笑顔が消えた。
みんな静かにしてくれ、教室が騒がしい。