ティアの日常!
「あのさぁ、ティアちゃん。一応は、魔王の城を守る最強のドラゴンってことになってるんだからさ、もう少し真面目に門番してもらえないかな?」
「えー。やってますよー。」
「いやいや!一昨日も昨日もガンガン勇者来てますから!ワシ連戦だよ?復活すんの疲れるし、宝箱だってタダじゃないんだよ?!」
「ちっ。うるさいなぁ。」
ーー魔王城。
名前の通り魔王の城。
詳しい理由は知らないけど、勇者とか冒険者の最終目標になってるらしい。
こんなとこ来たって冴えないオッサンがいるだけなのに。
私はティア。
『ティアネル・ドラゴン』のティア。
一応最強のドラゴンで魔王城の門番をしてる。
まぁ、別の目的があって門番をしてるだけだから門なんて全く守ってないんだけど。
んで、無駄にデカい椅子に座ってるオッサンが魔王。
こんな冴えないオッサンなのに魔族の王らしい。
魔族の絶対権力者だから誰も逆らえないみたいだけど、まぁ私には全く関係無い。
だって私、竜族だし。
魔王「だからさぁ、もう少しだけでいいからやる気出してよ。給料上げるからさぁ。」
ティ「倍なら考える。」
魔王「倍?!それはちょっと、、。今だってワシより多いんだよ?」
ティ「じゃあ、却下。」
魔王「そんなぁ、、。」
何で魔族の王様がこんなに下からなのかと言うと、私に頭が上がらない理由があるから。
そもそも魔族と竜族はそんなに仲が良くない。
魔族は雑魚的な所からやってるのに竜族はいきなり中ボス的な所からで不公平だってのが理由らしい。
魔族が勝手に騒いでるだけで竜族は相手にしてないけど。
そこで魔王と竜王様が話し合いをして期間限定で入れ換えようって話になったらしい。
そこら辺の平原で中ボス的なドラゴンが出て来て、ボスがいそうな塔にいるのが雑魚魔族だから冒険者からしたら迷惑な話だと思うけど。
まぁそんなだから平原のドラゴンを避けて来た冒険者にあっさり魔王城まで辿り着かれて攻めこまれてた所を私が助けたという訳。
散々不満を言って自分達の希望が叶ったのにその相手に助けられたんじゃ頭が上がる訳もない。
そんなこんなで今の関係になった。
ティ「じゃ、そろそろ仕事だから。」
魔王「今日は頼むよー、、ワシ結構疲れてるんだから、、」
ティ「努力しまーす。」
ここで門番をしてる理由は二つ。
一つは給料がいいから。
何だかんだで大手だしね。色々文句言ったから今じゃ魔王よりもらってる。
それからもう一つ。
私にとってはこっちが本命。
「出たな!ドラゴン!」
「やってやるぜ!!」
「腕が鳴るわい!」
「みんな、気を付けて!」
ここに来る冒険者の観察。
それが私の唯一にして最大の楽しみ。
パーティーの人間関係。
ここに来るまでにあったであろういざこざ。
そういうのを想像するのがたまらない!
今回は4人かぁ。
勇者と、勇者の友人?かな。それにドワーフとエルフ。
あー、きっとここに来るまでに何人も仲間になっては去っていったり別々の道を歩んだり魔に身を落としたり色々あって今のメンバーになったんだろうなぁ。
ティ「グゥオオオ!!」
「ぐはっ!」
「しっかりして!」
きゃあー!!なになに?!エルフちゃんは勇者くんより友人くん派なの?!真っ先に治しに行ってるし!そういう王道じゃないところいくの?!嫌いじゃないけど!!
「ぐぅっ。やはりワシらだけでは、、。」
なになにっ?心強い仲間がいたけど、別れたの?どっかで別れちゃったの??志が違うとか?目指すべき場所が違うとか?もう!そういう男の友情ってたまんない!!
「みんな!諦めるな!!」
おっ!いいねぇ!THE 勇者って感じ!小さい頃にお父さんに剣術教えてもらった?急にいなくなったお父さんを探すために心配するお母さんを置いて冒険に出た感じ??あー、もう!!どうなのどうなのー!?
「はぁあっ!!」
ズバッ
ティ「ガァアア!!」
ドシーン!!
「やっ、やったぞ!!」
「俺たちの勝ちだ!!」
「ワシがいればこんなもんじゃよっ!!」
「みんなケガはない?!」
あー、もう。そんなにはしゃいじゃって。。
ここまだ魔王城の外よ?門の前だし。
かわいいから通しちゃうけど。
あー、今日もお腹いっぱい。
あとは魔王のオッサンに任せよーっと。
魔王「フハハハハッ!我は不滅なり!!」
あっ、オッサン負けた。
~~~~~~~
ティ「いやぁー。今日のもよかったなー。あの二人付き合ってんのかなー?他の二人気まずそうー。」
「ティア!」
うっ。この声は、、、。
「もうっ!また冒険者通したでしょっ!!」
あー、やっぱりだ。
魔王秘書のリリネル。
サキュバスのクセに下ネタNGの変なやつ。
魔王のお気に入りらしいけど、全く相手にされないってオッサン半泣きになってたっけ。
リリ「まったく。。たまには真面目に門番しなさいよねっ!」
ティ「いいじゃん別にぃ。入られたってどうせ幹部がいるんだし、魔王だってやられたところですぐ復活すんじゃん。」
リリ「魔王様は倒されるフリする時が一番体力を使うのよ?!」
ティ「あー。派手に光るもんねぇ。あれそんなに体力使うんだ。普通にバタッて倒れてればいいのに。」
リリ「一応ラスボスなんだから演出だったり復活のフラグ立てたりで大変なの!」
ティ「ふぅん。なら幹部で止めればいいじゃん。リリも幹部なんだし誘惑するとかさ。冒険者なんてほとんど男だし。」
リリ「わっ、私はそういうことはしませんっ!」
ティ「照れちゃってー。サキュバス失格だよー。」
リリ「放っといてよ!もうっ!とにかくっ!次はちゃんとしなさいよっ!?」
ティ「はぁーい。」
下ネタNGのクセに下着みたいな服とお尻プリプリさせながら歩くのは平気なんだなー。性根はサキュバスってことかな。
ジジッ
「ティア様。まもなく次の冒険者が参ります。至急魔王門へお戻りください。」
ティ「あー、はいはい。」
いちいち放送で呼び出すの迷子みたいで恥ずかしいからやめてくんないかなぁ。
~~~~~~~
「出たわねっ!ドラゴン!」
「覚悟なさい!」
「可愛がってあげるわ。」
「ぜっ全力でいきますっ!」
へぇ。女の子だけのパーティーかぁ。
珍しいなぁ。
女性騎士が二人に、ダークエルフ、あの子はフェアリー族かな。ちっちゃくてかわいいなぁー。
「やぁ!!」
「せぇあっ!!」
ティ「グゥオオオ!!」
結構強いなー。
エルフの子の弓もめんどくさいし。。
ちょっと可哀想だけどフェアリーの子に攻撃して立て直そうかな。
ヒュオオオッ
「ブッブレスよ!!」
ティ「ガァッ!」
ボゥオッ!!
「ヒィッ!!」
あっ、ちょっと大き過ぎたかも。
「危ないっ!!」
ボォーン!!
「あぁっ!!」
「だっ大丈夫ですか!?」
「わっ私は平気よ。それよりあなたは、、。」
「大丈夫ですっ!いま、治しますから喋らないで!!」
やーん!!なになにー!!
そういう感じー!?
お姉さまと妹的な感じー?!
きゃーー!!新展開ーー!!
冒険者って結構進んでるのね!!
「よくもっ!!」
「せぁっ!!」
ティ「グォ、、ォオ。」
ズゥーン!
「やっ、やったわ。」
「私たち倒したのね!!」
「よかった、、わ、、」
「まだ完治してないので私の肩に捕まってください!」
あー、傷付いたお姉さまと健気な少女。
もう、、最高の絵ね。
満足すぎるわ。。
しかし、毎回思うけどみんなはしゃぎ過ぎじゃない?
ここ門の外よ?
魔王のいるところまでまだまだあるんですけど。
何かラスボス倒したみたいにはしゃがれるとそれはそれで気まずいんですけど。
超手抜きだし。
まっいっか。
「さぁ!いくわよっ!!」
いってらっしゃーい。
魔王「フハハハハッ!我は不滅なり!!」
あっ。オッサンまた負けた。