第16話〜軌跡・奇跡〜
自分たちが7歳の頃・・・最も幸せで、最も辛かった時。
大輝の父・・・拓哉が、欲望がままに美輝の母である麗沙にキスした。
その現場を、偶然大輝の母である美咲、美輝の父である翔一郎が目の当たりをして――― 一気に、未来を決めた。
拓哉と美咲は、その後・・・深夜の交通事故で事故死。
麗沙と翔一郎は、距離を作り始めた。
そんな『オトナの四角関係』『Square heart』
それは・・・幼い美輝と大輝にも、影響を及ぼした。
両親の事故死に、心を閉ざした大輝。
そんな大輝を、何とかして導き出そうとする美輝。
そんな2人は・・・グラフの原点となる、ある“約束”で、より一層信頼を深めた。
『ずっと一緒』
途轍もなく純真無垢な、幼い、小さな約束。
でも、変容することなく・・・今でも、活き続けている。
そしてその約束はいつしか・・・お互いの存在とともに『心の拠所』となっていた。
でも、伝え合わない・・・現状。
そうなっている間にも・・・時間は、足を止めないでいた。
2人の比例のグラフが、大きく変化したのは・・・拓海の存在であった。
今思えば、拓海は2人の関係を大幅に変化させる“起爆性”だったのかもしれない。
カラオケ事件で・・・美輝の、大輝に対する想いが、着実に変化していたのであった。
ただの『二従兄妹』とは表し難い―――そんな変化。
やがて、その変化は・・・大輝の行動によって、色鮮やかに反映された。
大輝が、自分を抱き締めた時に感じた・・・体温。
それによって・・・あの約束を、思い出したのだった。
それから、自分では気づけないほど想いは膨張していき・・・結果・・・
『ハナレタクナイ。ソバニイテホシイ。』
大輝に対して、そう想うようになってきた。
やがてそれは・・・今の、感情に繋がっている。・・・糸先に繋がる言葉。
悲しいこと。辛いこと。幸せなこと。嬉しかったこと・・・それが、軌跡。
全部全部、カガヤイテイタ。輝いていた。“美”しく“輝”いていた。“大”きく“輝”いていた・・・
「・・・俺も。」
驚いたように、見開いた目を細め、大輝はそう言う。
「―――美輝には、離れてほしくない。」
それは、暗に・・・『心の拠所』を表現していて。
―――大輝も、同じ気持ちでいてくれた・・・
堪らない、『嬉しさ』、『幸せ』・・・
そんな感情は、涙となって止め処なく溢れ出す。
「み、美輝?どうした?やっぱキモ・・・」
「ち、違う!めっちゃ嬉しくて・・・」
慌てて前言撤回をしようとする大輝を抑え、美輝は素直な想いを口にする。
―――伝えるってことは・・・幸せなことなんだな。
『ずっと一緒』
そんな、幼い想いを伝えた時・・・大輝は、幸せな気持ちになっていたのかな?
そんな疑問にさえ・・・明確な答えが出せれそうな気がして、ならないほど・・・
幸せ。
この言葉だけに収まりきれないほど・・・
イルミネーションを眺めながら・・・美輝はひっそりと想っていた。
―――軌跡が生み出した、奇跡なのかな・・・
約束や事件などの軌跡が生み出した・・・『二従兄妹』から、『コイビト』に変わった奇跡。
どっちみち、2つのキセキに感謝しながら・・・
「恋人同士になるんだったら、早起きは絶対条件だよ?」
「そりゃ無理。」
他愛もない会話をしながら、ずっとイルミネーションを眺めていた。
『比例×反比例』裏コント〜GReeeeN〜
作者「さて、今回の題材・・・キセキ(軌跡・奇跡)は、GReeeeNの『キセキ』を参考とさせていただきました!」
拓海「で?」
作者「・・・(で?ってオイ。)『キセキ』は、私が最近ハマってる曲で・・・」
拓海「それが?お前の趣味なんざ蚊以下だし。」
作者「・・・(ったくムカつくし!コイツ!)拓海君よ、なぜそんな不機嫌なんです?」
拓海「っせぇ黙れ。」
作者「・・・」
拓海が荒んだ理由は・・・今後明らかになるでしょう(^^;)
でも、ほんと『キセキ』はいいですよ♪聞いてみる価値アリアリです!




