第1話〜何かが・・・?〜
この作品は、Sakura愛姫がペンネームのSakuraの部分を櫻に変えて投稿しています。
一方、助けに来た人・・・もとい大輝は、美輝の手を引っ張ってある場所へ向かった。
その場所は、「誰にも見られたくない」という美輝の気持ちや状態を悟ったからなのか・・・カラオケの屋上付近の空室であった。
どういうコネで手に入れたのか分からない鍵で、大輝は鍵を開ける。
中には、ソファとテレビだけがある、閑散とした場所だった。(その部屋は多分、予備の家具の押入れなのだろう。)
大輝は、目の前にあるソファに腰掛けて、iPodを弄り始める。
「・・・服、直せ。」
目線も変えず、大輝はそう言う。彼なりの、最大の気遣いだったのだろう。
美輝は無言で、ソファの影に座り込み、乱れた服装を正した。
その間、ずっと沈黙の空気がその部屋に流れていた。
やがて、美輝は服装をいつもの学生スタイルに戻し、大輝の隣に座った。
美輝は、ちろりと大輝を横目で見る。
iPodの画面に向けられている、綺麗で澄んだ目。高い鼻。女である自分から見ても綺麗で出来物ひとつない肌。サラサラの茶色の地毛。
自分にはない逞しい骨格、節が目立つ手、程よく筋肉がついた腕・・・
・・・二従兄妹でも、大輝は“男”である・・・ということを、大輝には失礼だが今更になって美輝は気づいた。
気づいたと同時に、素肌を見られた・・・という単純な羞恥心が美輝の中に生まれた。
ずっと向けられている視線に、鈍感というな類に入る大輝も気づいたのか・・・「なんだよ。」とでも言いたげな目でiPodから視線を外し、美輝を見下ろす。
その目に、美輝の心臓は・・・高鳴った。
「わっ・・・ゴメン。」
美輝は慌てて視線を逸らした。でもその視線は、行き場を確定できず、キョロキョロ動く。
「・・・お前大丈夫かよ。」
大輝は意味深な動きをする美輝の目を見てフッと笑うと、iPodの電源を切った。
また続く沈黙。
「・・・なんでココに来たの・・・?」
美輝は、今いちばん気になっていたことを大輝に問いかけた。
「お前を助けに来た。」・・・というのが、本来の目的なのだが。そんなことさえ言えない大輝は、一度頬を指で掻くと
「・・・お前のダチの・・・篠原・・・だっけ?から電話来てさ。」
・・・と言った。まぁ確かに嘘はついていない。
美輝は、「なんだぁ。」という言葉と同じような口調で「ふ〜ん」と答えた。
・・・助けに来てくれたのかと思った。
そうつけたしたかったのだが・・・大輝と同様、そんなことは言えなかった。
がっかりしたような美輝の横顔を大輝は少し眺め、「本当のこと言えばいいよな。」ということを察したのか
「・・・嘘だし。お前とアイツが一緒にいんのが―――ムカついただけ。」
・・・本意を、口にした。
美輝は驚いた表情で大輝を見上げる。
丁度見下ろしていた大輝と視線が衝突し、美輝の動悸は益々上がったが・・・何より、大輝が拓海に嫉妬したことや・・・助けに来てくれたことが・・・
―――嬉しかった。
それを象徴するかのように、美輝の目から大粒の涙が零れた。
そんな美輝の小さい頭を、その大きな手で包み、大輝は自分の肩へと引き寄せる。
そして美輝の涙が止まるまで・・・美輝の頭を、撫で続けた。
美輝のその涙には・・・
「嬉さ」
「自己嫌悪」
「安堵」・・・
・・・様々な感情が交差していた。
でもそれらは皆・・・大輝の手に吸い込まれて行くような・・・そんな感覚で。
やがて、その感覚は―――・・・
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しばらくし、泣き止んだ美輝は、大輝と一緒に帰路についた。
無言で辿る帰路は・・・美輝にとって、何にも苦にならず・・・寧ろ、心地よく感じた。
家に着き、部屋に入ると・・・ケータイの着信音が鳴った。
ディスプレイには―――拓海という文字。
その文字に、身の毛が全て立つような感覚に陥りながらも・・・ケータイを開けて、メールの内容を見た。
『美輝へ
今日は本当ゴメン。
幸せになれよ。サヨナラ。
P.S.店には、辞表出しといた。
拓海』
・・・それは。別れを切り出されたメール・・・
その文字を見た瞬間、美輝の頭の中には・・・「嬉しさ」と、「懺悔」。2つの気持ちが、同時に生まれた。
その2つの気持ちの存在に戸惑いつつも・・・鮮やかに見えるのは
“幸せになれよ。”
この文字だけだった・・・
その文字の中には・・・拓海の精一杯の優しさが見えて。
「・・・りがと・・・ありがと・・・拓海・・・」
・・・人とは、おかしい生き物である。
嫌いだった筈の人との別れには、決まって「ありがとう。」の言葉がすんなり出てくるのだから。
美輝はこの日やっと・・・何ヵ月もの鎖から、解き離れれた。
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一方、入浴を済ませた少年は、ソファに座って溜息を吐き・・・その長めの髪を、クシャッと掻きあげていた。
「・・・やっぱ、ショックだったなぁ・・・」
やはり、“好きな人”が他の男に素肌を見せていた・・・ということは、大輝にとって腹立だしいことだ。
あの時・・・美輝が服装を直している時、感情が先走って襲わなかった自分が物凄く光栄で、はたまたギネスもんだ・・・という大輝の考えはさて置き。
大輝にとっていちばん気になるところは・・・拓海の存在であった。
そこだけは、自分が何をどうしても・・・存在は・・・美輝の頭の中に残る拓海の存在は、消せれない。
美輝が、拓海を想っている・・・ということは、かなり低確率であるが・・・有り得る。
自分を、ソイツの代わりにする・・・ということは、かなりの確率で・・・有り得ない。
・・・低確率の“有り得る”は、願い難かった。
「情けねぇ・・・」
そんな自分を、自嘲気味に笑い・・・大輝は、ソファに倒れこむように眠りについた。
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一方美輝は、かなり不潔だが風呂に入る気が起きず、下着と制服だけを着替え、ベッドに潜りこんでいた。
でも、頭の中で悶々と検討されるのは―――大輝への気持ち。
大輝は、二従兄妹。ずっと昔から一緒にいる・・・
でも、頭を包んだあの手・・・肩へと引き寄せる、抵抗する気はなかったが、抵抗できない力・・・大輝のものだとは、信じ難かった。
今も、年少の頃も・・・大輝は、ずっと自分より劣っている奴だと思っていたのに。母親のような感情を持っていたのに・・・いつの間にか、それらは消え失せて・・・自分が知らない男になっている、とさえ思えてくる。
「・・・ワケ分かんないよぉ・・・」
二従兄妹以外、なんなんだっ!?
そう自分に質問してみるが・・・答えは、出てこない。
ただひとつハッキリしていることは―――
―――もう、自分が守る立場にはなっていないこと。守られる立場になっていること。
そんなことに、少々不快感を抱きつつも・・・その『何か』が分からない。『答え』が分からない。
・・・もどかしい。数2の問題が全部解けないことよりも、悔しい・・・
・・・悔しい・・・
そう思いながら、美輝は眠りについていった。
―――この時からだった。
美輝の、大輝の、2人の・・・比例と反比例のグラフが“狂い始めた”のは・・・
でも、格子点は・・・姿を暗ませたまま、“その時”を待っている。
“その時”を逃すか逃さないかは・・・2人次第。
『比例×反比例』裏コント〜突如の第2シリーズ!?〜
美輝「そもそも、なんであんな微妙なトコで切ったわけ?」
作者「いや〜・・・R15の要素がひとつ出てしまいましてね・・・」
大輝「結局アイツじゃん。」
作者「・・・ま、そこらへんはスルーで。」
美輝「で、この第2シリーズ、誰が主役なの?」
作者「えぇ。そりゃあもうアンタたち2人の波乱万丈な喧嘩腰の日々を・・・」
大輝「冗談じゃねぇよ。コイツ喧嘩となったらマジ怖ぇって。」
美輝「んだと大輝ぃっ!オルァッ!(既に・・・^^;)」
・・・ということで、作者の自分勝手な行動で第2シリーズにしてしまいました・・・スミマセン。




