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久方ぶりの更新は帰路の話から。行きはよいよい帰りは怖い。

 翌日はまさに出港日和といっていいほどの快晴だった。青く澄んだ空は遠くまで広がり、海は穏やかに凪いで優しい波の歌を奏でている。

 予定では午前の内に<ヒュウガ>を発って、往路と同じく一夜を越して<ナカス>へと帰ることになっているが、この気持ちのいい青空はその道中の安全を約束してくれているようで幸先がいい。


 依頼ではその後、積み込んだ商品を<アキヅキ>の街まで運ぶことも含まれていた。しかしそちらは残留メンバーが引き継いでくれる。そのため私たち遠征組の役目は帰港した時点で終わるはずだった。


 しかし昨夜の一件でマルシェの企みが明らかになり、そう簡単にはいかなくなった。すでに詳細は八艘や他の遠征組を主導する各船の船長達にも伝えており、また遅くまで続いた昨夜の話し合いでもさんざん話し合ったのだが、彼女の扱いを含めてどうするかは決まらなかった。

 結局は<ナカス>への帰還と依頼の完了を最優先にするという結論に落ち着いたものの、要は問題の先送りにしかなっていない。


「おはようございます、幽夜様。少々顔色が悪いように見えますが、昨夜はあまりお休みになられなかったのですか。」


 一方でマルシェの態度は変わらなかった。積み込んだ商品の最終確認を終えて出港前の挨拶に来た彼女はすっかりと以前のような笑みを取り戻し、何ら遺恨を感じさせない声で私を気遣ってさえいる。


「ああ、マルシェさん。おはよう。いや色々と考えることがありまして。しかし航海に支障をきたすことはないのでご安心を。」


 そんな彼女の態度に私も表面上は昨夜の一件を忘れ、以前のように接しようと決めた。しかし表面上は昨晩の出来事をなかったように振舞おうとするものの、それでも多少のぎこちなさは口調に出てしまうのは避けられない。結果として敵対と友好、どちらともとれる曖昧な言い方になってしまう。


 それを誤魔化すように大げさにあくびをして見せる私に、マルシェはそのままの笑顔で言った。


「はい、<冒険者>の皆さまのすることですから心配はしておりません。それでは私は部屋の方へと戻りますので後のことはお願いします。」


 行きと同じようにそう言い残した彼女はすぐさま船内へと姿を消した。かわって私のところにやって来たのは同じくあくびをするはくしゅだ。その腕には<古代海亀(アーケロン)>を曳舟代わりにするための太綱を抱えている。


「あー、特に態度に変化はなしかー。成程、あれは手強いねー。対人ヘタレの幽夜じゃ手に負えないのもむりはないなー。」


 失礼な事を平然と言ってくるはくしゅをじろりと睨み付ける。だがすぐに取り繕うだけ無駄と思い、ため息へと変えて諦めと共に吐き出した。


「確かにこの手のスキルは磨いてこなかった。……それでその難しい女子の扱いに慣れていそうなお前だったらどんな手を使うんだ。」


 対して返答を期待していない言葉だったが、私の知る中で一、二を争うトラブルメーカー筆頭はにやりと笑うと楽し気に言い放った。


「そんなの決まっているじゃない。女子会トークだよー。」


 その発言を聞かなかった事にして、私は出港のための指示を出すことに専念する。




「あー、信じてないなー。一緒に飲んで、駄弁って、雰囲気に乗せてペースに巻き込んっじゃえばどんな頑なな心も一発なんだよー。」


 などとのたまっていたはくしゅだったが、そもそもその標的は船室に閉じこもりほとんど顔を合わせることがない。当然誘う機会もなかった。


 出港のバタバタが落ち着いた後で一度船室の戸を叩いて誘いをかけてみたようだが、気分がすぐれないことを理由にあっさりと断られたらしい。


「まあ、まだ時間はあるしねー。何度も誘っていれば一回ぐらいは受けてくれるでしょー。」


 それでもくじけずに平然とストーカー行為を宣言するはくしゅである。しかしまもなくするとは彼女や私を含め、全員その事に気を止める余裕はなくなった。




 <ヒュウガ>の港を発ち、およそ数時間が過ぎたあたりだろう。その時の私は船の指揮を交代して船長室に引っ込んでいた。もっと正確に言うならば昨日の夜の睡眠を取り戻すために仮眠中だったのだ。


 突然けたたましい念話の着信が響き、浅い眠りに入っていた私を叩き起す。重い瞼を開いて飛び込んできた着信画面には今、船の指揮をとっているはずのせーでんきの名前があった。


「幽夜くん。起きた?起きたならすぐに上に来なさい。緊急事態よ。」


 普段の彼女には珍しく焦りをにじませた声に急かされ、私は身だしなみもそこそこに船長室を飛び出した。そのまま残っていた眠気を置き去りにしながら廊下を抜け、甲板への階段を駆け上がる。


 訓練中に耳に挟んだ話では船長が呼ばれるのは何かがあった緊急時だけらしい。それまで船長とは常に甲板上で船の指揮をとっているものだと思っていたのだが、実際は入出港などの例外を除けば基本的な航海指揮は当番の責任者だけで事足りるらしいのだ。


 今の<七福宝船団>も同じような船の運用をしている。故に今の時間帯の指揮を預けられているせーでんきがこの船全体の責任者である船長の私を呼ぶのは十中八九面倒なことが起きたという事態を示していた。


 心なし揺れが大きくなっているを感じるのは動揺の表れだろうか。騒ぎ始めた不安を顔に出さないようにしながら、私は甲板に飛び出した。


 すぐに気が付いたのは船上の慌ただしさだ。あちこりで走り回り、声を上げている仲間達。その中には今の時間では休憩しているはずのものまでいる。


 何があったのかを気にしながら増設した中央の指揮所へと走った。その下までたどり着くやいなや、頭上から切羽詰まった声が降ってきた。


「遅いわよ、幽夜くん。手が回らないから早く指揮を変わって。」


 甲板よりも高く上げられた指揮所から身を乗り出して声を降らせてきた呼び出し人はすぐさま私を総指揮者に据えようとする。


「一体何があったんだ。」


「あれよ。」


 指揮所に駆け上がりながら尋ねる私に言葉を惜しんだのかせーでんきは突きつけるように右前方の方角を指さした。彼女のほっそりとした人差し指を辿った私の視界はすぐさま急速に広がりつつある黒い雲を捉えた。


 左手に続くナインテイルと右手前方に見えてきたフォーランド。その両者へ橋を渡そうかとするように右手より黒い雲海が伸びてきている。同時に雲が海に落とす影の進軍はこの船団の進路を飲み込もうとしていた。

 かなりの頻度で青白い光が黒に混じるのを見た私は顔を引きつらせ、せーでんきを振り返る。


「あれってヤバくないか。」


「どう見てもやばいわね。とりあえず指揮を返すわ、幽夜くん。私は他の船との連絡に専念したいから。」


 認めたくない現実をあっさりと肯定した彼女は私に指揮権を渡すと自分は念話のメニューを開いてフレンドリストを辿り始める。

 それを見ながら私も乏しい知識と体に残る感覚の知らせを頼りに必要だと思われる指示を出し始めた。


「カシス。雲の進行状況を詳しく教えてくれ。」


 頭上に向かって放り投げた声はすぐさま返事となって落ちてきた。


「見たところ広範囲に厚い。それに結構な頻度で雷が鳴っているみたい。広がりも早くてもう少しで予定進路を飲み込みそう。多分あと二時間以内にこの船も飲み込まれると思う。」


「そうか。じゃあ近くに避難できそうな島は見えるか。」


「この周囲にはない。でももう少ししたらナインテイルとフォーランドの間が狭まる。そこならいくつかの島が点在しているはず。」


 カシスの言葉に私は脳内に海図を思い浮かべた。サブ職業<船長>の持つ能力であるこの脳内の地図は大まかな現在の位置と今まで航海したことのある海の情報を記録し続けてくれる。ゲーム時代で培い、往路で更新した海図上では船は確かにナインテイルとフォーランドの間の海峡に差し掛かろうとしていた。


「<シラウオ>の海か。現実だと豊後水道。……また厄介な場所で面倒なことに。」


 <ツーゲート>海峡ほどではないとはいえ、潮の流れが速く点在する島々のせいで入り組んだ海峡だ。逃げる場所には事欠かないだろうが、モンスターの生息数も多く往きでも何度か襲撃を受けている。よりにもよってというのが正直な感想だった。


「分かった。ありがとう。とりあえず、そのまま雲の様子を見張っててくれ。」


 カシスに労いの言葉をかけつつ、念のためにと近くを走っていたはくしゅを舳先にやって見張りを厚くした。さらに側舷側や後方にも見張りを置く。


 今のところは操船の人員は足りているし、船団を組んでいる以上単独で勝手な行動はできない。マルシェを除く全ての乗組員10人の仲間に役割を振リ終わった後で、私は指揮所の下に留まっていたせーでんきに声をかけた。


「旗艦との連絡はついたか。」


「ごめんなさい。まだ通話中みたい。他の船からも問い合わせが多いみたいで八艘船長にも副船長にも連絡がつかないの。」


「分かったその二人への呼びかけは私がやるから、せーでんきは乗組員の方に連絡を取ってくれ。とりあえず旗艦と連絡を取っておかないと迂闊に進路変更も出来ない。」


「じゃあ、お願い。こっちもそれでやってみるわ。」


 今のところできるだけの指示も出し終わり、とりあえず手が空いた私はせーでんきと分担して旗艦に連絡を取ろうとした。


 同一サーバー内では距離を問わずに使える念話であるが、一度に仕えるのは個人用、パーティー用、ギルド用などの種類の内の一つだけだ。事前の取り決めでは緊急時は旗艦からの指示を出すはずだったのだが、どうも上手くいっていない。


 連絡に手間取っているのか、それともまだ判断しかねているのか。どちらにせよ旗艦が方針を示さなければ船団は下手に身動きが取れない。


(念話の便利さに頼らず、手旗信号とか他の連絡手段も用意しておくべきだったか。)


 出発時の慌ただしさのせいかそこまで気を回す余裕がなかった。準備不足が今になって出始めている。そのことに危機を感じながら通話中の念話を見限り、<銀尾翼竜>で直接指令を受け取りに行かせようかと思案する。


 しかしそれよりも先に求めていた相手からの着信が入った。発信者はチープサイド。旗艦<海魔>の副船長だ。

 急いで繋ぐと頭の中に早口の声が響く。


「わりぃ、幽夜船長。連絡に手間取ったぜ。」


「謝罪と反省は後で頼む。それより前方に見えてきている嵐についての対処を聞きたい。突っ切るのか、それともどこかでやり過ごすのか。」


「後の方だ。ナインテイル東岸か小島の入り江のどこかに入ってやり過ごすってさ。そのまま本船のあとに続いてきてくれよ。」


 急いでいるのを隠す余裕もないのだろう。最低限の情報と指示を伝えただけで打ち切られた。とはいえ必要な指示はもらったのであとはそれに従うだけだ。


「進路変更を準備。<海魔>のあとに続く。それと見張りは全員他の船との間隔にも注意を。距離が詰まってきたらすぐに警告してくれ。」


 指示を出しながら再度、脳内の海図を開いて現在位置を確認する。すでに船団は<シラウオ>の海に入っていた。

 予定では日のあるうちにこの海域を抜けて<地獄温泉郷>近くの廃港で一泊し、翌日の昼には<ツーゲート>海峡を越えるはずだった。しかしあの黒雲とそれに対する予定変更のせいで航海の予定が遅れることは確実だろう。


「……遅れが一日で済めばいいんだが。」


 発光が混じる黒い雲海が手を伸ばしてこちらを絡めとろうと刻一刻と近づいてくる。その様子に嫌な予感を覚えながらも私は進路を転じた<海魔>の後に続くべく、また指示を出し始めた。




 幸運とは違い、不運とは連れだってやって来るものらしい。嵐に捕まる前に避難場所へ逃げ込もうと予定の航路を外れた遠征船団だったが、ここで付け焼刃だった操船技術のボロが出た。


 遠征航海初の緊急事態や潮流の早い海などの要因もあったかもしれない。だが原因は何にせよ、ここまでかろうじて保たれてきた連携にほころびが生じ、それは船団の動きを縛る鎖となって表れ始めたのだのだ。


 指示に対する反応の遅れや勘違いはまだいいほうで、船同士の距離を見誤ってあわや衝突となりかける、急な潮の流れに入り込んであらぬ方向へ流される、暴れ始めた風の動きを追いきれずに裏帆を打って足が止まる、といった大小のトラブルが次から次へと発生した。そしてそれらが積み重なった結果、船団の避難は遅れに遅れる。


 さらには現実には存在しなかったモンスターの存在が逃げ込むべき避難場所の選定を難しくしていた。なるべくならば訓練場所だった<ナカス>近郊の入り江のように敵対モンスターが居ない危険の少ない場所を選ばなければならない。しかしその条件を満たす場所は少なかった。

 ゲーム時代ではこの辺りは人気スポットから外れた過疎地であったが、だからといってモンスターが出現しないわけではなかった。そのモンスターもレベルはさほど高いわけではなく、倒すのは難しくはない。


 しかし討伐と防衛は別の話である。いくらレベルが低いからといってモンスターの存在を軽く見て避難場所を妥協するのは危ない。下手をすれば荒れ狂う雷雨に翻弄されながら夜通し襲い来るモンスターの死闘をこなすような羽目になってしまう。


 そんな事情もあり、船団がなんとか条件に合うある島の湾に逃げ込んだ時には、既に大粒の雨が甲板を打ち付け始めていた。


 避難場所に着くとすぐに錨を下ろして船を止め、帆も全て畳んだ。高波に流されないように船上のものを頑丈なロープで固定したりと手間取りながらも嵐に備える作業を何とかやり終えた頃には、皆全身濡れ鼠と化していた。


 本気を見せ始めた風雨から逃げるように船内へと入り、濡れた体を拭いてたところでようやく人心地がついた。その頃にはすでに窓の外にはすっかりと闇が降り、はっきりとした揺れも感じることが出来るようになっている。


 不規則に揺れる船内を苦労しながら見回り、浸水などの問題がないことを確認し終えた私は状況報告のために八艘へと念話を入れた。


「報告だ。やっと今、確認が終わった。とりあえずこっちは問題ない。多分、大丈夫だ。」


「分かった。なら今日はもう休んでいい。明日の朝に集まってその時に今後の方針を決める。寝坊するなよ。」


「寝坊どころか、この揺れだと眠れるかどうかだろう。……じゃあまた明日な。」


 短いやり取りを終えると、ほっと気が抜けた。とりあえずは嵐に対する備えができたからだろう。


 少しだけ肩の荷を軽くした私は食堂へと足を向けた。倉庫を除けばこの<幽霊船>内において最も広い空間であるその部屋にはマルシェを除くこの船に乗り込んでいる仲間が全員待機しているはずだ。


「おや、船長。見回りお疲れ様です。何か問題はありましたか。」


 入ってすぐ近くのテーブルに座っていたておぱるどが顔だけ向けて話しかけてきた。その手には湯気の立つカップが握られている。


「特に問題はなさそうだった。倉庫の中の荷物も崩れてなかったし、浸水も水漏れもない。しばらく様子見は必要だろうが、たぶん大丈夫だろう。おーい。とりあえず、私にもあったかい白湯を頼む。」


 そう答えながら奥のカウンターに暖かい飲み物を注文するとておぱるどと同じテーブルについた。頼んだ飲み物を待つ間に何となしに中を見回してみる。


 当初の食堂には六人がけの大きいテーブルが並べられているだけだった。しかし今は壁側にもいくつかの数人がけのテーブルやソファーが備え付けられている。これらは今回の航海でメンバーの何人かが持ち込んだものだ。


 本来ならばフルレイドの人員をも収容できるこの食堂だが、今この船に乗り込んでいる仲間は12人だけなので、随分とまばらに感じる。待機といってもすることもなく、それぞれが思い思いに過ごしているようだ。最も避難の際の混乱やなれない作業の疲労のせいか、おとなしく会話したり飲み物を飲んだりと静かに過ごしているものが大半だ。

 ただ飲み物や軽食を給仕してくれているせーでんきやそれを手伝う<ヒュウガ>では待機組だった<守護戦士>や<妖術師>の女性メンバーだけがテーブルと奥にある調理室の間を行き来している。


 あわただしく働いている彼女たちに労いの視線を送った私に、ふと隅のテーブルで数人の仲間がぐったりとしている様子が目に入った。

 彼らは皆、置かれたカップにも手を付けず、机に突っ伏しては時折呻き声を上げている。それが気になり、私はマグカップを持ってきてくれたせーでんきに尋ねてみた。


「持ってきてくれてありがとう。ところで、あそこの連中は一体どうしたんだ。」


「え?ああ、船酔いよ。」


 揺れでこぼさないためか中身の少ないカップを受け取りながら私は視線で方向を示した。それを見たせーでんきは苦笑して答えるが、さらに疑問がわいてくる。


「船良い?。アイツら航海系技能は持っていただろう。それなのに船酔いなのか。」


「うーん、例え技能を持っていても弱い子は弱いみたい。多少は耐えられるみたいだけど、これだけ揺れると流石にダメみたいね。さっきはくしゅと二人で状態以上回復の呪文も試してみたけど効果はなかったし。幽夜君は平気なの。」


 せーでんきの質問に私は笑って答えた。


「今のところは。一応現実でもよく船に乗り込んで釣りとか行ってたからな。前に友達と一緒に行った時も途中で海が荒れてこれぐらいは揺れてたけど平気だった。」


「あらそう。でも船長が船酔いで倒れられても困るし、それはそれでよかったわ。まあ嵐の方を鎮めることはできないし、可哀想だけど彼等には慣れるまで頑張ってもらうしかないわね。とりあえず冷たい水でも持っていってあげるわ。」


 そう言い残して<嵐を呼ぶ者>はテーブルを離れていった。疲れているみんなの給仕を買って出ていることもそうだが意外と面倒見がいいらしい。

 少し認識を改めたて彼女を見送った私にておぱるどが話しかけてきた。


「それで船長。この後はどうするんです。」


 彼の言葉に私は少し思考する。その間にも部屋のあちこちからちらちらとこちらを伺い見る視線を感じた。その視線に押されるように私は答えた。


「そうだな。しばらく様子をみるとしても、いつまでもここで待機させとくわけにもいかないしな。みんな慣れない作業で疲れているだろうし、もう少ししたら当直の順番だけ決めて部屋に帰ってもらおう。どっちみちこの揺れの中でぐっすり眠れる奴はいないだろうが。」


 カップの水面に立つ波紋を飲み干し、私はこの嵐の夜をどうやって乗り切ろうかと考え始めた。


という訳で帰りの前にまず嵐と遭遇、船を航行させられない。いかに<冒険者>でも荒れた天候はどうしようもありません。

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