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れたす色の紳士な友達

「なんか良い方法ないかな~、うさぎさん?」

「さぁ、僕からはなんとも言えないですね……」

 次の日、華恋は親友であり町の相談室でもあるうさぎのところへ行った。薄いレタスのような色をしていて、草の中に隠れるとすごくわかりにくい。敬語なのはいつものことだ。

 そのレタス色のうさぎは、持参したレタスをしゃくしゃくと齧りながら空を見上げた。人間界では見ることの出来ない藍色の綺麗な青空。宇宙に一番近い天界ならではの美しい景色だ。

「この空を見ると、自分もちゃんと地球の一員なんだな、って素晴らしい気分になれますね……」

「既に死んでるけどね~。うさぎさんって生まれてすぐに死んじゃったんだっけ? ちょ、何でも良いから考えてよ~」

「人がせっかく……はぁ。竜さんと考えてくださいよ……」

「さっき出掛けちゃったんだよぉ~」

「まぁ僕も考えておきますよ……ん? 気のせいですかね、あそこの集団の真ん中に居る人……」

 短い前足でうさぎが指した方を見ると、確かに大量の女子がある一点に集まっている。その中央で爽やかに微笑んでいるのは輝きを放つ背の高い青年。

「……竜だ」

「ですよね~」

 華恋の目が鋭くなるのがわかったうさぎは、その場から逃げようとする。……が、すぐに捕まえられて、胸に抱かれる。華奢な割に大きな柔らかい二つの塊に包み込まれ、うさぎは必死に冷静を装う。

「……喜んでなんかないんですからね」

「ん? ほっぺが赤いぞ、うさぎさん」

「照れてもいません。紳士ですから」

「でもこの間竜が『男はみんな野獣だ』って言ってたよ?」

「わ~、すっごい偏見」

 二人がそんな会話をしている間にも、竜は女子に囲まれて幸せそうだ。一人の女子の耳元で何かを囁く。その言葉を聞いた他の女子は顔を赤くして黄色い悲鳴をあげた。囁かれた本人は口をパクパクした後、恥ずかしさに顔を伏せてふらつく。その子を抱きとめたのは勿論竜だ。

 なんだかすごく楽しそうだ。

「……何か考えているんでしょうか」

「さぁ……?」

 二人の疑問を感じ取ったかのように、竜の首に絡み付いていた少女が「竜様、今何考えているんですか~?」とナイスな質問をした。

「ん、俺? そうだな……君達と過ごす夜のあれこれかな?」




「……」

「僕だったら絶対君を選ぶんですけどねえ……」

「何の話してんのよ」

「えっ……」



「ただいま~」

 夜遅く、竜が時計塔に帰ってきた。ドアを閉めた瞬間、無数のフォークが顔めがけて飛んでくる。慌ててその凶器を避け、その原点へと目を向ける。

「随分と帰りが遅いのね。女の子達と夜のあれこれってヤツをしてきたの?」

「げっ、聞いてたのか……」

 竜は顔を引きつらせる。この手の事で華恋が怒ると一週間は口をきいてくれなくなるのだ。色んな女の子を口説きまくっていた所も見られていたのだとなると、かなりまずい。

 平手打ちをくらわされる覚悟で目をつぶる。


 が、痛みは勿論、華恋が動く気配すらない。

「……どうした?」

「別に。今ここで喧嘩したらまた先に進めなくなるじゃない」

 不服そうに歪んだ小さな唇がそう呟く。こういう姿を見ると、成長したなぁ、と竜は感動する。昔はなんでも自分の思い通りにならないとすぐに怒り出していたのに……。

「華恋、お前可愛くなったなぁ……」

「なっ……調子に乗んなバカっ!」

 素直にそう言ったのに、思いっきり平手打ちをされた竜なのであった。

 うさぎは思う。こんな微笑ましい二人の間で、しかも華恋さんに抱き締められているなんて僕、半端なく邪魔じゃないですか?

 そんな複雑な心境の彼に気付き、竜が変な顔をする。

「こいつはなんでここに? 華恋の友達……だったよな?」

「あ、さっき訪ねてきたんだった。どうしたの?」

「あぁ、忘れてました。実はお二人にお話が。ちょっと門に細工をして、忍び込んで……あ、えぇと、だから、お話があるんです」

 忍び込み云々はともかく、うさぎの真剣な声と表情に二人の背筋が自然と伸びる。少し迷った様子を見せたうさぎだったが、やがて何かを決意したように小さな口を開いた。

「僕あれから華恋さん達が生まれ変わる良い方法を考えていたんですが……一つしか思い浮かびませんでした。しかし、やる気があれば成功する確率は高くなるでしょう」

「そんな方法、あるの?」

 ゆっくりと頷く。

「リヒト様にお願いしてみてはいかがでしょう」

 竜の動きが止まった。驚いたように目を見開いている。華恋も同じで、慌てて竜の顔色を伺っている。いけないことだったか、と口を押さえるうさぎに彼女がそっと耳打ちする。

「竜とリヒトさんはね、とっても仲が悪いの」

 リヒトというのは竜と華恋の主人であり、恋愛を司る神である。見た目は少しチャラい好青年という印象だが性格は曲がっていて、今までに何人も色々な種類の天使が泣かされてきた。特に竜との相性は最悪で、お互いに成績がトップで眉目秀麗な所が似ていて、気に食わないらしい。犬猿の仲というやつだ。

 固まっていた竜がうさぎに目を向けた。見るからに不機嫌だ。

「……なんでアイツに頭下げなきゃなんねーの?」

「ですが、リヒト様の影響力は天界でも有名です。あの方を上手く説得できれば、生まれ変わるのも少し楽になるのではないでしょうか?」

「確かに。頑張ってお願いしたら許してくれるよね!」

「竜さん、ファイトです!」

 燃えている華恋とうさぎを見て竜はため息をついた。

「ったく、しょーがねーな。早速明日リヒトのとこ行くぞ」





れたす色のうさぎって珍しいですよね!

次は恋愛の神様のご登場です☆

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