問題浮上の昼休み
「いってきまーす」
今日も朝麻菜と駅で別れる
そして進は大輔に昨日のことがないようにするため告げ口する
「おい大輔昨日みたいなことを勝ってにすんなよ したら女装化してボコボコにすっからな」
大輔は進の顔をみて冗談ではないことを悟り
「あっああ わかってるって俺だって昨日は少しは悪かったって思ってるよ」
「す こ しだと?」
進がギロっと睨むと大輔は急いで電車に入っていった
「てかさ昨日助けた子かわいかったなぁ」
電車の壁にもたれ掛かりながら大輔が話しかける
「まあお嬢様って感じはしたな なんか相手がムカついたのもわかるしゃべり方だったし」
トラブルを起こしたあの子を攻めているわけではないが避けられたトラブルのために自分が女装しないといけなかったことに少し苛立っていた
あの子がもう少し自分で対処できれば
『亜依善高校前 亜依善高校前』
「でもほっとけなかったんでしょ」
ニコニコしながら大輔が冷やかしてくる
「べ 別にそんなんじゃねえよ」
開く電車のドアを出ながら進は誰にも聞こえないような声で呟いていた
学校につき靴箱にいくと
大輔の靴箱に手紙が入っていた
「いゃフォーーー高校二日目から俺に春がきたみたいだなぁ」
手紙が入っていただけで飛び跳ねて喜ぶ大輔に進は質問する
「なんでそんなにうれしいんだ? 内容も見てないのに」
恋愛などに疎い進は大輔の喜びようがわからなかった
「何言ってんだよ進 靴箱に手紙ときたらラブレターしかないだろ」
靴箱に手紙=ラブレターは大輔にとって当たり前の等式らしい
「で そのラブレターの内容は?」
ラブレターだと仮定して進も話を進める
「まああせんなって今開けるよ」
大輔慎重に丁寧に手紙の封をあけ、内容を確認する
『大事な話があるので昼休
みに中庭まで来てくださ
い
国分寺 大輔様へ』
「ほら見ろよ ラブレターだ」
バシバシ進を叩きながら大輔は春がきた 春がきたと浮かれている
「それさラブレターなわけ?ただ話したいだけなんじゃないの」
「ちっちっちっち〜」
大輔は人指し指を立て進の顔の前で手をふる
「大事な話=告白はこのシチュエーションなら当然の等式だろ」
大輔の一点の曇りもない態度を見ていると普通の高校生なら誰でもわかることなんだなと進も納得し
「そう……な…んだな」
「そうなんだよ まあ見てろって」
そう大輔は言うと教室のほうへ歩いていった
キーンコーンカーンコーン
キーンコーンカーンコーン
昼休みを告げるチャイムが教室に響き渡る
そして日直が礼の合図をし昼休みが始まった
「いくか」
「いってらっしゃい 頑張れよ」
意気込む大輔を応援しながら送り出す
「は? なにしてんだよ 進もいくに決まってんだろ」
さも当然とばかりに進を誘う大輔
大輔の予想外な行動に呆気にとられる進
五秒ぐらい時間が止まりようやく進は大輔に言葉の意味を問う
「は? なんで俺もいくんだよ 呼ばれてるのは大輔だろ」
「そら俺が呼ばれてるさでも観客がいないなんてナッシングだろ」
「いやいやどれだけ俺が恋愛に疎くても告白に観客がいるほうがナッシングだと思うぞ」
進は呆れ果て自論を述べる
だがそんな話に大輔が耳を傾けるなんてことはなく
「やべ 時間ねえじゃん とにかくいくぞ 進」
そういいながら大輔は進を引っ張って中庭へと爆走した
そして大輔はベンチに進はベンチの後ろの草むらの中に座って差出人を待った
はぁ……なんで俺が人の告白を見なきゃいけないんだよ
まあ俺の妻が決まるかもしれねぇんだしっかり見て思い出共有しようぜ
大輔の言い分は意味不明だ
てか相手にどう説明すんだよ俺が盗み見か?まあ現状言うなら盗み見だなでも言い訳するなら来たくてきたわけじゃねぇ〜
進が一人自問自答していると
「あなたが国分寺 大輔さんですか?」
凄く心地よい声だった
まるで森のせせらぎような透きとおった声
顔はベンチでみえない
まあ見えたらあっちからもみえるわけで見れないのは当たり前なんだけど
でも見たいという欲求が胸に広がった
俺をそこまでにする声だった
「へ?ああ そうですよ」
大輔は驚いた時に言葉がでなくて急いで返事をしたような返しをした
顔がみえないのでわからないが驚愕してるのだろう
まあ理由は多分相手が綺麗過ぎたとかそんなところだろう
「こっこんな俺になんのようかな早く帰りたいかなーと思ってるんだけど」
棒読で会話の切り上げを要求する大輔
? なぜ大輔は会話を切り上げようとしてるんだしかも無理矢理
いま切り上げたら告白が聞けないはずなのに
一人状況がまったく掴めない進はつぎの会話を待つ
「逃げなくてもいいでしょ あの時は助けてくれたんだしまあ助けたのはあなたじゃないですけど」
透きとおった声で話す彼女は好きになった経緯?なのかなを話してるみたいだ
「………」
大輔はなぜか黙って座っている
「私は斎原 有紗というのよろしくね大輔さん」
自己紹介かじゃあ大輔は彼女の名前を前あった時には聞いてないのか
というか女の子を助けていたなんて初耳だ大輔のやつなら自慢してきそうなのになんでだろ
「聞きたいことがあるの」
「メイド服の彼女のことだろ?」
メイド服の彼女かそんな変な人物にも遭遇してたのか大輔はこれまた俺に報告しそうな事柄なのになぁ
「そうよ メイド服の彼女の名前はなんて言うの?」
「さ…おと……め?さんかな」
早乙女か俺と同じ苗字だな
あれ?まてよなんかこの会話なんか引っ掛かるぞ
女の子救出 メイド 早乙女 しかもこのことを大輔が俺に報告しない いやする必要がなかったんだ
これってまさか
「早乙女さんというのですかあなたは早乙女さんとどういう関係なの?」
この子は前俺が女装して助けた子かよ
気づいた時には進は立ち上がっていた
本当に無意識だった
進と有紗両方がお互いを見る
斎原 有紗は大輔がいったように綺麗な子だと思った
腰まで長い髪も整った顔も胸もウェストも足も すべての部位がひとつの特徴と言っていいほど綺麗で可愛い外見だった
進が予想した通り昨日助けた子だ
「だれ?」
有紗が急に出てきた進に対して敵意を表し睨む
自分が隠れていて急に出てきたことをこの言葉で改めて気付いた進はテンパり
「えっえっえっと お 俺はあっ怪しいもんじゃなくてなっ名前はそう早乙女 進だ」
あとから考えればここで名乗らなければ斎原とも話すことはなく普通に高校生活やっていたかもしれない
「さ…おと…め?メイド服の人の親戚?」
「メイド服の人は進のいとこさ なぁ進?」
苦し紛れに勝ってな嘘でごまかしたぞと大輔が目で送ってくる
「いとこ ならあの人に会わしてください」
キーンコーンカーンコーン
キーンコーンカーンコーン
と有紗が進に懇願すると同時に昼休み修了前の予鈴がなる
「やべ予鈴がなった帰らなきゃ」
機械のような棒読みで大輔が立ち上がる
「いくぞ 進 じゃ斎原さんまたこんど」
進は大輔とともに駆け出した
「ちょっと待ちなさいよ 話は終わってないんだから〜」
後ろから追いかけてくる気配があるが止まらない
走りながら
「進めんどうなことになったな」
大輔が話しかける
「てかいとこって設定どうすんだよ」
進も走りながら返す
「でもようあそこでなにか行っておかないとメイド服の人=進になる可能性もあったわけだぜ同じ早乙女だし」
「それが一番最悪だなでも今も悪い状況なのは確かだな」
二人は男子トイレという安全地帯に逃げ込んだ
「これからどうすっかなぁ」
「あんまりいとことはあってなくて知らないなんてよくね?」
進はかすかすの脳みそから絞り出した意見を出す
「それでもいいが あの人多分大金持ちなんだよね」
「それがどうしたんだよ」
進は大輔がいっていることの関連性が分からなかったので聞いてみる
「一番厄介なのは金の力で探されることだよ 金の力で探されたら昨日のこともそうだが中学のことまで調べられるぞ」
中学のことを知られたらもろバレだ
「だから今行う最善の策は敢えて斎原さんと一緒にいもしない早乙女を探すことだ そうすれば一番の情報原がとなりにいるんだからすぐには大掛かりなことはしないだろう」
キーンコーンカーンコーン
キーンコーンカーンコーン
昼休み修了を告げるチャイムがなる
「よし この作戦でいくか 頑張れよ 進」
そう言って大輔はトイレを出ていった
そしてそれに続くように進もでる
確かに大輔の策はまあまあいいと思うけどそんなにうまくいくのだろうか
大きな不安を抱えることになってしまった昼休みだった