女装化
俺は女装すると別の人格が心の奥深くから浮上してくる
言動は女のようになりそしてなぜか体が何倍も強くなる
いや強くなるだけじゃない記憶力、反射神経、IQ、その他もろもろが何倍も良くなるのだ
これに気付いたのは中学三年の仮装大会で俺が女装した時に人格が変わった時だった
なぜ変われるのかはいまだにわからない
この女装化は人格がすべて変わるのではなく微妙にもとの自分が残った状態になる
だからやったことは覚えてるし自分がどんな状態になっているかもわかる
そしてこの女装化は綺麗な服を着たり髪をかえたりするとより強くなる
つまりより綺麗な女を装うほど強化されるのだ
それを知られた中学時代はさんざんだった
俺は昔から人が困っていたらほっとけない性格だった
それも女装化したら強化されるようで人の頼みをなんでもきいてしまい
朝いく度に俺は女装させられ働かされた
だから高校では女装なんかせずにいきていくつもりだったのに俺は初日からなにやってんだよ
本当に今日は最悪な日だ
つまらない入学式がやっと終わり家に帰ろうとしていたらものすごい悪そうな人にぶつかってしまったのだ
「おい そこの嬢ちゃんぶつかっといてごめんもなしか」
ハゲでアロハシャツにだぼっとした長ズボンを着た中年の男が威嚇してくる
「ん?どうしたんだよ」
ハゲの周りには二人いた
「おおこの娘可愛いじゃん 悪い娘にはおじさんがしつけてあげるよ」
デブのくそキモい人が荒い息をしながら近づいてくる
「ぶつかってしまったことについては謝ります すみませんでした これで結構でしょ?」
私はいつも通り見下すような言葉遣いで返した
「このガキムカつくな俺は乗り気じゃなかったがやっちまうか?」
ハゲでもデブでもないもう一人が顔に怒りを表す
「謝ったんだからいいでしょどきなさいよ」
私は意味がわからなかった私が謝ったのだ問題は解決のはずだなのに怖い顔で三人とも近づいてくる
そして三人から掴まれ
「えーと あの公園にでもいくか」
「はなして はなしな…んんん」
私は途中で口を塞がれてしまい叫ぶことさえできなかった
最初は謝ったら済むと思っていたなのになぜなの
なぜ私がこんなめに
私は無意識のうちに涙をこぼしていた
公園につくと周りから見えにくいところに放り投げられた
「さあ教育の時間だな」
三人が近づいてくる
怖い怖い怖い怖い
だれか助けて
その心の声に答えるように彼女は現れた
「そこのゲスども その娘から離れなさい」
私はその声に反応し顔をあげる
長い黒髪の上にはカチューシャをして、服は黒と白をベースにしたフリフリのドレス、どっからどうみてもメイドの衣装だった
だけど全然不自然ではなくまるでメイド服はこの人が着るために作られたのではないかと言うほど綺麗で似合っていた
「なんだありゃ コスプレさんか コスプレやろうが何しにきたんだよ」
ハゲの人が笑いながらメイド服の人に声をかける
「もしかして混ざりたいの? なら大歓迎だよ」
デブの人が興奮した声で手をカモンカモンさせる
「きこえなかったのかしら、ゲスの皆さんはその娘から離れてくださいと言ったのですけれど?」
メイド服の人のその声で三人はまた怖い顔になる
「最近の女は教育が必要だな」
なんの特徴もない人が手を鳴らしながらメイドさんに近づいていく
「あの娘もまわそうよ」
デブの人は興奮を抑えきれないと言った感じで荒い息になっている
「まあちゃっちゃっと終わらすか」
ハゲの人もあとに続く
「きなさいゲス共 私が裁いてあげるわ」
メイド服の人は近づいてくる三人に余裕を見せつける
「じゃあ いくぜ」
特徴のない人の声で一斉に三人が拳を構え飛びかかる
「はぁ かわいそうなぐらい遅いわね」
飛びかかる三人なんて構わず眉間に手をあて呆れた仕草をする
「だから 遅いのよ」
私にはメイドさんが分身したかのように見えた
そしてメイドさんがもとの一人の状態になっているときには三人とも倒れていた
「ば…ばけ……もの………か…」
最後まで特徴がない人が意識を保っていたがそれだけ言うと倒れた
メイドさんはさっと長い髪をかきあげ後ろ向いた
「大輔いくわよ」
公園の入り口に立っていた男の子にメイドさんが声をかける
「楽勝だな」
その男の子は笑いながらメイドさんに言う
「あの」
私はどうしても聞きたくてメイドさんに声をかけた
その声に反応してメイドさんは振り替える
「どうして助けてくれたんですか?」
私が勇気をふりしぼり聞くとメイドさんはニッコリ笑い
「困っていたら助けなきゃダメでしょ あなたどこから見ても襲われてたから」
じゃ とメイドさんは手をふり入り口に向かう
「あのもう1つだけ」
私がまた呼び止めるとメイドさんはまた振り替えってくれた
「お名前は?」
私がそう聞くとメイドさんは一瞬思案顔になり、そしてすぐにニッコリ笑い
「ひ・み・つ」
メイドさんは人差し指を伸ばしたまま口にあてた
そのあとは大輔と呼ばれた男の子と共にどこかへいってしまった
進は男子トイレから着替えをすませて出てきた
「おい大輔 これどうすんだよ」
進は綺麗な顔がどうなったらそんな鬼のようになるんだと聞きたくなるような恐い顔をしていた
「まあまあ 落ち着けってあの娘も無事助けれたんだからいいじゃねぇか」
進はその場に倒れこみ
「ああ早くも女装してしまった ああ……」
「まあ気にすんなって衣装もかえてたしばれてないさ」
「てかお前なんであんな衣装持ってたんだよ」
俺が普通あんな衣装を携帯していることの不自然さに質問をする
「っえ まあもしもの……ため?的な」
そのしどろもどろな大輔の態度で気付く
「お前トラブルが軽くても重くても俺を女装させるきだったな」
「そんなこと……あるわけ…ないだろ」
そう言って大輔は進から逃げるように走り出す
「ちょっとまてや 大輔 聞きたいことがいっぱいあるんだよ」
それから俺たちは追っかけ合いをしながら電車も乗らずに走って家まで帰った
ところ変わってここは今日変な三人組に襲われた女の子の寝室
「あああのメイドさんはいったいだれなんだろう」
私は今日電撃のように私を助けてくれたあのメイドさんのことを考えていた
「綺麗でかっこよくてしかも綺麗で ああまた会えないかしら」
私はメイドさんと別れてからそればかり考えていた
「ん?そういえば」
あることに気がつく
「メイドさんが呼んでいた大輔と呼ばれている男の子は私と同じ学校の制服を着てたわ」
それから私は妖艶な笑みを浮かべ
「明日大輔と呼ばれた男の子とコンタクトしてみましょう そして絶対またあの女神様に会いに行くわ 絶対に」
私は胸に期待を膨らませながら眠りにつくのだった
またまたところ変わって進の部屋
「はっくしゅん なんで急にくしゃみがでるんだ? 噂でもされてんのかな」
進はそう呟きながら部屋の電気を消しにいく
「お兄ちゃーん 一緒にねようー」
進の部屋のドアをおもいっきりあけて麻菜が入ってくる
「今日は疲れたからお前の相手なんかしてらんねえの おやすみ」
「可愛い妹に愛を〜」
麻菜を部屋の外に放り出し電気を消す
「今日はいきなり失敗したが明日から気を引きしめていくぞ」
そう意気込む進だがまだ進は自分の高校生活がすでに思い描いていたのとは反対方向に進んでいることに気づいてはいなかった