初日から女装
進と大輔は電車から学校への最寄り駅でおり学校へ向かっていた
「可愛い子いるかなぁ」
大輔が進に他愛もない質問を投げてきた
「さあなぁそれなりにいるんじゃないのか」
「進は女に興味ないからなぁ」
「ないわけじゃねえよ ただいいと思う子がいないだけ」
「進は面食いだからなぁ 俺彼女できかなぁ」
大輔が上を向きながら呟く
「大輔は背高いし顔もいいから黙ってれば大丈夫だろ」
「なんだよ喋ったらダメなのかよ」
「まああのテンションじゃついていけないだろ」
進が苦笑いしながら答えると大輔が
「そうかなぁ楽しいと思うんだが」
大輔は頭の後ろをかいてまだ少し納得できてないようだ
「進は綺麗な顔だから得だよなぁ〜女装したら美人だし」
大輔はニヤニヤしながら肩を組んでくる
「高校では絶対しないからな俺は正しい道を歩くんだから」
肩を組んでくる大輔を剥がしながら言う
「絶対に女装のこと学校で言うなよ 言ったらわかってるだろ?」
俺が鬼のような形相で大輔を脅迫すると
「わっわかってるよ」
素直に頷いた
「じゃっじゃあさっさといくか」
大輔はほんとに怖かったのか早足で前を行く
まあ多分怖かったのは俺の顔じゃなくて罰のことだろうな
笑いながら進は大輔のあとを追った
亜依善東高等学校1年2Hが進と大輔の新しいクラスだった
「大輔と一緒で良かったわ知ってる人俺大輔しかいないからな」
進がクラス分けの紙を確認しながら言う
「まあ僥倖だな進 でも知ってる人が俺だけの高校に行きたかったんだから俺以外知らないのは当たり前だろ」
笑いながら大輔が毒づいてくる
「そうだな……でも知らない人しかいないより一人でも知ってる人がいるのは気が楽なもんだ」
他愛もない会話をしながら進たちは教室に入る
黒板には出席番号順に並べられた席順が記載されていた
それによると俺の席は廊下側から二番目の列の一番後ろのようだ
反射的に大輔の席も確認する
それに気づいてか
「俺は進の前の席 ラッキーだな すぐ近くだぜ」
お互い席に座り、大輔が雑談でもしようとしてか振り向いた時に黒板の上のスピーカーから
『新入生はこれから入学式を始めるので体育館へ移動してください』
放送の指示に従い体育館に移動する
体育館につくと他の生徒も緊張してかテキパキと行動しているので予定より五分早く入学式が始まった
『これから亜依善東高等学校第82回入学式を始めます 全員ご起立ください』
全員が礼をし座る
『学校長あいさつ』
司会が校長のあいさつを促すと校長らしきハゲのおっさんが先生達の中から抜けステージにあがる
『ようこそ亜依善東高等学校へ 諸君達は今日から新しい亜依善東高等学校の生徒である ゆえに…………』
校長は鉄板というかまあありきたりなあいさつをながながと繰り広げる
『………これで学校長のあいさつとさせていただきます』
10分すぎ頃ようやく学校長のあいさつが終わり校長が元の位置に戻る
『生徒会長のお言葉』
お言葉?なぜ校長には普通なのに生徒会長には敬語がつかわれているんだ
進が考えている間に生徒会長らしき女性がステージにあがる
『あー あー っんんん 先の校長みたいなパソコンで調べたらすぐでてきそうなカスみたいに話じゃないんで耳の穴かっぽじって聞いてください』
進を含めて新入生の大半が呆然としていた
会長のあまりの前ふりに皆理解が追い付いていなかったのだ
『ここ亜依善東高等学校は先生と生徒会が対等の立場で運営されている異質な学校といっていいでしょう』
異質ってこんなとこで言っていいのか?しかも会長が
『だが対等のためには生徒会が先生と同等あるいはそれ以上じゃなきゃいけねぇ なので現在生徒会は頭のいいやつを募集中だ 頭に自信があるやつ、学校を変えたいやつ、努力できるやつは生徒会に一回顔みせろ 私達でこの亜依善東をいい学校にしていこう』
会長の言い方は乱暴だったが熱意が伝わってきてすごく言いたいことがダイレクトにきた
でも生徒会長のお言葉ってただの勧誘かよ
進が心の中でツッコンでいるなかも入学式は続いた
入学式が終わると簡単なホームルームだけして今日の学校は終わった
そして進は大輔とともに帰っていた
「いや〜亜依善東の入学式はすごかったなぁ」
帰り道大輔は言いたくてたまらないものを出したかのように喋り始める
「2年3H妻恋慈 明日香会長のあのプロモーションみたか?すごすぎ 俺式中なんて鼻血を抑えるの苦労したんだぜ」
「そう…だな…」
目を輝かせながら話す大輔に圧倒されながら進は相づちを打つ
大輔お前いつ名前とクラスの情報を入手してきたんだ?
「漆黒の髪と瞳、輝かしい顔は神がつくりし一品、男ならまず目がいくほどの美乳、スカートから出たあの神々しいほど美しい脚、ああまるで女神 いやまさに女神」
完全にダメだなこりゃ
大輔の妻恋慈会長への愛の賛辞を聞いていた進は呆れ視線を大輔から前方へと移す
「ん?」
前をみると亜依善東高の制服をきた女子がヤクザかなにかわからないがヤバイ系のおっさんに囲まれていた
「おい大輔あれ」
進は大輔に前を見るよう促す
「なんだよまだまだ俺の熱い賛辞は………やばいな」
浮かれていた大輔は前をみるなり表情変えそしてにっこり笑いこっちをみる
「こんなこともあろうかと持ってきておいた…ぜ」
大輔はカバンから長い髪のカツラを取り出し進にかぶせる
すると進の体からある感覚が浮上してくる
「おい やめろ 俺はもうしないって決めたんだよ そのためにお前以外の同じ中出身者がいない高校にいったんだぞ」
進は頭に手をあて必死にある感覚と闘う
「大丈夫だってだれにもばれねえよ それにあの娘助けなきゃいけないからしゃあなしだろ」
大輔がするしかないと諭してくる
「男のまま助ければいいだろ」
「無理だぜ進見た目的に今の俺たちがいったって無傷で彼女を救うにはお前が女装するしかねぇ」
進はついに大輔とあの感覚に勝てず…なってしまった
「大輔、服持ってるんでしょ着替えるわよ」
進はさっきとはまるで別人のような声で大輔に指示するのであった