高校初日の朝
100%勢いです
目の前に美少女がいる
ぱっと見ただけでもわかるほどだ
髪は黒の腰まで掛かるロングヘアー。目も黒でパッチリ二重だ
足はスラッとのびていてまるでモデルさんみたいだ
背は167cmぐらいといったところ
胸はない
普通目の前にこんな美少女がいれば鼻の下がのびたり見とれたりしてしまうかもしれない
だけど俺はしない
目の前の彼女が妖艶な笑みを浮かべこちらに近づいてくる
そしてキスを迫るかのように目をつぶり唇を近づける
キスなんてこいつとできるわけがない
仮に俺がこいつのことを好きになってしまったとしてもキスはできない
まあ好きになんかならないが
いやなれないかな
だってこいつは女装した俺だから
ぴぴぴっぴ
ぴぴぴっぴ
目覚まし時計がなっている
俺ゆっくり体を起こした
あともう少し目覚まし時計が鳴るのが遅かったら俺は俺とキスする夢をみるところだったぜ
ありがとよマイ目覚まし時計
心の中で目覚まし時計に感謝しながらベッドから出て朝の支度を始める
今日は入学式だ
引き締めていかないとな
心で意気込みながら制服に着替える
着替えをすませ一階のリビングへ
「おはよう」
ドアをあけながらあいさつをする
すると既に中にいる母が
「あら進ちゃん早いのねお母さんが起こしてあげようかとおもっていたのに」俺の母 早乙女 明甫はまだ子離れができてないようで時々だが平気で抱き着いてきたりするので困っている
多分俺が起きてなければ寝ている俺に起こすという名の添い寝をしてきていただろう
前にやられた時はかなりビビった起きたら横で母さんが寝てるのだ
あの時から俺は自分でおきるようになった
席につきながら母に尋ねる
「麻菜はまだ寝てるの?」
麻菜というのは俺の1つ下の妹のことだ
あいつも今日から学校なのだが
「まだ寝てるみたいねぇ」
春休み感覚が抜けてないのかまだ寝ているらしい
母の朝ごはんの支度はもう少しかかりそうなので起こしにいってやるか
「じゃあ起こしてやるか」
進がそういいながら席を立つ
「お願いね あっ進ちゃん麻菜に変なことしちゃだめだからね」
その言葉に進は笑いながら
「するわけないだろ妹なんだから」
そう言って二階にあがる
妹の部屋のドアをノックする
「麻菜〜朝だぞ〜」
起きた気配がないので
「入るぞ〜」
まあ寝てるから意味がないがいちよう言ってから入る
妹の部屋はもうピンクばかりで壁、カーテン、天井がピンク一色になっている
あちこちに人形なんかも置いていて女の子らしい部屋だ
まあ妹以外の女の子の部屋なんかはいったことないので正直わからないが
妹が寝ているベッドに近づき
「おい麻菜朝だぞ」
肩を揺さぶってみる
「おい遅れるぞ 起きろ」
両方の肩を持って激しく揺さぶると
「あ〜んお兄ちゃんそんなに激しくしたら麻菜壊れちゃうよ〜」
麻菜はまるで始めから起きていたかのように素早く俺に抱き着いてきた
「でもお兄ちゃんになら麻菜は………」
俺は毎回のことなのでスルーして
「今日学校なんだから早く起きろよな じゃ早く着替えて下にこいよ」
「お兄ちゃんひど〜い 可愛い妹が朝のあいさつをしてるのにスルーするなんて」
「とにかく起きろよ遅刻するぞ」
冷めた口調で進がかえす
そして胸の前にいる麻菜をひっぺはがし出ていく
「早く着替えて降りてこいよ」
進はそう言い残し下に降りていった
テーブルには三人分食事が並べられていた
妹を起こすことで時間ロスしたので急いで食べる
進が朝食を半分平らげたあたりに麻菜は着替えをすませ降りてきた
進は麻菜が食べ終わるのを待ってから二人一緒に家を出た
「いってきます」
「いってきま〜す」
進が通う高校と麻菜が通う中学へは二人とも電車で通学する
「お兄ちゃん今日は入学式なんだよね?」
「ああ」
「かぁ〜お兄ちゃんの晴れ姿見たかったよ〜」
「いや別に代表のあいさつするわけじゃないし」
晴れ姿って俺並ぶだけなんだけど
「代表だったら学校休んででもいったんだけど並ぶだけだからねぇ」
わかってるなら言うなっての
「でも大事な日だよね」
そういいながら麻菜がこちらを向く
その言葉に進が首を傾げていると
「だって高校生という新しい人生が始まる日だからねぇ」
その言葉に進はびくっと反応した
そう新しい人生を始めるんだ中学で誤ったレールを高校で正す
麻菜と進が他愛もない話をしていると前から変態が現れた
「麻菜ちゃーん 今日も最高に可愛いね」
変態は麻菜の前で止まり両手をカメラの形してパシャパシャ自分で効果音を出している
「やめてくださいよ国分寺さん」
麻菜はいつものことなので笑って対応する
「いや〜進はいいなぁこんな可愛い妹がいて 髪は茶髪で目もパッチリ二重、顔なんて神が作った芸術品、胸はまだ発育中だがそこがまた男を引き付ける、ウエストに太ももどの部位も細いのになぜか柔らかそうと感想を抱かせる、こんな少女にお兄ちゃんと言われた日には天国の階段のぼっちゃうよ〜」
早口で麻菜の体についての感想を述べたのは国分寺 大輔 (こくぶんじ だいすけ)中学からの親友で高校も一緒だ
「お兄ちゃん私と一緒にいたら天国の階段のぼっちゃう?」
麻菜が上目遣いでなぜか顔を赤くし問いかけてきた
「ん?俺がお前といるだけで天国いくわけないだろ」
進はそういいながら麻菜の頭の上に手をおく
すると麻菜はうぅーとうなり
「もういい」
そう言うと先にいってしまった
「あちゃーもうちょっと乙女心考えようぜ進くん」
大輔は顔に手をあてながらあきれている
「俺が悪いのかさっきの」
進はなぜ麻菜が怒ったのかも大輔が呆れてる理由もわからなかった
麻菜は少し前をいったところで振り向いた
「こんな鈍い人置いて先いこ国分寺さん」
それだけいってずんずん前をいく
「っま ゆっくり考えろ」
大輔はそう言うと麻菜を追っかけて走っていった
はぁ……と進はタメ息をつき一人とぼとぼ駅へと向かった
駅には二人ともいて待っていてくれたようだ
「よう 進一人ぼっちの登校か寂しいな」
「お前らが先いったからだろ」
「だってお兄ちゃん私がなんで怒ったかもまだわかんないんでしょ」
「ああ全然わからないなぁ」
はぁ…と麻菜はタメ息をついた
「まあ麻菜ちゃん 頑張りな敵は難攻不落の朴念仁だ」
「応援してくれるの国分寺さん」
「ああ頑張って麻菜ちゃん」
「じゃあ頑張るね お兄ちゃんになんか負けないぞー」
麻菜が謎の意気込みをいったところで麻菜が乗る電車がきた
「じゃいってくるね お兄ちゃん 国分寺さん」
「「いってらっしゃい」」
「いっちまったなぁ麻菜ちゃん」
「ああ」
進たちが乗る電車がきた
今日の朝は騒がしかったな
まあ高校初日だからいいかこれくらい騒がしくても
「俺たちもいくか」
大輔が言って進と大輔は電車に乗り込んだ