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2人の贖罪-世界+ ~命《いきる》を選んだその先は~  作者: 【表現者のタマゴォ】/燿霞乃夜
第1章

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答え合わせ






 ――視界に広がるのは、目を疑いたくなるような光景だった。






「……なんだ、これ」



 村の中心から少し外れた場所。


 そこでオレたちが見たもの。

 それは、この辺一帯の家々が、まるで廃村のように無惨に破壊され尽くした跡だった。


 建物の一部分に大きな穴が開いていたり潰れていたり。

 柱が斜めに折れ曲がっていたり亀裂が入っていたり。


 明らかに人為的な壊され方をしている。



「さっきの、何かを飛ばして攻撃してきたやつの仕業かな?」

「どうだろ……少なくともピゴラス?だっけ?あいつじゃないことはたしかだな」

「そうだね」

「.........」



 リセはもう一緒についてくるだけでいっぱいいっぱいのようだ。



「一応中も見てくる。リセをお願い」



 オレはルピナスにそう言い残し、近くの適当な家の中に入る。






 家の中は静まり返り、床をきしませる自分の足音だけが響く――。


 少し進んだ先に、食事用の部屋と思わしき空間があり、そこで横たわる人の姿が視界に入った。




「……っ!…おうぇッ…」




 すでに手遅れとなったそれは、既視感のある逝き様――頭の上半分だけが欠けている状態だ。


 足早にこの場を後にし、オレは彼女らのもとへ戻る。






「どうだった?……って、1人ってことは…」

「うん…もう遅かった」






 この後も同じように他の家も何件か回ってみるも、どこも屍が転がっているか、あるいは誰の姿もないかのどちらか。


 そして、次に中を確かめようとしていた家の前に来たところで、足が止まった。




「……ここって」

「――どうしたの?」




 一度だけ友人たちと来たことのある場所。

 あの時は家の前まで来て、「やっぱり帰るわ」とか言ってオレだけ1人引き返したっけか。



「レンくん...の家だよね、ここ...」

「――友達?」

「......」

「はい...長い付き合いなんです。

 だからここはわたしも...一緒に見に行かせて、アイトさん」

「……うん」



 後ろにいたリセが、立ち尽くすオレの脇を通り過ぎ、玄関に手をかける。



「じゃあルピナは外見張っとくから、行ってきて」








 ――オレはどう感じてしまうんだろう。








 この先、おそらくレンは死んでる。



 それを見て、オレはきっと安堵感のようなものを抱いてしまうんじゃないか...そんな気がする。

 人の死で内心ほっとする自分なんて、自覚したくない。

 最低じゃないか。


 胃の底が冷たくなる…。




 けど……ここで目を背けるという選択肢は、自分の中にない。






 リセの後に続き、オレもレンの家へと足を踏み入れた。




「......レンくんの両親は、お仕事でよくデュムールの方に泊まりで行ってるらしいの。

 だから...レンくんしかいない、かも」



 リセが何かオレに話しかけてきているが、正直頭に入ってこない。




 扉を開けてすぐにある居間、ひとまずここに誰かの気配はなさそうだ。




「レンくん、いたら返事して...!助けに...きたから」




 隣の台所や食事部屋にも、誰もいない…。


 その反対側にあった扉を開けると、シングルサイズのベットが2つ……レンの両親の寝室、だろうか。

 …ここにも何もない。




「......こっちも、いなかった...」




 オレが入った部屋とは別の部屋を調べていたリセも、首を横に振る。


 残る部屋は、玄関から一番奥にある部屋。


 扉の前に文字が彫られたネームプレートのようなものがぶら下がっている。

 だいぶ年季が入っていて、なんて書いてあるのかは読めないが、多分ここがレンの部屋なのだろう。




 リセと目を合わせ、オレたちは最後の部屋の扉を開け、中を確かめる――。






「―――え……な…」






 その予想していなかった状景に、直前までの思考が全て吹き飛んだ。








 寝台のすぐ横で動かぬまま横たわっているのは、頭部を抉られた2つの人影――――レンとエレナが、身を寄せ合うようにして終を迎えていた。



 顔面が一部欠損しているので、顔立ちから判別することは難しい。


 しかし、あの2人で...間違いない。

 この場所にいること、さっき会った時と同じ服装であること、これだけで十分だ。



 最期の瞬間まで一緒に過ごしていたんだろう。

 ずっと曖昧なままにしておいたものが、こんな形で確信に変わってしまうとは……。




「―――っ......!ひどい...」




 友人の変わり果てた姿に耐え切れず、リセの足からは力が抜け、その場に崩れ落ちる。


 胃の奥から込み上げてくるものを抑えきれず、そのまま吐き出した――。






「………」






 リセには悪いが、オレは背中をさすってあげることすらできない......。


 もうこの場にいたくない。

 もう見たくない。

 早くここから立ち去りたい。






「――行こう、リセ。もうオレたちにはどうすることもできない」

「......でも...っ......」






 (うずくま)ったまま、動こうとしないリセ。


 彼女はオレより何倍も長くこの2人と関わってきたはずだ、無理はない。

 だが、




「まだ全員…てわけじゃない。早く行けばもしかしたら間に合うかも……」




 リセの家族やドリオー、他の村の人たちだってまだ殺されたとは限らない。だからここに居続けることはリセにとっても望ましくないはず。


 それを伝え、促すようにリセの肩にそっと手を置いた。


 ......タイゼンのことは、あえて触れないでおく。




「――じゃあオレは、先にルピナスさんのとこに戻ってる」




 動揺が抜けきらず、彼女の呼吸はまだ浅い。

 今は1人にしてあげた方がいいのかもしれない、そう思いオレは先に部屋を後にする。




 落ち着くまで彼女の手を握る、なんて関係性ではないのだから。





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