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2人の贖罪-世界+ ~命《いきる》を選んだその先は~  作者: 【表現者のタマゴォ】/燿霞乃夜
第1章

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期せぬ合流




「そういえばさ、キミの名前まだ聞いてなかったよね?

 …なんていうの?」



 銀色の瞳がオレの顔を見上げ、そう聞いてくる。


 こうして並んで歩いてみると、ルピナスは意外と身長は高くないことが分かる。

 オレよりも目線が一段下にある背丈、多分150センチ中盤くらいだろう。



「――シラツキ・アイト。呼びやすいように呼んでください」

「どっちを名前にしてるの?」

「…ん、アイトの方だよ」



 微妙に変な聞き方をされた気がしたが、わざわざ聞き返すほどのことでもないので普通に答える。



「じゃあ無難にアイトくんって呼ぶね」

「……ほい」



 オレは彼女のことをなんて呼んだらいいんだろう。

 ルピナスさん、でいいのかな…。


 もしこれからも付き合いがあるなら下の名前で呼んでみるのもアリ…か?

 でも、生き延びれたとしてどうせここでお別れの流れになりそうだし…。じゃあ少し距離を置いてシレアさん、とかだろうか……。



 そんなことを考えていると、




「――あ、やっぱり…。なんでだろう?何に反応してるんだろう……」




 隣でそう小さく呟くのが聞こえた。



「どうしたの?」



 ちらっと横を見ると、彼女は自身の胸元に下げた結晶に指を当て、(いぶか)しげに見つめている。


 よく見ると、その首飾りはささやくようにほのかに光っていた。



「アイトくん、ひょっとしてこの首飾りに見覚えあったりはする?」

「え…?いや全然」

「そうだよね…」



 どうやらルピナスは、この微光はオレに反応してるんじゃないかと言いたいらしい。


 とはいえ知らないものは知らない。

 この世界でペンダントのようなものを所持した記憶もないし、前世界から持ち込んだ記憶もない。



「本当にオレなの?」

「うーん、違うのかなぁ…」



 どこか消化しきれない気持ちを抱えたまま歩いていると、そろそろ中心エリアに踏み込むところまで来ていた。



「もうすぐ着くと思う」

「オッケェ」

「村のちょうど真ん中に目立つ建物があるから、ひとまずそこを目指すね」

 


 具体的な行き先を決めてなかったので、オレが元々”別の理由”で向かおうとしていたあの場所へ向かう。


 村で一番目立つ場所だ。


 あそこなら避難所になってたりする可能性も考えられる。もしかしたら他の村人たちとそこで合流できるかもしれない。



「今のとこ生きてる人は全然見かけないけど……。

 その建物に集まってたりするのかな?この村の非常事態の時の集合場所とかになってたりする?そこ」



 ルピナスも同じような考えに辿り着いたようだ。



「んー、どうだろう……。

 オレこの村に来てそんな長いわけじゃないから、あんまり詳しくなくて」

「まあ行ってみるしかないってこ―――え、なにこれ」



 途中で言葉が途切れ、隣を歩いていたルピナスが急に足を止めた。



「今度はどうした?」



 また首飾りのことか?

 そう思いながら彼女の視線を追う――。






「―――っ!」






 そして“それ”を見た瞬間、全身に嫌な寒気が走った。


 目線の先にあったのは、見覚えのある地面のくぼみ――自らを足跡だといわんばかりに存在する場違いな手形だった。


 伐採に行く途中で見かけたあれと、十中八九同じもの。

 強い力で押し付けられたような気味の悪い手形が、ここにも残されていたのだ。



「手の、足跡……?気持ち悪っ。

 ピゴラスの足跡じゃないっぽいけど…」



 まじまじと手形を見つめるルピナスが、眉をひそめそう分析する。


 オレたちの進路を遮るように、手形は点々と視線の届かないところまで続いている。



「これ…さっきも別の場所で見た」

「この手形を残したやつが、ものを飛ばして攻撃してきた犯人…かな?

 それとも別口……?」




 分からない。

 もうほんとに分からないことばっかりだ。



 ただ悪い予感の上にさらに悪い予感が積もっていく、そんな感覚。




「とにかく急ごう、取り返しがつかないことになる…」




 いや、取り返しなんてとっくにつかない状況になっている。


 けど、それでも行かなきゃいけない。






 間違っても、この襲撃でオレだけが生き残るなんて結果だけは…絶対にあってはならない。






 ルピナスの返事を待たず、オレは走り出す。

 何度も通ったこの道で、今日の昼も歩いたこの通学路で――迷うことは無い。




 数分もしないうちに、すぐに目的の建造物の前まで来た。


 さっきまで職探しの講義で使っていた建物。

 動機こそ途中で変わったが、結局ここへ何時間かぶりに戻ってくることになるとはな。




 少し遅れて、ルピナスもオレに追いつき隣に並ぶ。



「あれがさっき言ってた建物?」

「ああ」

「じゃあ中見に行ってみよっか」



 今度はルピナが先導して歩き出す。




 それに続いて入口の方に足を向けたその時、不意に扉が開かれ、中から勢いよく人影が滑り出てきた――。






「――――!」






 妙獣の可能性が過り、オレは咄嗟に身構える…というかルピナスの後ろに隠れる。


 だがよく見ると、それは覚えのある薄桃色の髪で――








「――リセ!?」








 ここにきて、ようやく生きた知り合いと合流することが叶った。






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