兵士の救済
勢いのまま振り下ろされた蒼光の尾を引く刀剣は、口を落としたブタの体を一刀両断、縦に真っ二つに叩き切った――。
「……すげぇ…」
思わずそうこぼしてしまう。
ドリオーの時でも十分衝撃的ではあったが、それ以上だ。
技としてこちらの方が格段に洗練されている、素人目にもそれは明らかなほどだった。
妙獣の終命を確認すると、手にしていた剣を腰の鞘に収め、こちらを振り返るなり駆け寄ってくる。
「君、怪我はないか?」
「は、はい…なんとか。
えと……ありがとうございます。本当に...助かりました」
自分でも驚くほど、出した声は小さかった。
無礼なやつだと思われないよう、代わりに頭を深く下げ、態度でも感謝を示す。
「そんなに畏まらなくてもいい。当然のことをしたまでだ。
俺はトーマス。セントラディアという国で兵士をやっている」
頭の防具を外し、そう名乗った男。
聞いたことのない国だ。デュムールとはまた別…だよな。
よく見ると、彼が装備している鎧の胸元には、紋章のような印が刻まれていた。
これが国章…?或いは組織のマーク的なやつか?
「シラツキ…アイトです」
「シラツキくん、君以外に生存者はいるか?
さきほどここに辿り着いたばかりで、我々も事態が把握しきれていない」
改めて周囲を見回し、そう口にするトーマス。
「わからないです…。
唯一見かけた生き残りはさっき目の前で......」
「……そうか」
「すまない」と男は視線をオレから少しずらした。
「我々はあっちの方から村に入ったんだが、出入り口と周りの柵が破壊されていてね…。
異変を感じ見に来てみたらこの有様だったんだ」
そう説明するトーマスが指さすのは、オレがさっきまでいたとことは別の村の出入り門がある方向。
そこから妙獣が侵入してきて村を襲った…ってことか。
でもそんな容易く破壊なんてされるのだろうか。
いやたしかに、妙獣の凶暴さはこの目で見た。柵を噛み砕くのも不可能ではないのかもと思った。
でもあれにそんな知能があるのか?
あるとするなら、なぜ今までは襲われることがなかったんだ。
まあそんなことは考えても仕方がないといえば仕方がない。
現に今襲撃は起こっているのだから――。
「トーマスさん、自分たちは一旦生存者がいないか、周辺の建物を見て回ってきます」
「了解した。
俺はこの少年のそばについているから行ってきてくれ」
もう1人の剣兵と大盾の男が、建物を一軒ずつ捜索していく。
オレは横に立つトーマスと特に何かを話すわけでもなく、ただじっとその場で待つ。
――つもりだったが、あることを思い出し、オレから沈黙を破った。
「トーマスさん、そいえばさっきあっちの方に別の個体が向かってくのを見たんです。
あっちは村の中心部で、もしかしたらまだ生きてる人がいるかもしれません…...」
「そうか、分かった。なら早めに向かった方がいいかもしれないな。
2人が戻ってきたら行くとしよう。案内を頼めるかな?シラツキくん」
「はい、分かりました――」
それから十分も経ってないくらいだろう。
「ここもダメです!
遺体はいくつか確認しましたが、生きていたのはそこの少年だけだったみたいです」
「すでに遅かったということか......」
大盾の男がこちらに向かって声をあげ、結果が芳しくなかったことを告げる。
「これから村の中心部へ向かうことになった。
とりあえず戻ってきてくれ!」
「――了解!」
2人が小走りでこちらに合流しようとした、その時だった――。
彼らの背後、建物の陰から、三匹の”嫌悪の塊”が姿を現したのだ。
「……!お前ら後ろだ!」
トーマスが瞬時に反応し、剣を構える。
その叫号を聞いた2人も、身を翻し戦闘態勢へ――。
「シラツキくんはここにいてくれ!」
そう言い残し。妙獣のもとへ駆け出して行ったトーマスの体が
――――弾けた。
「――は?」
バタバタしとりもーすので短めの投稿多くなるかも... (TДT)ゴメンヨー




