表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
短編集  作者: 歌を忘れたカナリア


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/18

恋愛のプロ(独身)と、鈍感すぎるバカ

「彼女が欲しい」と嘆くカズキ。そこに、唯一事情を知っている「ただの男友達」のヨシオが加わると、事態はさらにややこしい方向へ転がります。



『恋愛のプロ(独身)と、鈍感すぎるバカ』

放課後の部室。カズキは床に転がりながら、親友のヨシオに泣きついていた。


「ヨシオ……助けてくれ。俺、もう女子の気持ちがさっぱり分からん。どうして俺には春が来ないんだ!」


ヨシオはポテトチップスを食べながら、窓の外でカズキをじっと待っている幼馴染のサキを指差した。


「おい、カズキ。あそこにサキちゃんが待ってるだろ。あんなに可愛くて、お前のことを毎日待っててくれる女子、他にいないぞ。あの子でいいじゃん」


カズキは体を起こし、鼻で笑った。 「ははっ、ヨシオ。お前は何も分かってないな。サキは『家族』みたいなもんだ。例えるなら、実家のこたつだよ。安心はするけど、ときめきはないんだよ!」


「お前、その『こたつ』が他の男の家に貸し出されたら、冬越せないだろ……」


「とにかく! 俺はもっとこう、ミステリアスで、運命を感じるような出会いが欲しいんだ!」


そこへ、しびれを切らしたサキが部室に入ってきた。 「ちょっとカズキ! いつまで喋ってるの。ほら、これ。あんたが欲しがってた限定のキーホルダー、たまたま見つけたから買ってきたわよ」


サキはツンとしながら、小さな箱をカズキに渡した。


「……! サキ、これ! どこに行っても売り切れだったやつ! お前、まさか隣の市のショップまで行ってくれたのか?」


「……別に、散歩のついでよ。感謝しなさいよね」


サキが顔を赤くして出ていくと、ヨシオがニヤニヤしながらカズキの肩を叩いた。 「おい、今の見たか? 『散歩のついで』で隣の市まで行くやつがいるかよ。完全に愛だろ、愛」


するとカズキは、神妙な面持ちでヨシオの目を見つめた。


「ヨシオ……俺、気づいちゃったよ」


「おお! ついに気づいたか!」


「サキのやつ……足腰、めちゃくちゃ鍛えてるんだな。 散歩で隣の市まで行くなんて、あいつ、将来は登山家か何かを目指してるに違いない。俺も負けてられないな!」


ヨシオは持っていたポテトチップスを握りつぶした。 「……お前、一回、脳の精密検査受けてこい」


「それよりヨシオ、相談があるんだ。サキがせっかくお土産くれたから、お返しに**『超強力な握力トレーニング機』**をプレゼントしようと思うんだけど、女子って何キロくらいから喜ぶかな?」


「喜ばねえよ! 握りつぶされるぞ、お前の頭を!」


「えっ、なんでだよ。登山には握力も必要だろ?」


ヨシオは天を仰いだ。目の前の親友が「彼女ができない理由」が、宇宙の謎よりも深く理解できた瞬間だった。


「カズキ、いいか。お前の運命の相手は、今、ドアの外で『握力計より重いため息』をついてるよ」


「え? 誰かいるのか?」


カズキがドアを開けると、そこには虚無の表情で立ち尽くすサキがいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ