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十五ノ書「決着」


「さぁ!二人の話し合いはどうやら終わったようです!何話してるかは分からなかったけど!二人ともさっきまでとは顔つきが違うよー!かっこいいー!」


「何やら様子がおかしいような…。大丈夫ですよね…?レント…」


ヘルフは鬼の形相でさっきよりも鋭く早い攻撃を僕に向けて来ている。僕は受け流すので精一杯だ…


「くっ!ヘルフ!やめろ!!!」


「ほら、ほら!ほら!!止めてみろよォ!レント!」


なんて力だ…!どんなに力強く剣を振っても弾かれる…!


「お前は何も分かってない!スアイという国も僕の事も!」


「あぁ…!分からないよ!!!でも復讐が間違っている事くらいは分かる!」


「それがわかってねぇって言ってんだよ!」


「ぐぁっ!!?」


ヘルフに蹴り飛ばされた。みぞおちに入ったのか息がしずらい…。


「はぁ…はぁ…!終わりにしてやるよ。レント…!楽にしてやる…」


「ヘル………フ…!」


「僕の正体も目的も知ったお前は殺す。あの世で見ていてくれ。僕が…大義を成す瞬間を…!」


ヘルフは両手に持った円形の剣を腕の前で重ね構えた。ヘルフの体を赤い光る風が包み込んだ。


「じゃあな…レント…!終幕だ…!!」


「ヘルフ君の周りに赤い謎の風が現れたぞ〜!レント君大ピンチか〜?!」


「死ね…っ!『蝶連剣・羽ばたき』!」


ヘルフの体が高速回転を始め、僕の方に物凄い勢いで突っ込んできた。


「レント!!!!起きて!レント!!」


レオ…ごめん……僕はここで死ぬみたいだ…。

弱い…僕は弱い。強い気でいた。剣の力が無きゃ戦えないくせに、助けて貰ってばっかのくせに自分が何か出来ると思っていた。あぁ…死ぬ。せっかくの命がここまでか…………。


「レント!諦めないでください!!立ってください!!!私の勇者になるんでしょ!!!」


……そうだ。そうだ。僕はレオの勇者になるんだ…。

こんな所で倒れる訳にはいかないんだっ…!

ヘルフの悲しみもレオの悲しみも、差別も全てを産んだ闇の神を殺すんだろ!僕は諦めない!ここでヘルフを倒して僕が勇者になるんだ!!

僕は立ち上がり力いっぱい剣を握った。


「やってみろ!!!!レントッ!!!」


「うぉぉぉぉぉ!!!!」


自分の意思を裏切るな!約束を果たす!

ヘルフの復讐を止めるのが目的じゃない!

僕が勇者になる為にこの剣を振るう!


「『光刃の煌めき』!」


僕は横一線に剣を振った。

剣は眩しい光を纏いヘルフの体を吹き飛ばした。


「ぐぁぁぁあっ!!」


ヘルフは闘技場の奥の壁にめり込んでうなだれている。胸の板が真っ二つに割れて落ちてきた。

つまり…これは…


「き、決まったぁぁぁぁ!!!!!勝ったのは!レント君です!おめでとうー!」


ウォォォォオ!!!!


「うわぁぁぁぁぁん!!レントぉぉぉ!良かったですぅぅぅ!!」


やった…。やったぞ!勝ったんだ!

ヘルフに勝った。これで僕が勇者になれるんだ。

僕はヘルフに言葉をかけずにその場を後にした。

何も言葉をかける必要は無いと思った。

ヘルフが自分自身でこの先の道を決める。僕が何を言うべきでは無い。きっと思いは伝わっている。


「ふぅん…彼面白いね…。それにあの子。よし、ちょっと声でもかけて見ようかなっ」


ようやく試験が終わった。これで僕は晴れて勇者だ。

でも一息つく間も無く僕達に災いが襲いかかってくる。僕はその災いに気付く事は出来なかった。

勇者になる。どんなに重いことか僕はまだ分かっていなかった。


十六ノ書に続く

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