十三ノ書「対人試験」
ウォォォォォォオ!!!
またしてもこの騒がしさに包まれた場所に戻ってきた。遂に始まるんだ。第二次試験が。
「みんなー!さっきぶりぃ〜♡第二次試験の実況も当然このルルがやりまぁ〜す♡よろしくリンっ」
ウォォォォォォオ!!
まぁこの人はやっぱりいるよね………。
なんだか調子狂うなぁ…
「レント。よろしく…ね」
「あぁこちらこそ。ヘルフ」
僕とヘルフは互いに向き合い五メートルくらいの距離を空けて立っている。
「早速!両者準備が出来たようなので!始めるよん♡毎回こーれーのー!選手紹介!いっくよー!」
ウォォォォォォオ!
選手…紹介?そんなのもあるんだ。
「二位経過のレント君!みんなの前で戦ってたから知ってるとは思うけど!伝承に出てくる光の勇者に憧れてるんだって!試験は初参加!でも実力は本物!どんな戦いを見せてくれるか楽しみだねぇ!」
憧れているのくだり…………要らないよね…。
「ふふっ本当に面白いよ。レント…君は最高だね…」
何かヘルフが言ったように見えたが聞こえなかった。
「続いて一位通過のヘルフーリヤ君!挑戦回数は五回目!最後の試験でようやくの一位通過!勝てなかった雪辱を晴らせるのか!」
最後の試験?どういう事だ?
「選手紹介も終わったところでルール説明に移るよん!お互いの選手の胸には心臓の絵が描かれた板が付けられています!相手の板を先に割った一人だけが勇者として認められます!」
なるほど…。要するに先にあの板に一撃でも当てれば勝ちってことか。
「さぁルールは分かったかな〜?それじゃあ早速始めましょっ♡第二次試験!スターーーートッ!」
ウォォォォォォオ!!!!!
「レント〜!!!頑張れーーー!!!」
レオの声が聞こえた。やるぞ。僕が勝って勇者になるんだ…!
「………」
ヘルフの様子がおかしい。何もせずに突っ立っている。ヘルフには悪いがこれは勝負。お互いに真剣勝負といったからには手加減も妥協もしない。何もする気がないならそこを突いて勝つのみ!先手必勝だ!
「行くぞ!ヘルフ!はぁっ!」
僕はヘルフに向かって走り胸の板目掛けて剣を突き出した。
「最初に動いたのはレント君だぁー!♡さぁ!どうする!ヘルフ君!」
「君は…本当におめでたいね…」
ガキンッ!
「っ!?」
突き出した剣は弾かれ僕は後ろへと飛ばされた。
何が起こったのか全く分からなかった。
ポタ…ポタ…
首から何か垂れていることに気づいた。これはなんだ…?赤い…液体…。血…?
「ふっ…ふふふっ…はーっはっはっはっ!!レント!びっくりしたかい?試験で首を狙われたのは!でもね。当然なんだよ?こうなるのはねっ!」
「ヘル…フ?」
「ようやくだ…ようやくここまで来たんだ…。過去四回意味のわからない化け物ばかりこの試験で見てきた。剣による攻撃を何故か体ひとつで受け切りその場から一ミリも動かないようなやつに負けたり…瞬きする間に斬られ何が起こったか分からずに負けたり。散々だったよ…。でも今日試験会場に来て周りを見れば新参者ばかりでいつものような化け物はいなかった!その証拠に皆あのヴィンザイ如きにビビってたからね!僕は確信した。今回の試験なら勝てるって。でもエントリーが終わって戻ってくるとヴィンザイに絡まれている君がいた。そして君は訳の分からない剣術でヴィンザイを一撃でなぎ倒した。また僕の邪魔をするやつが現れた…そう思ったよ…」
「な、なんで…!君はあの時僕に話しかけてくれ…」
「お前の弱点を聞き出すためだよ!当たり前だろ…!お前が上がってくるのは目に見えてた…。決勝でこうなるのは分かってたんだ!だからお前と仲良くなるフリをして油断を誘って勝とうと思った…」
「ヘルフ…」
「僕を信じてバカ正直に突っ込んできたってのに…ここ一番ってとこで失敗するなんてな…」
ビュン!ガキンッ!
「くっ!?」
ヘルフの丸い変わった剣が僕の光の剣とぶつかり激しい火花を散らした。間近にあるヘルフの顔はさっきまでとはまるで違っていた。
何かに取り憑かれたような悪魔のような形相だった。
「お前を…ここで殺して僕が勇者になるんだ!」
ヘルフはどうしてしまったんだ…、
十四ノ書に続く。




