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wake up

「待ってまずは話を…」

僕の特異な交渉術が今1秒後に生死を分ける場面で出てしまった。人の形を保っていない相手に対して…この場所で取引を選んだのは紛れもないこの僕だ繁華街の人通りのない一本道。たとえ繁華街でも細い路地に入れば道に迷った外国人観光客でもなければ入ってこれない。後ろは壁だ。逃げ道はない。ふと目を横にやるとさっきまで話していた取引相手は上半身がなく倒れている。

(嗚呼…これはどっきりなんだそうにちがいない)


化け物の手につかまれた。丸ごと俺を食べるつもりだろう。口の中がB級映画のワームのように牙が無数に張り巡らされている。僕はこれがどっきりであるように何度も心の中で反芻した。何度も何度も何度も…火事場の馬鹿力とでもいうかその時の施行は研ぎ澄まされていた。


(あぁ俺って死ぬんだお父さんお母さん僕を生んでくれてありがとう)

そう思った刹那僕の顎が外れた

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