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コメント欄に見守られ

 懐中電灯をつけて、近くにあった階段を上ると、分かれ道があった。

 目の前に広がる景色をタブレットをかざす。

『迷路の階層だね。左側に立って左手を壁にあてて進んでみて』

 通路の右側に立ち、壁に沿って進んでいくと階段を見つける。


★★★★☆


「さっきの左手で学校の授業思い出したわ」

『どんなのだい?』

「フレミングの左手の法則ってやつ」

『ああ、あれか。知っているかい?右手の法則もあるんだよ』

「本当?右手はなんなの?」

 階段を上りながら、気を紛らわせようと雑談を始めた。

「どっちかがモーターでどっちかが発電機だよ」

「え?どっちがどっち?」

『宿題。おうちに帰って調べてみたら?』

 もったいぶったかのコメントを見て私は意図を探る。

「そうね。帰れたら調べるわ。ちょっとやる気出てきた」

「そう。帰ろう。地上にね」


★★★★☆


「モンスターよ!一つ目で斧を持った巨人がいるわ!」

 次のフロアは森の中だった。

 ダンジョン内は各階層ごとにいろいろ分かれていると774さんは告げた。

『サイクロップスだね。タブレットの電源を切って茂みにじっとして』

「電源切っちゃうの?」

『サイクロプスの目は気配を察知するんだ。準静電界がわかるのさ』

 またひとつ帰ったら調べたくなることを、ナナシさんはコメントに残す。


★★★☆☆


「ここは……水ばっかりの部屋よ。冒険者セットにある渇きの石を使うの?」

『それは衣服乾燥用。安心して。ここは水だけし、この水は飲めるから』

 774さんは常に私の状態を気にかけてくれる。

「ひょっとして泳ぐの?」

『大丈夫。知っているかい?シャツは水に浮くんだよ』

 コメントの通りにシャツの中に空気を入れ、水に入る。

 泳ぎが苦手な私はそれを浮袋にして、私は地上を目指す。


★★☆☆☆


「痛っ!枝で引っかいたのかな?それとも蜂?」

『手の甲の傷を見せて。骨の上に傷があるね。周囲をグッと押してごらん』

「透明なのが出てきたよ」

『蜂の毒さ。何度か押し出してさっきくんでおいた水で流そう』

「水、大丈夫かな。もっとくんでおけばよかったかも」

 蜂の毒を出し水で洗い流し、たまに水分を補給する。

『それなら水の小瓶がある。三日分の水が入っているよ』

「早く言ってよ!ならこの水全部使って洗っちゃうわね」

『ああ。それが終わったらステロイドパッチを刺されたところに貼るんだよ』

 蜂に刺された箇所は、時間の経過とともに腫れていく。

 だから先に毒を出すと、774さんは教えてくれた。


★☆☆☆☆


 階段の踊り場で一息入れる。

「そういえばこのダンジョンっていつからあるのかな?」

『ずっと昔からあるらしいね。急に出て来たっぽい』

「あら?さすがの774さんもお手上げなわけ?」

『そうだね。一人で最下層まで行った人がいることなら知っているよ』

「つい最近のニュースでしょそれ。まったくもう」

 雑談でまた元気を分けてもらい、気合を入れて階段を一段一段上っていく。


このページのいくつかのイベントは防衛省・自衛隊のLIFEHACKチャンネル様を参考に作成しました。

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