しまいかくさ
お姉ちゃんのお皿と、私のお皿。
ブロッコリーと赤いタコさんウインナーが一緒。
でも、しまいかくさ。
お姉ちゃんのお皿はタコさんが1匹多い。
お母さんに「どうして?」って訊いたら、「お姉ちゃんのいぶくろは大きいからよ」だって。
お姉ちゃんのワンピースと、私のワンピース。
お花の刺繍のくるみボタンが一緒。
でも、ここでも、しまいかくさ。
お姉ちゃんワンピースはくるみボタンが1つ多くて、チューリップが咲いている。
お母さんに「どうして?」って訊いたら、「お姉ちゃんの服はひょうめんせきが広いからよ」だって。
お姉ちゃんのお口にはマスク。
でも、やっぱり、しまいかくさ。
私のお口には?
お母さんに「どうして?」って訊いたら、「つけたりはずしたり落としたり、またつけたりはずしたりゴムをひっぱって遊んだり落としたりまたつけたり、ふえいせいだからよ」だって。
だから、本当に必要な場所でだけ、つけるんだって。
お姉ちゃんは私よりもいつもたくさん。
姉妹なのに、ふびょうどう。
お姉ちゃんばっかりいいな。
お姉ちゃんよりも私に多いものって何だろう?
お目めのかずは、ひとつ、ふたつ。
お姉ちゃんと一緒。
お耳のかずは、ひとつ、ふたつ。
お姉ちゃんと一緒。
髪の毛のかずは、1、2、……10より多いと指が足りない。
靴下を脱ぐのは寒いから。
3時のおやつはとっても豪華で、とっても贅沢。
苺が乗った、白いクリームたっぷりのケーキ。
お母さんが切り分ける。
お姉ちゃんのお皿と、私のお皿。
苺が乗ったケーキが一緒。
でも、いつもどおり、しまいかくさ。
お姉ちゃんのケーキは苺が、ひとつ、ふたつ、みっつ。
私のケーキは苺が、ひとつ、ふたつ。
またお姉ちゃんばっかり、いいな。
「はい、どうぞ」
あれれ?
お姉ちゃんの苺が減っちゃう。
「むっすぅーとするより、にこにこ食べたら美味しいよ」
お姉ちゃんは苺が減ってもにこにこ笑う。
私も笑う。
私もお姉ちゃんもお母さんも、みんなにこにこ笑う。
お姉ちゃんのお皿と、私のお皿。
ごちそうさまで、ピカピカ一緒。
「苺のケーキ、美味しかったね」
「うん、美味しかったね」
にこにこ一緒。
お姉ちゃんと一緒、嬉しいな。