表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/105

はじまりの森を探索します

 話を聞くに、この困っている男の人は、森に生えているお茶っ葉を集める仕事をしているらしい。

 私が――というかほとんどスライムが――飲んだお茶も、その茶葉から淹れたものだったみたい。

 しかし、最近になって森に強い魔物が棲みついてしまい、その仕事に支障が出てきた。


「それで、なんとかしてほしい、ということね」


「ぷににゅ」


 男の人から話を聞き終わって、ログハウスを辞した私とスライムは、森の奥に向かおうとする。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


【スキル】なつき度強化を取得しました!


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「ひゃっ!」


 突然に目の前に黒い画面が現れて、飛び跳ねるぐらいに驚かされる。

 抱えたスライムも、ぷよんと跳ねた。


「えっと、なにこれ? なつき度強化?」

 

 そういえば、これはゲームなのだった。

 宙に浮かぶ画面を消そうと思って、それに指を当てる。

 すると、黒い画面がうにょんと下に伸びた。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


【スキル】なつき度強化を取得しました!

隠れステータス、魔物のなつき度の上昇値が

小程度だけ増加します。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 なるほど、スキルの詳しい説明を見ることができたのか。


「あなたにお茶をあげたのが、よかったのかな?」


「ぷにゅ?」


 スライムに聞いてみたが、やはり明確な答えは返ってこない。

 まあ、意思疎通が難しいのはわかってたことだけど。

 よく見たら、黒い画面の右上にバツ印があって、それを押すと画面が消えた。


「よし、行こうか。たぶん、向こう……?」


 木々の密集がなくて、奥に続く道のようになっているところがある。


「ぷにぷにっ!」


「ふふ、わかったわかった。行こうね」


 (いさ)むスライムをなだめながら、私たちは森の奥に進んでいった。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 ピクニック気分で、のんびりと歩く。

 木々の間から差し込む陽の光が、ちょうどよく暖かいのだ。


 すると、なんの前触れもなく、道の横の茂みからにゅるんとスライムが現れた。


「うわっ、可愛いっ」


「ぷにゅぷにっ!」


 仲間に会えて嬉しいのだろうか、私の腕の中でスライムが揺れまくる。


「ほら、お仲間だよー」


 私はスライムを掲げながら、茂みから出てきたスライム――ややこしいから、野良スライムと呼ぶことにしよう――に近づいていった。

 野良スライムは、少し濃い青色みたい。


「ぷににゅ!」


「ちょっと、どうしたの――ぐふぅっ!」


 暴れ出したスライムに気を取られていると、私の下腹部を衝撃が襲った。

 色気のない悲鳴を上げながら後ろに倒れて、(したた)かに背中を打ちつける。


「いてて……」


 思わずつぶやいたけど、落ち着いてみるとそこまで痛くはなかった。

 もし現実だったら、痣が残るぐらいの衝撃だったのではないだろうか。

 でも、ゲームだから痛みを抑えるような調整がされているのかもしれない。


「というか、いったいなにが……」


 身体を起こすと、スライムと野良スライムが向かい合って、お互いにぷるぷると揺れていた。

 なんかの儀式? 感動の再会?


 いや、違う。


 私のスライムが、野良スライムめがけて、びゅんと跳ぶ。

 ぷにぷに同士の衝突のわりには、鈍い音が辺りに響いた。


「ぷにゅっぷ!」


「ぷにぃ……」


 勝ちどき――そんな風に見えた――を上げる私のスライムの前で、野良スライムが淡い光になって消えていく。


 そうか……そこら辺にいる魔物は敵なのね。

 私は、野良スライムの突進をくらったのか。

 無防備に敵に近づくなんて浅はかすぎたな、私は。


「ぷにににっ」


 地面に座り込む私の周りを、スライムが跳ね回る。

 うーむ、心配しているのか、それとも。


「褒めてほしいの?」


「ぷにゅっ」


 私が手を伸ばすと、スライムはぷにぷにとすり寄ってきた。可愛い。


「私の代わりに倒してくれたのかー? 偉いぞー、スライム」


「にゅにゅっ!」


 ふと、この子に名前をつけようと思った。

 ゲームのシステムとして名付けができるのかはわからないけれど、いつまでも個体名では可愛そうかもしれないし。


「うーん、スラ(きち)?」


「……ぷに?」


「違うか、スラ丸」


「ぷにぷにっ」


 私の顎に、スライムががんがんぶにぶにとぶつかってくる。

 気に入らなかったのかもしれない。


「あっ、もしかして、女の子かな? スラ美は?」


「ぷにぷにっ」


「えっ、違うのかな……?」


 もしかして性別とかではなくて、私のネーミングセンスに怒っている?

 そうだったら、なんだか申し訳ないな。


「えっと……じゃあ、スラリア」


「ぷにゅっ? ぷにぷにゅぅ」


 おー、お気に召したようだ。

 私の膝の上に、ぷぷにっと上ってきて嬉しそうに揺れている。


「ふふっ、スラリアか。あらためて、これからよろしくね」


「ぷにゅっ」


 ピクニックどころではなかった魔物の森で、私とスラリアは固く握手――私の手はスラリアの中にめり込んでいたけど――を交わした。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【名前】リリア

【レベル】1

【ジョブ】テイマー

【使用武器】スライム:習熟度1


【ステータス】

物理攻撃:5 物理防御:20 

魔力:15 敏捷:5 幸運:5

【スキル】スライム強化、なつき度強化

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 「ぷにゅっ」って効果音(?)が癒されます。 スラリアちゃん可愛い! [一言] このままなつき度上げてくとそのうち恋愛感情に発展しそう! 本家リリアさんも知性高かったし、世界観的にも不可能じ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ