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特異でいいじゃん!  作者: クロリ
5/58

難易度:HELLモードな薔薇色の夜

 

「おいプリティエンジェル。どういうことだ」

「私の方が被害者です。それよりも今すぐ背伸びをやめてください。あなたに見下されるとムカつきます」

「お、お二人とも、乱暴はいけません!どうか落ち着いてください!」


 私たちは混乱していた。

 こじんまりとした帝国の地下にある貴族専用の檻の中で。


 それにはいくつもの理由があった。



 まず一つめ。

 気がつくと私たちは要塞と広場が半壊した跡地にいた、らしい。

 確信がないのは3人とも気絶していたので目が覚めた時には手枷、足枷、魔封じの首枷がつけられているという状態だったからだ。

 この事は私たちを捕まえた騎士から吐かせた。


 吐かせるって言っても穏便にだよ?

 シャルロットさんに貴族の特権で紅茶を用意してもらい部屋に入って来たところを天使にガッチガチの手枷がついた手でこう、ゴーンッと殴ってもらっただけだから。

 もちろん私も働いてたよ?ほら、作戦考えたり、司令塔だったし……



 でもって!あの時、私たちは帝国を破壊しながら逃亡した(という事になっている)

 なので、国家反逆罪という冤罪がそのままで今も捕まっている。


 まあまあ、これは予想していた。

 天国に行く前、つまりこの天使と出会い戦ってついでに壊れていたのはなんとなく覚えている。

 不幸中の幸いか死者負傷者ともに出ず、困るのは皇帝こと、私を杖で殴ったクソ野郎と腐りきったこの国の貴族だけだから。


 そして二つめ。

 その困る対象はもちろんシャルロットさんのお父さんも入ってしまうということ。

 これはね、考えてもいなかった。

 そのお父さんを助けるのが目的なのに逆に追い詰めてしまうとは……むぅ。


 でもね、それはまだギリギリセーフなんだよ。

 問題なのはこっから。


 私たち3人の頭上には未だにあのミッションとかいうのが表示されていた。

 そして、さっきまではなかった詳細な内容とカウントも。



 〜シャルロット・アナクフィス〜

 ミッション内容:義父、アナクフィス公爵を救う2名の手助けをせよ

 残り時間:花の月、処刑実行の夜まで



 〜シエル〜

 ミッション内容:エレセリア・アレキサンドライトの手足となり、アナクフィス公爵の処刑を妨害せよ

 残り時間:花の月、処刑実行の夜まで



 〜エレセリア・アレキサンドライト〜

 ミッション1内容:アナクフィス公爵の首を狙う刺客を撃退し、アナクフィス公爵の処刑を妨害せよ

 残り時間:花の月、処刑実行の夜まで



 うん。


 ミッション2内容:未完成な状態の天使シエルを教育して生存本能と心とはどのようなものか教え旅のお供にせよ(隷属)

 残り時間:花の月、処刑実行日の夜まで


 うん?


 ミッション3内容:異世界より召喚される少年と接触し、勇者として利用される前に捕縛せよ

 残り時間:火の月、紅月夜まで



 ……うむぅん?


 おかしいなあ。

 私だけ三つあるようにみえるなぁ?



「……っ!エレセリア様、確か今日は火の月まであと四日だったはずです」


 シャルロットさんが青ざめた顔で、私の死刑宣告を告げる靄を見た。


「いいえ。シャルロットさんたちを天界へ連れていってから今までで一日経過しています。それに今はもう紅月(ブラッドムーン)が見えるので、私たちはあと二日でミッションを遂げなければいけません」


 そっすかー、二人にも見えるのかー。

 もうこれ終わったのでは?


 私なんて未知との遭遇まであるんだよ?

 異世界から来る勇者を捕縛とか無理だってー。


「あ、そこの天使。二個めにはお前も含まれてるぜえ。覚悟しろよぉ」

「とても迷惑なので丁重にお断りさせて頂きます」


 うぐっ、そうくるか……確かに天使の方にはこんなのないし……



「シャルロットさ〜ん、あの天使私を見捨ててくるよぉ〜」

「エレセリア様……あの、天使様、どうか私どもにお力添えして頂けないでしょうか……?」



 どうだっ!見たか!

 必殺、美人に助けてもらう!


 ふへへ!

 天使には効果抜群のようだな!


 そして泣いたふりをしてさり気なく抱きつくのも忘れません。


「ひゃあっ!?え、エレセリア、さま、なんで抱きつくんですか?」

「……だって、可愛いんだもん」

「私なんてっ、そんなっ!ことないですっ!」


 必死に否定してるところも可愛いんだけどなあ。




 ……あ、今さらだけどシャルロットさんって大人っぽい雰囲気だけどまだ少女だな。発育がかなりいいだけで。

 今まで美女だって思ってたけど、人間だったら歳も近いほうかも。


 それに、シャルロットさんは可愛いけど…



「綺麗だ」

「……え?」


 月明かりに反射して艶めかしく光る白銀のまとめあげた髪が綺麗。

 それに前髪で隠してるけど、その隙間から覗く髪よりも少し暗いダークグレーの瞳も夜空の星々みたい。



 私は無意識で、その瞳をもっとよく見たくて前髪をかき上げようとすると、余程見られたくないのか必至に手でガードされる。


 やっぱり綺麗だけど可愛いが上かも。



「隠さないで、見せて?」


 上目遣いで同情を誘うように見つめてみるが、手で額を押さえたまま首を横に、ぎこちなく振られた。


 だが!詰めが甘い!

 私はシャルロットさんに背後から抱きつき固定すると、隙だらけな場所を擽り倒す!!!


「ひゃっ!ハハハハッ!!」

「……はぁ。さっきから何してるんですか。嫌がってますよ」

「だって可愛いんだもん!可愛いものは愛でろって、お母様が言ってたもん!」

「もん、じゃないでしょう?ふざけてないで早く抜け出しますよ。あなたも手伝ってください」



 むぅうう!

 なんだよお!

 可愛いからつい擽っただけなのにぃいい!


 私を無視して解錠を黙々と続ける天使に怒りと少しの寂しさを覚える。



 ……なんか腹が立ったらお腹空いてきた。

 ちょうど可愛いシャルロットさんいるし、デザートには天使がいるし……いっか!!

 食べちゃっても!



「シャルロット……もっと仲良くなりたいの。シャルって、呼んでいい…?」

「はい、もちろんです、けど……エレセリア様、なんだか様子が変ですよ……?」

「いいから、私の眼を見て。可愛くて、甘そうなシャル……」



 だめ……でも、この喉の渇きを少し紛らわすためだから……ね?


 私はシャルに魅了をかけ、天使の制止も振り切り、白くて艶かしい首筋に舌を這わせる。

 シャルにはなるべく負担をかけたくないから。



「ひゃぁ!んっ!エレセリア様、なにを……」


 急に快楽の波に呑まれたシャルは力が抜けたのか私にもたれ掛かってきたので、正面から優しく抱きしめる。



「痛くしないから、大丈夫」


 そしてゆっくりと、私の唾液で濡れた項に吸い付き、慣れるまではゆっくり、ほんの少しづつ吸った。


「ーーッ!!」


 シャルの声にならない声を聞き、もう平気だろうと勝手に解釈する。


 そして今度はピチャピチャと音を立てて舐めながら、さっきよりもほんの少し多く吸い、体が血で満たされ癒されていく甘美な感覚に浸る。


 シャルは先程から私の背を弱々しく叩いたり、私を押しのけようとしていたが、シャルの顔はとても扇情的に蕩けており、口の端から滴る甘い蜜を舐めとりつい、もっと意地悪をしたくなってしまう。



 それに、こんな状態じゃ誰だって逃れるはずがない。

 とっくに肌にしみ込んだ私の唾液は普通の媚薬などよりもずっと早く効き、腰が砕けるような強烈な快感を与えるとともに、ただ指でなぞるだけでも果てそうになるほど敏感にさせるのだから。


 だから、もう諦めて、私のご飯になって?



 *****




 どれくらい、経っただろうか。

 吸血され終わったシャルにもう意識はなく、残りは紅月によって弱り大人しくなっている天使……いや、可愛くて、とっても美味しそうなシエルと私だけだった。



「……私にも、するんですか」

「大丈夫だよ?気持ちいいだけだから…」

「い、いやっ、ですっ!」



 さっきの光景が余程気味悪かったのか、残念なことに断られてしまう。

 まあ、拒否されても食べちゃうんだけど。



 紅月のように妖しく光る眼光でシエルを捉え距離を詰めていくが、シエルは枷に捕らわれながら這うように逃げていく。


 ここには逃げる場所なんてないのにね?




「捕まえた」

「ひっ!」



 四足歩行でもぞもぞと絨毯の上を泳ぐシエルを押し倒す。

 シエルの両手を枷を利用して片手で固定し、馬乗りになって、完全にシエルの身体を制圧する。


 因みに私はとっくに枷なんて壊してあるので、シエルを思うがままに味わえる。


 だがなお、シエルは踠き、抵抗を続ける。



 ーーあぁ、可愛い。


 キラキラしてて、甘い香りがして、砂糖菓子でできているような美少女を今、私は独占しているんだ。


 このまま、じっくり見ててもいいけど、もう駄目だ。


 だって、このままだと焦らされているようで、まるでーー



「ーー煽ってるんでしょ?」

「ちっ違います!」



 可愛いなぁ……食べちゃいたいくらい。



 頰が蒸気して息が荒くなり、自分でも今、本物の獣のようになっていくのを感じる。




 ーー私今、ものすごく興奮してるんだ。




「いただきます…」


 金糸のようで綺麗だけど、今は食事の邪魔でしかないさらさらの髪をかき分けて、白い頸を舐め、私で染めていく。


 そして尖った鋭利な歯で噛みつき、快感に溺れさせて痛くさせないように気をつけながら、血をコクリと飲んだ。




 …うわぁ、甘いなぁ…

 まろやかで、私は、シエルのはどんな香り高く高級な紅茶にも敵わないと感じた。


 美味しい。

 美味しいなぁ…


 私は夢中になって、噛んだあとから血を啜る。

 最初はセーブしようと思ったけど、もう我慢の限界に達していたのかもしれない。




 *****



 しばらく経ってシエルの顔を見ると、嫌がる素振りはもうなくなっていた。


 どうやら()()魅了を強くかけ過ぎたようで、他人から見ればシエルから誘っているようにも見えるかもしれない。


 それにもう、シエルは私の口から出る甘い媚薬を直接飲んでしまったらしく、私と大差ない小さな身体を時折震わせ、喘ぎ声を抑えることで手一杯のようだった。



 二人とも、ごめんね…

 でも、しょうがないよ、ね…?




 ーー私、吸血鬼だもんーー



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