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これは魔法の書です。  作者: わおん
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原始人の胎児に転生して2ヶ月目・・・



僕の、軽率な提案によって、


我々は、この地に滞在する事に成っていた。



本来なら、1日でも早く、生き残った原始人を、


探すベキである。



この山脈で、生き残る為には、


僕の回復魔法が必要なのだ。



つまり、我々は、


1日でも早く、移動して、


生き残った原始人を、探すベキ状況なのだ。



それなのに、僕は、


谷底に、猪の内臓を捨てて、見物する・・・



そんな無駄な提案を行い、


無意味な滞在をする事に成ったのだ。



その為、僕には、


このマイナスを、取り戻す義務があった。



そこで、僕は、提案をした。



肉を10枚、叩いて伸ばし、


それを3日間放置してもらう、



その後、1日、1枚、母に食べてもらう。


食中毒に成ったら、僕が治す。



つまり、保存食・・・


干し肉作りの実験である。



今後、生きて行く事を考えた場合、


保存食は、重要である。



現在、我々が居るのは、


毎日、肉を確保出来る環境では無いのだ。



『この肉を、腐らせず・・・』


『1日でも長持ちさせたい・・・』



しかし、困った・・・



3人は、干し肉を知らない。


実は、僕も、作り方を知らない。



生前、祖父の知り合いに、


猟友会の会員がいて、


鹿の干し肉を、もらった事があった。



その程度の知識である。



『塩が必要だろうか?』



津波で、地面には海水が染み込んでいる。



おそらく、舐めれば、塩辛いハズである。



しかし、それを、塩として取り出す鍋や、


技術など、僕には無い・・・



『粘土を探し鍋を作る・・・』



『しかし、どこに粘土がある・・・?』


『誰に探してもらう・・・?』


『誰に、作ってもらう・・・?』


『どの様に教える・・・?』


『僕が、説明して出来る保障は・・・?』



僕自身、作った事など無いのだ。



結局は、机上の空論である。



知識など、あっても、


都合の良い「何か」


それが無ければ、実践出来ないのだ。



僕の考えなど、そのレベルなのだ。



3日間、崖の下には、何も来なかった。


鳥さえも来なかった。



と思ったら、


3日目の昼・・・



『鳥だ!』



上空を、鳥が飛んでいる。



その距離50メートル程・・・



僕は、魔法で、その鳥を包み込んだ。



実際、包んだ感覚があり、


鳥の動きが不自然に成った。



『やった!出来た!』


と思った瞬間、



鳥が、抵抗する感覚・・・


次の瞬間、



鳥は、僕の魔法を跳ね除けた。



しかし、鳥は、バランスを崩し、


不自然に羽ばたく・・・


『チャンス!』


僕は、もう1度、鳥を包み込んだ。



と同時に、


その状況に気付いた母が、


砂利を投げた・・・



僕は、砂利を包み込む・・・



この瞬間、鳥の包み込みが、


解除されてしまった。



『2つ同時には、包めない・・・!』



僕は、砂利を包み込んだ。



一方、鳥は、バランスを取り戻し、


飛行を再開する・・・



しかし、



『逃がさない!』


『瞬間移動!』



その様に錯覚するスピードで、


砂利は、鳥に直撃した。


羽が3枚、飛び散った・・・・



『死んだか?』



僕は、鳥を包み込み、


回収を行う。



ところが、その瞬間、鳥が、


再びバランスを取り戻し、



抵抗して・・・


そして、飛び去って行った。



『なぜ・・・!』


『なぜ、死んでいない・・・?』



砂利の直撃を受けた鳥が、


死なずに、飛んで逃げたのだ。



これにより、


僕は、大切な事実を知った。



『動かす魔法は、抵抗されると・・・』


『一瞬で、解除される・・・』


『獲物と武器は、同時に操作出来ない・・・』


『砂利には、威力が無い・・・』



熊を直立させた際、


あれも、今思えば、一瞬の出来事だった。



直立と同時に、父が石槍を投げてくれた。


だから、一瞬で、対応出来たのだ。



猪を直立させた時も・・・


同様である。



『では、砂利は、何だったのか?』


『砂利に、効果は無いのか?』



僕は、考えた。



母が砂利を投げ、


僕が、魔法で、その砂利を吹っ飛ばす。



その際の、スピードは、


スローで見えている僕が、


瞬間移動と錯覚する程の、速さである。



普通に考えれば、


音速を超えたスピードである。



その直撃を顔面に受けたら、


砂利は、後頭部に突き抜ける・・・


ハズである・・・



ところが、


ドロの直撃を受けた熊の顔は、無傷に近かった。



これは、投げたモノが、ドロだったから・・・


その様に思っていた。



ところが、


砂利の直撃を受けた猪の顔も、無傷に近かった。



左目を痛めた様だったが、


音速の一撃を受けて、


その程度で、済む訳が無い・・・



物体が、音速を超える瞬間、


空気の壁を突き破り、


爆発音が発生する。



3人は、それを聞いていない。



『なぜ・・・?』



そして、3人も、砂利が、


瞬間移動した様に思っている。



つまり、驚異のスピードで、


直撃した事は事実である。



『では、なぜ、致命傷にならない?』


『後頭部に突き抜けない・・・?』



『まさか・・・』



『本当に瞬間移動している・・・?』



『いや!それは無い・・・』



砂利は、草を飛び散らせ、猪に当たったのだ。


飛んで行った事は、事実である。



『驚異のスピード・・直撃・・・無傷・・・』



理由は解らない。



しかし、直撃の瞬間、


その威力が、大幅に減少している。


これは事実である。



『なぜ・・・・?』



僕は気付いた。



『あっ、もしかすると・・・?』



おそらく、現在、僕の魔法は、


獲物に当たる直前で、解除されている。



僕の無意識が、



『獲物の前に到着した』


『役目を終えた』



その様に認識して、魔法を解除している。


僕は、その様に感じた。



結果、砂利には、


魔法による威力は、無く・・・


母が、投げた時の、威力だけに成る。



その為、殺傷力が無い・・・



『これだ・・・・』



砂利に、威力が無い理由が解った。



もちろん、母が投げた力だけでも、


目に砂利が当たれば、反射的に、のけ反る。



結果、その動きを、利用出来たのだ。



これにより、


一瞬の魔法でも、熊や猪を、


直立させる事が、出来たのだ。



つまり、偶然の成功だったのだ。



『もし、熊が2頭いたら・・・』


『我々は、死んでいた・・・』



父の石槍の一撃を、生かす為には、


熊を直立させる必要がある。



その為には、砂利を眼球に命中させ、


その瞬間、熊を直立させ、


父に、熊のノドを狙わせる。



この手順が必要なのだ。



つまり、恐竜が複数いた場合、


この方法は、通用しない。



『平地では、使えない・・・』



その様に考えるベキである。



『では・・・どうする・・・』


『砂利の威力を上げる方法・・・』



『あっ・・・!』



僕は気付いた。



『草だ!』


『猪に直撃する前の草・・・』



『それらは、飛び散っている・・・』



『つまり、威力がある・・・』



『向こう側だ・・・!』



『獲物の、向こう側を狙う!』



『これなら、通過点にいる獲物にも・・・』


『ダメージが与えられる・・・』



『方法は解った・・・』



『では、本当に出来るのか・・・?』


『確認する必要がある・・・』



しかし、


練習したくても、


確認したくても、


僕の魔法は、


練習や確認では、発動しないのだ。



鳥を探したが、もういない・・・



落ち葉相手に、試したみたが、


駄目だった。



『発動しない・・・』


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