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これは魔法の書です。  作者: わおん
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僕が、原始の世界に来て、3週間目・・・



恐竜を恐れ、山に逃げ帰って数日、


土砂崩れは、続いている。



つまり、山も危険なのだ。


その上、臭い・・・らしい。



『ここには、住めない・・・』



その為、壁の様な山脈を、右に見ながら、


我々は、北を目指し、移動を繰り返す。



答えは出ていた。


この山脈は、全てが津波の影響を受けている。



現在、我々に居る地点は、壁山脈によって、


津波の直撃は、受けていない。



その為、倒木は少なかった。


しかし、ここも津波の被害地域である。



相手は、海水なのだ。



直撃は、受けなくても、


その多くが、海水の被害を受けていた。



『結果、どこに行っても、臭い・・・』



このまま、山で暮らす事は、困難であった。



しかし、


我々には、回復魔法がある。


その為、疲労を軽減する事が出来る。



つまり、もう少しの間、


山で暮らす事が出来る。



ところが・・・



『3人以外の、生き残りは・・・?』



『3人の村は、全滅したが・・・』


『他の部族は・・・?』



『おそらく、どこかに居る・・・』



『回復無しで、この環境・・・』


『どの様にして、生き延びているのか・・・?』



『この環境では・・・』


『近い将来、死んでしまう・・・』



『生き残りが居るのなら・・・』


『早く助けないと・・・』



『でも、手掛かりも無しに・・・』


『探し回るのは危険だ・・・』



『なぜ、僕の千里眼は・・・』


『遠くが見えないのか・・・?』



考えても、方法が思い浮かばない。


気持ちが、あせるだけで、何も出来ない。



そこで、僕は、


音を聞く方法を、考えてみた。



助けを呼ぶ声が、聞こえる可能性・・・


それを、感じたのだ。



『どうすれば、音が聞こえるのか・・・?』



胎児の、初期段階である僕には、


まだ耳が無い。



だから聞こえる訳が無い。



しかし、耳と同じく、目も無いが、


千里眼で、見る事は出来る。



つまり、聞く事も、出来るハズなのだ。



今現在、僕は、何かを発して、


その反射を受けて、モノを認識している。



その為、数メートル以上離れると、


その反射が得られずに、認識が出来ない。



ところが、山や、太陽や、月の様に、


巨大なモノに関しては、見る事が出来る。



『それは、なぜか・・・・?』


『なぜ、近くのモノと・・・』


『巨大なモノは見える・・・?』



僕は、思い出した。



『万有引力・・・?』


全てのモノには、引力がある。


それが万有引力である。



近くにあるモノと、


巨大なモノは、その引力が強く成る。



とはいえ、人間が感じられる程、


強い訳では無い。



しかし、万有引力は、確かに存在する。



そして、僕の千里眼は、


近くにあるモノと、


巨大がモノが見える。



つまり、僕の発する何かは、



『万有引力の影響を受けている・・・?』



つまり・・・



『音にも、応用出来るのか・・・?』


『引力を意識すれば・・・』


『音が聞こえるのか・・・?』



『一体、どの様な原理で・・・?』



『引力とは重さ・・・』


『重さを意識する・・・』



『音の重さ・・・?』


『音は振動・・・』



『空気を伝わって進む・・・』


『空気の重さ・・・』


『空気の抵抗・・・』



イメージする。



『僕から発する、何かが・・・』


『空気・・・』


『つまり、素粒子を伝わり進んで行く・・・』



『しかし、地球の引力で・・・』


『下に引っ張られる・・・』



その結果、僕が発する何かは、



『数メートル範囲しか届かない・・・』



『しかし、月の様な巨大なモノには・・・』



『強い万有引力がある・・・』


『それが、僕の発した何かを引っ張る・・・』



『だから、千里眼で見る事が出来る・・・』



つまり、僕が発する何かは、



『月にまで届いている・・・!』



僕が、その事実を理解した瞬間。



『あっ!』



世界が普通に見えた。


数メートルの、その先も普通に見えた。



生前の僕が、普通に見ていた様に、


この世界が普通に見えた。



そして、数メートルの範囲であれば、


2階から見下ろしいた様な視点で、


見る事も出来た。



通常、モノは、光の反射で見えている。



しかし、僕の場合は、


僕から発する何か・・・


その反射で、認識している。



現在、真夜中である。


『月は出ていない・・・』


『厚い雲に隠れている・・・』



つまり、周囲は、真っ暗なのだ。



その為、生前の僕の肉眼では、


見る事が、出来ないのだ。



しかし、その様な暗闇のハズなのに・・・


現在の僕には、はっきりと見えていた。



母の脳や、お腹の中を見る事も出来た。



『土の中は見えるのか?』



駄目だった。


内部が見えるのは、母の中だけの様である。



結局、音は聞こえなかった。



しかし、普通に見えるのは、とても便利である。



『いや、普通ではない』


『360度、全てを同時に・・・』


『見渡せるハズだ・・・!』



実際、見ている訳では無い。


反射を認識しているのだ。



『現在、僕には、目も脳も無い・・・』


しかし、認識しているのだ。



と考えた瞬間、


『あっ!』


全方位が全て見えた。


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