表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
これは魔法の書です。  作者: わおん
85/2334

085

原始人の胎児に成って、2度目の深夜・・・



熊から毛皮を剥ぎ、使える様に、処理をする。



その間、3人に会話は無い、


3人による作業には、技術力の高さがある。



『どの様な、部族だったのか・・・?』



3人からは、誇らしさを感じる。



『熊の皮剥ぎが、名誉ある仕事だからか・・・?』



もし、この3人が、幼稚な人間なら、


僕から、単語を聞いて、


遊び感覚で、この作業を行って、いただろう。



しかし、3人は、それをしない。


異常な集中力である。



『周囲の警戒は、大丈夫なのか・・・?』



と、少し不安に成る程、懸命に作業をしている。


その為、僕は、周囲を警戒しながら、考えていた。



『今後、どうするか・・・?』



3人は、言葉を持った種族である。



『実際、どの程度の会話が可能なのか・・・?』



それは不明だが、単語の羅列で、


一応の会話は、出来る様である。



そして、その言葉は、



3人が、先祖から受け継いだ言葉・・・


命を守る為に、必要で生まれた言葉・・・


部族の誇り・・・



『残すベキなのか・・・?』



今後、僕が、現代日本語を教える事で、


3人は、自分達の言葉を失う事に成る。



『それで良いのか・・・?』


『原始語と、日本語を、教え合う・・・?』



『両方を使う・・・?』



『駄目だ・・・』


『合理性に欠ける・・・』



『無駄だ・・・』


『混乱する・・・』



『命にかかわる・・・』


『危険だ・・・』



実際、どの程度、危険なのかは不明だが、


それを知った時には、誰かが死んでいる。



『その可能性がある・・・』



『その時は、その時・・・?』



『その様な無責任は、許されない・・・』



僕は、考えた。



『では、日本語を使うメリットは・・・?』



『文字が使える』



文字が使える事は、絶対的に有利である。


子孫に情報を残せる。



僕が死んだら終わり・・・ではない。



僕は、今後、この世界に影響を、与える事に成る。



つまり、僕には、


その責任を果たす義務があるのだ。



『しかし、それを理由に・・・』


『原始語を、消滅させても良いのか・・・?』



3人の作業には、誇りが存在する。



つまり、これまで、3人は、


意味のある人生を、送って来たのだ。



だから、誇りがあるのだ。



そして、その1つが「原始語」なのだ。



『3人に、原始語を、使うなど言えるのか・・・?』



しかし、答えは、出ていた。



今後、原始語を、使わせる訳には行かない。



生前、僕は、新聞記者の父に、


「なぜ宗教戦争が起こるのか?」


と質問した事があった。



すると、父が教えてくれた。



宗教の教えは、神様が書いた訳では無い。



その弟子と称する人によって、


書かれたモノである。



つまり、


自称・弟子の考えで、書かれたのだ。



教え易くする為に、


明らかな作り話も、織り交ぜられた。



もちろん、神様など、元々実在しない。



お金を払えば、守ってくれる・・・


そんな神様は実在しない。



お金を求める時点で、それは、神様ではない。


お金が必要なのは「お客さん」である。



「お客さん」は、神様では無い。


だから、買い物をするのだ。



モノが買えないと、生きて行けないのだ。


そんな存在は、神様では無いのだ。



祈れば、守ってくれる。


そんな神様も、実在しない。



だから、毎日、祈っていても、


大切な人が、事故や病気で、


死んでしまう事がある。



殺人事件も、戦争も、無くならない。



つまり、神様など、存在しない。


つまり、神様の教えも、存在しない。



結果、宗教の教えは、


万人が、納得行く内容では無い。



人間の誰かが、自分の都合で、


考えたモノなのだ。



しかも、それを、次の弟子が、


自分なりに理解して、


その次の弟子に教えた。



教える人によって、


考え方が変わり、


教え方も変わる。



それで、納得行く訳がない。


だから、宗教戦争が起こるのだ。



生前の父は、その様に教えてくれた。



そこで、僕は、それを踏まえて考える。



何度も何度も考える・・・



『今後、僕が、この世界で、守るベキ事・・・』


『それは、何か・・・?』



『宗教を、誕生させない・・・』



『今後、僕の存在を知った者に・・・』


『教える必要がある・・・』



『神など、存在しない・・・』



『その為には、言葉が必要である・・・』


『原始語では、言葉が足りない・・・』



『では、現代語で、何を教えるのか・・・?』



『神の助けなど、存在しない・・・』


『それを教える・・・』



『だから人間は、力を合わせ・・・』


『生きて行く必要がある・・・』



『祈っても、何も変わらない・・・』


『真実を、捻じ曲げてはいけない・・・』



『必要なのは、現実的な行動である・・・』


『祈っても無駄だ・・・』



『生きる為に必要なのは・・・』


『現実的な行動である・・・』



『祈っても、食べ物が無いと死んでしまう・・・』


『祈っても、災害は防げない・・・』



『だから、人は、力を合わせ・・・』


『一緒に生きる必要がある・・・』



『1人では、全ての事は、出来ない・・・』



『だから、1人1人が・・・』


『自分の役割を持って、生きる必要がある・・・』



『意味を持って、生きるのだ・・・』



『そうすれば、そこに希望が生まれる・・・』



『祈っても、飢え死には防げない・・・』



『しかし、準備をしておけば・・・』


『改善を続ければ・・・』


『飢え死にを減らす事は出来る・・・』



『それが希望だ・・・』



『それを実現するのは・・・』


『神ではない、人間なのだ・・・』



『この様な事を・・・』


『原始語で伝える事は、不可能だ・・・』



『言葉の数が足りない・・・』


『部族によって、使う言葉も違うだろう・・・』



『これでは、誤解や混乱を生む・・・』



『つまり、今後、出会う原始人には・・・』


『現代語を、教える必要がある・・・』



『そうしいないと、原始人は・・・』


『僕の事を、神と勘違いしてしまう・・・』



『その様な、誤解を生まない為には・・・』


『進化した言葉・・・』



『つまり、現代語が必要なのだ・・・』



『だから、3人には、原始語を捨ててもらう・・・』


『現代語に、統一してもらう・・・』



実際、こんな考えが、スラスラ出て来た訳では無い。


何度も何度も考え、まとめたのだ。



しかし、それでも、正直な所、


僕は、自分でも、


何を考えているのか?


何を言っているのか?


『本当に正しいのか・・・?』


理解出来ていない。



しかし、3人が優秀である事は、認めた上で・・・



それでも、原始時代の言葉よりも、


現代語の方が優れている。



これは真実である。



原始語が進歩して、現代語が生まれたのだ。



原始時代に、ロケットは存在しないが、


現代には、ロケットが存在する。



進歩によって、可能に成ったのだ。



我々は生きている・・・


生き抜いて行く・・・



その為には、有利である事が、重要なのだ。



有利なモノは、エサを食べ、


不利なモノは、エサに成る。



それが真実である。



つまり、我々に必要なのは、現代語である。



現代語の方が、有利だからだ。


僕は、そう結論を出した。



僕は、自分が正しいと感じた。


僕は、そんな自分に、誇らしさを感じた。



ところが、翌日・・・



僕は、自分の考えが、間違っている事に気付いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ