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当時、小学5年生・・・
現在、僕は、原始人の胎児として、
未知の世界にいる。
そして、千里眼が回復するまでの、
退屈しのぎの為、
僕は、考え事を、繰り返していた。
宇宙は、ビックバンによって誕生した。
と、されている。
『しかし、そのビックバンの材料は・・・?』
『その材料は、どの様に誕生した・・・?』
『なぜ誕生した・・・?』
『全ての物質の、最初の最初・・・』
『それは、どの様に誕生したのか・・・?』
『全てが、誕生する前・・・』
『何も無い空間・・・』
『何も無い空間など、存在したのか・・・?』
『何も無ければ、何も起こらない・・・』
『つまり、何も無い空間など・・・』
『存在していない・・・』
『最初から、それは、存在していた・・・』
『元々、存在していたのだ・・・』
『今ある宇宙は、将来、滅びる・・・』
『それが、ビックバンを起こす・・・』
『そして、振り出しに戻る・・・・』
『メビウスの輪・・・』
『裏も表も無く・・・』
『無限に続く・・・繰り返し・・・』
『それが宇宙の法則なのでは・・・?』
僕は、その様に考える。
『爆発、誕生、消滅、爆発、誕生・・・』
『これを無限ループで・・・』
『繰り返しているのでは・・・?』
『最初など存在せず・・・』
『未来など存在せず・・・』
『死んだ僕が、原始時代に来た様に・・・』
『行ったり来たりを・・・』
『繰り返しているのでは・・・?』
もちろん、僕の考えなど、勘違いの連続である。
これも、結局は、間違いなのだと思う。
しかし、僕は、考える・・・
自分を納得させる説明。
それが、僕の魔法には、必要なのだ。
千里眼の発動も、母の回復も・・・
僕が、考え、納得した瞬間、起きているのだ。
仕組みなど、全く解らないが、
それでも・・・
「こうすれば」「こう成る」と考え、
僕が納得する事が、重要なのだ。
『つまり、自分が・・・』
『なぜ、ココに居るのか・・・?』
『なぜ、ココだったのか・・・?』
『それを考え、納得する事で・・・』
『僕の、今後が決まる・・・』
『決める、必要がある・・・』
『覚悟を決める、必要がある・・・』
『今さら、魔法を秘密にする必要は無い・・・』
『もし、ここが、過去の地球であって・・・』
『僕が、魔法を使う事で・・・』
『歴史に、変化があったとしても・・・』
『僕は、この先、原始時代で・・・』
『生きて行くのだ・・・』
『使えるモノは使う・・・』
『使ってしまう事に、成るのだ・・・』
『腕を喰い千切られる状況で・・・』
『世界の将来を考え、魔法を使わない・・・』
『そんな事は、不可能である・・・』
『使わなければ殺される・・・』
『苦しんで、苦しんで・・・』
『死んで行く事に成る・・・』
『そんなのは、嫌だ・・・』
『僕は、僕の為に生きる・・・』
『無駄に、死ぬ必要など、無い・・・』
僕は、考えた。
『ピラミッドの作り方・・・』
『それを、古代エジプト人に、教えた人物・・・』
『その人が、本当に、未来人であるなら・・・』
『その人も、生き残る為に・・・』
『未来の知識を、使ったのだ・・・』
『生きる為に、それが必要だったのだ・・・』
『その為、歴史上、不自然な建築物が・・・』
『残ったのだ・・・』
僕は、その様に、自分を納得させた。
『つまり、僕も魔法を、使うベキだ・・・』
『魔法を使っても、良いんだ・・・』
僕は、その様に、自分を納得させた。
納得させる以外に、選択肢が無かったのだ。
すると、次の瞬間・・・
再び、千里眼が発動した。
僕は、3人の原始人を観察した。
母が泣いている・・・
泣きながら、歩き回っている。
『ここは、何なのか?』
『先程の場所とは、違う・・・』
どうやら、僕の千里眼が、回復するまでの間に、
3人は、移動をしていた様である。
森の木々が、なぎ倒されている。
『土砂崩れでも、あったのか・・・?』
見えるモノ全てが、ドロを、かぶっている。
『洪水があった・・・?』
『まさか津波の跡・・・?』
『ココは、村だった・・・?』
『3人は、ココで生活していた・・・?』
『全てが、流された・・・?』
『3人は、生き残り・・・?』
『何が起きたのか・・・?』
『3人は、今後、どうするのか・・・?』
他人事では無い。
通称、祖母も、泣いている。
しかし、休んでは、いない。
何かを、拾い集めている。
そこに注目すると、消えてしまう。
そこで、一点集中はせずに、
その光景を、ぼんやりと見ていた。
しかし、それでも、
先程より、少し見えやすく成っていた。
とは言っても、見えるのは、
倒木と、ドロの地面である。




