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当時、小学5年生・・・
僕が、千里眼を使った結果、
無関係な2人の男女が見えた。
そして、その男女は、
倒れた女性に、声をかけている。
その状況から、判断すると・・・
『僕が、犯人だ・・・』
本来なら、僕の脳にかかる負担が、
なぜか、無関係な女性の脳に影響を与え・・・
現在、その女性が倒れているのだ。
『僕の責任だ・・・!』
『治さないと・・・!』
以前、僕は、目を閉じていても、
天井が見えた。
その原理を使い、千里眼を使った。
病室のベッドで眠る僕・・・
それを、千里眼で観察する事で、
回復効果が、上がると信じていた。
ところが、そこには、誤算があった。
僕は、魔法の仕組みを理解した事で、
魔法の力が「強化」された。
そして、ピンク色の光に包まれて、
倒れ、植物人間に成ったのだ。
ところが、僕には、魔法の力が残っていた。
その為、千里眼を使う事が出来た。
つまり、現在、僕が使っている魔法は、
以前の、魔法よりも「強力」なのだ。
『そして、現在、僕は、植物人間・・・』
『その状態で、強力な千里眼を使った・・・』
結果、全く無関係な、遠くの場所が見えた。
そして、どの様な理屈なのかは不明だが、
今回の魔法は、僕の脳には、負担を与えず、
全く無関係な女性の脳に、負担を与えてしまった。
『この人達は、一体、誰なのか・・・?』
『どこに居るのか・・・?』
『山の中・・・?』
『登山・・・?』
男性1人、
女性2人、
この3人で、山に来ていた。
そして、僕が使った強力な千里眼が、
『その中の、1人の女性の脳を破壊した・・・』
その結果、突然、倒れた女性を心配して、
2人の仲間が、声をかけている。
おそらく、その様な状況である。
『僕は、何て事をしたんだ・・・』
『何とかして、治さないと・・・』
しかし、
『一体、どの様にして治す・・・?』
『おそらく、現在、僕は・・・』
『病院のベッドの上、植物人間状態・・・』
『そして、彼女は、どこかの森・・・?』
『雰囲気的に山の中・・・?』
『僕が千里眼を使った事で・・・』
『彼女の脳が壊れた・・・』
『どの様な、理屈なのか・・・?』
全く理解出来ないが、
それ以外に、考えられなかった。
そんな彼女の様子を見る為に、
『もう1度、千里眼を使うのか・・・?』
『千里眼で見て、どうする・・・?』
『千里眼で見たモノを治療する・・・?』
『出来るのか・・・?』
『僕が、千里眼を使った結果・・・』
『彼女の脳は、破壊された・・・』
そして、今度は、
『その彼女の脳を、破壊しながら・・・』
『彼女を、治せるのか・・・?』
僕は、自分自身を、治せていない。
植物人間のままである。
それなのに、千里眼を使いながら、
『他人を治せるのか・・・?』
そして思い付く・・・
『鳥・・・!』
『鳥の目を使う・・・』
『鳥の目を通して見て、彼女を治療する・・・』
しかし、現実的に無理だった。
僕は、自分の姿を見る事さえ出来ない。
つまり、千里眼のコントロールが、出来ないのだ。
鳥の目を、通して見るなど、不可能である。
しかも、
どこの、山かも解らない、
本当に、山かも解らない。
僕の千里眼は、通称・千里眼であって、
実際には、ほとんど見えない。
しかも、それを使った事で、
なぜか、見知らぬ彼女の視点で、物が見え・・・
彼女の脳を、破壊してしまったのだ。
僕は、「自分で、自分を見る」つもりで、
千里眼を使ったのだ。
ところが、他人を使ってしまったのだ。
全く、コントロールが出来ないのだ。
千里眼を使う事で、被害者が出たのだ。
『鳥の脳で、出来る訳が無い・・・』
『その場合、鳥を探す為に・・・』
『千里眼を使う必要がある・・・』
『今度は、誰に被害を与えるのか・・・?』
ただ、罪悪感だけが増して行く。
『仕方が無い・・・・・』
僕は、自分の治療に専念した。
『まずは、自分を治す・・・』
『その後、山の中で倒れ・・・』
『植物人間に成った女性を探し・・・』
『その女性を治療する・・・』
『何年先に成るのか・・・?』
『本当に可能なのか・・・?』
そんな事は解らない。
しかし、これ以外に、方法が思い浮かばない。
僕は、泣きそうだった。
『本当に山なのか・・・?』
『探し出せるのか・・・?』
『一体、どの様に治療する・・・?』
『探し出す魔法・・・!』
『僕が治ったら、探す魔法を練習して・・・』
『それで探して・・・・』
僕の心は幼かった。
しかし、だからこそ、前進出来た。




