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これは魔法の書です。  作者: わおん
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当時、小学4年生、自宅、1人部屋・・・



ベッドで、目を閉じて、横に成っている。



すると、天井が見えた。



『ぼんやりと、天井を見ているだけで・・・』


『魔法が消費出来る・・・』



『これで、世界が救えるのだ・・・』



『これで、世界に悪影響を与えずに・・・』


『済むのだ・・・』



ところが、僕は、納得出来なかった。



『何もぜずに、寝ているだけ・・・』


『そこに、誇りは無い・・・』



その様な思いと、



『天井に、平仮名カードを貼りたい・・・』



『しかし、それは許されない・・・』


『魔法を鍛えてしまう・・・』



その様な思いが、影響を与えたのだと思う。



その後、僕は、授業中、文字を見て、


考える様に成っていた。



何かで、気持ちを、


まぎらわせる必要が、あったのだ。



魔法を、使っている訳では無い、


ただ、文字を見て、悩んでいた。



魔法の消費には、何の役にも立たない。



しかし、これは、


僕の、次の趣味に成る、予感があった。



魔法の暴走を、止める為に、


魔法を使う必要は、無いのだ。



魔法以外の趣味に、没頭すれば、


魔法を使いたい気持ちが、消えるので、


魔法の消費は、不要に成るのだ。



だから、僕は、趣味が欲しかった。


そんな時に、書体に興味が湧いたのだ。



『国語の、教科書の、書体と・・・』


『算数の、教科書の、書体は違う・・・』



『なぜ違うのか・・・?』


『そんな、必要性があるのか・・・?』



僕は、考えた。



『どちらの字が、正しい字なのか・・・?』



当然、どちらも、正しい書体である。


その為、答えなど出ない。



広告などに、丸い文字を見かけるが、


これも、間違ってはいない。



だから、誰も、文句を言わない。



読む事が出来るし、綺麗な書体である。


全く、問題が無い。



『国語、算数、広告、明らかに違う書体・・・』


『しかし、どれも綺麗な書体・・・』



どれが1番などと、決める事は出来ない。



無理に決めたとしても、


それは、僕の好き嫌いであって、


他の書体が、汚い訳では無い。



どの書体も綺麗であり、正解なのだ。



『では、なぜ綺麗なのか・・・?』


『何を基準に、綺麗と考えるのか・・・?』



僕は、授業中、教科書の文字を真似て、


ノートに書いた。



可能な限り真似をして、


毎日、毎日、書いていた。



休み時間も書いていた。


同級生も、その事に気付いていた。



しかし、誰も、僕を馬鹿にしない。



それは、周囲の誤解が、原因だった。



僕は、走るのが早い・・・


それは、有名な事実であった。



しかし、そんな僕が、


その事を、1度も自慢せず、


体育の時間、周囲のペースに合わせて、走る。



ボールを使う時も、周囲に合わせて、


加減している。



これは、魔法を発動させない為の、努力であっが、


周囲は、その事実を知らない。



その結果、同級生は、僕の事を、


優しいヤツだと、勘違いしたのだ。



完全に、誤解である。



しかし、魔法を、秘密にしている僕に、


その誤解を解く事は、出来なかった。



結果、病的な人間だが、攻撃はして来ない。


友達では無いが、優しい。



それが僕への、評価と成っていた。



だから、僕が、休み時間に、何かしていても、


そんな僕を、そっとして置く。



その様な、状態に成っていた。



僕が入学した当時、先生は、


僕が、倒れる事を、過剰に心配していた。



しかし、その後、4年間、何事も無いので、


休み時間に、文字の練習をする僕を、


止める事は、なかった。



その様な訳で、僕は、様々な書体を書き続けた。



そして、数日間、文字を書き続けて、


簡単な事が解った。



『バランスだ・・・』



一定の統一感があるのだ。



『それが、守られていれば、綺麗と感じる・・・』



しかし、疑問を感じる。


地面に散らばっている石に、バランスなど無い。



つまり、僕の理屈では、地面の石は、綺麗では無い。


実際、綺麗だと思わない。



では、その石を、バランス良く並べれば、



『綺麗なのか・・・?』



下校時に並べてみる。



『不自然に感じる・・・・』


『奇妙なモノ・・・・』


『違和感・・・・』



『バランス良く並べたのに・・・なせ・・・?』



そして、山を見た。



山は、綺麗に並んでいない。


しかし、綺麗である。



『バランスが良い?』


『これの、どこが・・・?』



僕の理屈では、綺麗とは、


寸法が、そろっている。



それがバランスである。



ところが、山の大きさはバラバラで、


並び方も、統一されていない。



『ところが、山は綺麗だ・・・』



『バランスとは、何か・・・?』


『綺麗とは、一体、何か・・・?』



『僕は、何を理由に、綺麗と感じている・・・?』



そして、次の日から、僕は、絵を描き始めた。


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